第111話 OB
「無事、連れて来ました。」
警官に捕まりそうになったところを助けてくれた若い男に案内され、地下2階まである雑居ビルへとやって来た。
・・・な、何だ?
ここは・・・!?
普通の雑居ビルの中に広い地下室があり、そこに巨大なパソコン機器が設置されている!
3人・・・いや、4人か!一体何の集まりなんだ?
「さー約束だ!早く
「その話をデカイ声でするなと・・・何度、言えば理解するんだ?」
部屋の角で、もたれ掛かっている いかつい顔の男が声を上げる
・・・ガラ悪っ!!
後ろ髪を長く伸ばして、腕にタトゥーまで入ってる!完全にチンピラじゃないか!!
俺の危機管理センサーがここは、危険だと告げている!脱出しよう!!
「回れ右だ!中央へ進め!!」
「───なっ!!?」
目の前にいた筈のチンピラが出入口を塞ぐように立っている
・・・あ、あれ?
どういうことだ・・・!?
今、この男は、部屋の端から端を一瞬で移動したのか?俺に気付かれる事なく!?
───いや、そんなことは、あり得ない!!
ここは、俺が産まれ育った日本だぞ!そんな人間離れした芸当ができる筈がない!!
異世界じゃ、ないんだから・・・
「
・・・ど、どうしたんだ?
尋常じゃない汗の量だぞ!それにさっきから様子が変だし、案内してくれた時とは、別人みたいだ!?
「お前は、いつも焦り過ぎなんだよ!もっと余裕を持って行動しろ!!・・・仕事を成功させるには、息抜きや遊びが必要だ!───そこでゲームだ!!」
「・・・・・・ゲーム?」
「ルールは、簡単!右か左、どちらか選べ!当たれば天国!ハズレば地獄!褒美は、倍だ!!」
手の平から溢れ落ちる程の大量の錠剤を取り出し誘惑する
「・・・倍・・・倍・・・や、やります!やらせて下さいーー!!」
「・・・選べ!!」
懇願し縋り付いてくる男の前に両手を突き出す
「・・・・・・ひ、左!・・・左だ!!」
両手を舐め回すように観察し左手を選択する
「・・・左ね」
「───ぐえっ!!?」
「正解だ!良かったな、天国へ逝けて・・・!!」
選んだ左腕で思いっ切り殴られて若い男は、気を失う
・・・は、
・・・ま、間違いない!ここは、反社会的勢力の事務所だったんだ!!
い、今の内に・・・逃げないと・・・
「いや~ごめんごめん!驚かせてしまったね!!俺達は、君に危害を加えるつもりは、ないんだ!!」
「───っ!!?」
突然、背後から声を掛けられ驚く
・・・な、何だ?コイツは!?
いなかった!いなかったぞ!!
俺がこの部屋に入った時には、こんなデブ存在しなかった!!
「・・・あ、あなた達は、一体何なんですか?俺は、ただの一般人ですよ?お金なら持ってないです!!」
・・・デ、デカイ!
図体は、プロレスラー並みだが・・・
筋肉は、一切ない!
「・・・クチャクチャ・・・クチャクチャ・・・ん、食べる?」
「・・・え、遠慮します」
食べかけのスナック菓子を差し出してくる
「そう・・・これから仲間になるんだから遠慮なんかしなくても良いのに・・・クチャクチャ・・・」
・・・な、仲間?
「あっ!もしかして俺達のことを・・・クチャクチャ・・・ヤクザやマフィアだと思ってない?・・・クチャクチャ・・・全然、違うよ!俺達は、同志だ!!君を迎え入れに来た!ボスの命令でね!!」
・・・同志?・・・命令?
意味が解らない! 思い当たる節が全くないぞ!!
「この集いは、一言で言えば被害者の会!!」
・・・被害者の会?
「ここにいる全員、
「・・・えっ!・・・ウソ!!・・・せ、先輩なの!?」
・・・ということは、ここにいる全員異能力者!?
なら、さっきの不可思議な現象も納得できる!!
「俺達は、異世界ライフを送るどころか異世界の地に足を踏み入れることすら出来なかった!───いや、正確には、地に叩き付けられたんだ!!」
・・・あっ!
そうか・・・
俺も転送された時は、空の上で遥か上空から落下して、その時、たまたまアラトモがいたから助かったけど・・・
みんなは、そのまま地面に激突してしまい現世へ帰ってしまったんだな!!
「俺達は、みんな あのオカマが憎い!憎くて憎くて堪らない!!」
チンピラ男が引野の胸元を掴み脅迫する
「答えろ?あの異世界人は、何者だ!テメーの仲間か?どうなんだ!!」
あの異世界人?
・・・・・・
───あっ!ヒマワリ達のことかっ!!?
「竹内くん!後輩には、優しく接しなきゃダメでしょ?強引にいくのは、無しだよ!!」
お菓子を食べていた大柄の男がチンピラ男から引き離して庇ってくれる
「・・・豚!・・・今、俺に命令してんのか?俺に命令して良いのは、ボスだけだ!!」
「ぶ、豚?豚だと・・・人に向かって豚は、ないだろ?哺乳類ってところしか合ってないじゃないか?」
「ブーブーブーブーうっせーんだよ!鳴き声出してんじゃねーぞ!!」
激しく口論を始め、一触即発の雰囲気になる
こ、この隙に脱出しないと・・・
「「「───っ!!?」」」
部屋に設置されているパソコンが突然起動し、パソコン画面の端から謎のキャラクターが現れる
・・・な、何だ?
この何世代も前のグラフィックなキャラクターは!?
「おこんばんにちわ~!
「「・・・お、お疲れ様です!!ボスっ!!!」」
パソコン画面のキャラクターに向かって頭を下げ、挨拶をする
・・・ウ、ウソだろ?
このレトロゲームに出てくるキャラクターが・・・
───コイツらのボス!!?
どう見ても最初の町へ辿り着く前に現れるRPGのザコキャラにしか見えないぞ!!
「・・・・・・!!」
ボスと呼ばれるキャラクターの足元に文字が表示される
「ボクの質問に正直に答えてね!あの異世界人とは、お友達?」
「・・・ん・・・ま~・・・転送先の学校のクラスメイトだからな・・・」
「この世界へは、どうやって戻って来たの?」
「マカオの力で・・・っ!!」
突如、パソコン画面が乱れ始める
「・・・マカオ・・・マカオ・・・マカオ・・・!!いるの?この世界に・・・マカオ・・・が・・・!!」
「いや、マカオは、いないです。」
「・・・本当に・・・なら・・・信じるよ!最後の問いに答えてね!!」
パソコン画面に選択肢が表示される
「キミは、どちら側の人間?我々側の人間?それとも異世界人側の人間?選んでね!!」
選んでって言われても俺は、そこまでマカオに対して恨みは、ないから・・・
異世界人側を選ぶと思うけど・・・
───問題は、
異世界側を選べば、元転送生達に何をされるかわからない!ご機嫌取りでコイツらを選んだ方が得策か?
「俺達は、あのオカマへ復讐する!もちろん、同じ境遇の君も協力してくれるだろ?」
「早くボスの質問に答えな!!」
竹内 力と細川高志が高圧的な態度で詰め寄って来る
「・・・お、俺は・・・俺は・・・・・・!!」
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