第91話 人間ポンプ

「ネチュー!ビゾン!!動けるか?」

「私は、何とか動けるけど・・・ネチューは・・・」

エソラの問い掛けにビゾンが倒れながら答える


「・・・そうか」

ネチューの戦闘不能に嘆くエソラ


「反撃する気は、あるか?」

「―――ある!」


「復讐したいか?」

「―――したい!!」

「私に従うか?」

「―――従う!!」

エソラの問い掛けにビゾンが次々と答えていく度にエソラの魔力が高くなっていく


「コイツら何、喋ってんだ?」

無駄にしか見えない、やり取りにドッポが首を傾げる


「・・・異能力フィクション発動っ!!―――ビゾン!私の元へ来い!!」

「・・・・・・あい!」

マッソに殴られ、身体中ボロボロのビゾンが急に立ち上がり、わき目もふらずにエソラの元へ走り出す


「よ~し、良く来た!良い子だ!!―――さ~特技人間ポンプだ!!」


―――ごっくん!!


「「「―――っ!!!」」」

エソラが口を大きく開き、ビゾンを丸呑みにした光景にマッソ達は、絶句する


「・・・な、何をしてるんだ?風族嬢エソラは!?」

「気が狂ったのか?風族嬢なかまじゃねーのか!!」

「アイツは・・・もう人間こっち側じゃねーてこったろ!!」

ドッポが空手の型を始め、遠く離れたエソラに向けて正拳突きを繰り出す


おまえらに・・・わたしらの覚悟がわかるもんか・・・」

空気を切り裂く音がエソラのお腹に直撃し、風穴が開くが平気な顔をして話し続ける


「・・・ど、どういうことだ?俺の正拳突きをまともに食らった筈なのに・・・!!」

「これじゃ・・・まるで・・・あのゾンビ女みたいじゃねーか!!」

ドッポとマッソがエソラの変貌に困惑する


「―――っ!!まさか・・・エソラ、お前の特技人間ポンプの真の力は!!」


「そ!手品インチキ野郎の想像通り!!このように・・・」

気を失い倒れているネチューの元へ歩いて行く


―――ごっくん!!


「何度、共食いすれば気が済むんだ!性根を叩き直してやるよーー!!」

ネチューまでも丸呑みにしたエソラへドッポが殴り掛かる


「ドッポ下がれーー!!危ない!!」

「―――あ?」

マジナ先生が警告する


「遅い!串刺しになれーー!!」

エソラの身体から鋭く尖った針が無数に放出する


「・・・ぐわっ!!」

マジナ先生の声に反応したドッポが身体を捻らせて、辛うじて直撃を免れる


「フフフ・・・良く躱したな!」


「・・・コ、コイツ呑み込んだ風族嬢の異能力を・・・」


「その通り!私は、特技人間ポンプで呑み込んだ人間の異能力ちから特技わざを自由に使うことが出来る!!」

話しながらネチューのハリネズミ化の異能力とビゾンのゾンビ化の異能力を交互に披露する


「次は、お前らのマッソドッポ能力マジナを取り込めば、もう単純な戦闘で負けることは、なくなるだろうね!!」


「・・・フンっ!やれるもんならやってみろよ!!」

ドッポが好戦的に戦闘体勢へ入る


「忘れたの?私の異能力フィクションを!!」


エソラの異能力は、フィクション!

対象者に嘘、偽りの記憶を植え付け、思い通りに操ることが出来る!!


「お前らレベルの実力者を操るのは、時間が掛かるだろうが・・・今の私には、不死ビゾン異能力ちからがある!いくら抵抗しようが時間の問題だよ!!」


「「「・・・・・・!!」」」


「・・・マッソ、ドッポ・・・悪かったな!こんな所へ呼び出して・・・」

マジナ先生が小声で謝罪する


「・・・先生マジナ


「先に学園へ戻って良いぞ!あとは、任せろ!!」



・・・・・・


「「―――はぁぁぁーーー!!」」


「両指を潰して何言ってやがる!」

「一人犠牲になって保護者面しようとすんじゃねーよ!!」

マジナ先生の優しさにマッソらが怒る


「・・・ハァ~!」

2人の発言にマジナ先生がタメ息を漏らす


「別に、犠牲になるつもりは、一切ない!俺には、まだ取って置きのがあるから大丈夫だから・・・」


「―――嫌だね!俺は、テメーの生徒じゃねーから、好きにさせてもらうぜ!!」

「俺もだ!アイツの顔面に一発入れなきゃ、勘弁ならない!!」

引く気のない2人が闘争心、剥き出しで断る


「強情だね~!特訓の時から全く言うことを聞かない頑固な生徒だったな・・・―――ま!嫌いじゃないけど!!」

3人揃ってエソラへ立ち向かおうとする


「うぇ~気持ち悪る~!男の友情なんて・・・思わず吐くところだったじゃない!!」

エソラの魔力が高まり、戦闘体勢へと入る


「胸焼けするだろうけど・・・―――いただきまーーす!!」

唇を舐めながら襲い掛かる


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