第55話 頭脳戦

「―――ぎゃぁぁぁーーー!!こ、殺されるーーー!!」

エトムとヒマワリが男達相手に異能力バトルを繰り拡げる中

突如、姿を消したヨミに囮にされた引野は、武器を持った男達から全力で逃げ回っていた


「・・・やっと追い詰めたぞ!手間取らせやがって!!」

「袋のネズミだ!観念するんだな!!」

追い詰めた引野を取り囲み、男達が詰め寄ってくる


・・・ヤ、ヤバい!どうしよう!!

完全に囲まれてしまった!!


戦闘を避ける為にヒマワリ達から距離を取ったのが裏目に出てしまった!!


「お前ら、油断するな!コイツも異能力者汚れた血だ!異能力を使ってくるぞ!!」

グラサン男の一言で男達に緊張が走る


「・・・・・・!!」

―――しめたっ!!勝機チャンスだ!!


「お前ら動くな!動けば俺の!!」

異能力という言葉に怯んだ男達の表情を見逃さず、ハッタリをかます!


もちろん、俺の異能力ラッキースケベに人を脅せるような力は、毛頭ない!!


「・・・火・・・火を吹く・・・だと!?」

「コイツ・・・火を操る異能力者か!!」

恐怖心からか勝手に勘違いを起こした男達の言葉に乗らない手は、ない!


「全員武器を捨て、大人しくこの場から離れろ!!さもないと・・・どうなるかわかるよな?」

両手を男達に向けて脅しを掛ける


「「「・・・・・・!!!」」」

男達に動揺が走り、立ち尽くしてしまう


「5秒だけ数える!死にたい奴は、好きにしろ!5・・・4・・・3・・・」


「―――騙されるな!ハッタリだ!!」

引野を遮るようにグラサン男が話し始める


「そいつに火を操る異能力ちからなんてない!そんな異能力ちからがあれば最初から使っている!恐らく引野コイツともう一人の女は、戦闘に不向きな異能力者だ!襲われて逃げ回っていたのが・・・その証拠だ!!」


「・・・・・・くっ!」

このグラサン!相当、頭が切れる!!

待ち伏せといい、人質といい、中々の策士だ!


「もう一人の女は、逃げたのでは、なく!隠れたのだ!!そこの引野おんなは、人質にするのは、止めて!八つ裂きにしろ!!その叫び声を聞けば姿を現す筈だ!!」



「「「―――うぉぉぉーーー!!!」」」

殺気を放ちながら引野へ向かって突撃していく


「―――ヒィィィーー!!」


「くたばれ・・・―――っ!!」

「叩き斬ってや・・・―――クソッが!!」

斬りかかる男達の攻撃に異能力ラッキースケベが無意識に発動し、男達の顔に胸やお尻を押し当ててクリンチの体勢を取り回避する


折角、異能力でラッキースケベ体質になって異世界でムフフな学園生活をおくる筈だったのに・・・


―――なんで俺が女になって男達にラッキースケベを味合わせてんだよ!!


「クソッ!コイツ鬱陶しいなー!!」

「全くだ!躱すついでにケツや胸を顔に押し付けやがって!!」


「「―――屈辱だぁぁーーー!!」」


―――ご褒美だろが!ボケ!!女体化した身体だぞ!!


「・・・中々の回避術だ!躱す度にケツや胸を押し当ててみんなをイラつかせて攻撃を単調にさせてやがる!・・・―――だが、何故、異能力を使わない?」

追い込まれても反撃も異能力も何もしない引野の行動に疑問に思う


・・・いや

ずっと異能力ラッキースケベは、発動してるんですけどね!


「躱した時に拳を突き出せばカウンターを入れれて倒せる筈なのに・・・―――まさか!これは、陽動!!あの女を逃がす為の時間稼ぎか!?」

「―――それは、ない!断言する!!」

ヨミの所為でこんな目に遭ってるんだから


「・・・なら、取り引きしよう!消えた女の居場所と異能力を教えればお前の命だけは、助けてやる!」

「―――わかった!教えよう!!」

速答で答える

「だがヨミの異能力は、知ってるがヨミの居場所は、知らないんだ・・・!」

「―――交渉決裂だな!」


「・・・ま、待ってくれ!本当に知らないんだ!!・・・実は、お前達が拐ったんじゃないのか?」

「俺達が拐ったんなら既に人質にしてお前らを根絶やしにしている!」


・・・そ、それもそうか!


「その女の異能力が姿を消す異能力ちからじゃないのか!?」

「いや、そんな異能力者なら最初から異能力を使って戦闘を有利に運んでいるよ!」



「「・・・なら、一体どこに?」」

引野とグラサン男が首を傾げる


・・・冷静に・・・冷静になれ!

ヨミに姿を消す異能力ちからは、ない!何かを見落としているに違いない!!


「―――そうだ!変装だ!変装!!変装して男達の中に紛れているに違いない!」

「―――それは、ない!自分達の兵力ぐらい把握している。男が一人減ったり増えたりしたら直ぐにわかる!!」


・・・確かに

この連携の取れた陣形に一人、よそ者が交ざっていたら直ぐに気付くか!?


「気になっているのが・・・待ち伏せをする前に比べて少し地形が変わって岩やゴミクズなどの量が変化しているような・・・」


・・・地形の異変に?ゴミクズの量の変化・・・


「―――そうかっ!そういうことか!!わかったぞ!!なんで直ぐに気付かなかったんだろう!?」

そう言いながらあっちこっちに散らばっているドラム缶を一つ一つひっくり返す


ヨミの異能力は、リサイクル!

死んだモノや壊れたモノを修復し元通りに治す異能力!!


地面に散らばっていたドラム缶の破片にヨミが異能力を発動させ、元のドラム缶へと再生させたのだ!!


「お前ら、ドラム缶だ!ドラム缶をひっくり返せ!その中にヨミが隠れているぞーー!!」

敵である男達と一緒に次々とドラム缶をひっくり返していく


「・・・ん?このずっしりとした重み・・・―――ここだぁーー!!」

「―――うわぁぁぁーーー!!なんで居場所をバラすんですか?」

ドラム缶の中からヨミ・エリガを見つけ出した


「オイ!居場所は、わかったぞ!これでヨミの異能力を言えば!俺は、助けてくれるんだな?」

「約束は、守る!引野おまえは、助けてやる!・・・お前ら引野そいつは、半殺しにして人質にしろ!!もう一人は、殺しても構わん!!」


「―――なっ!オ、オイ!!約束が違うぞ!!」

「バカなんですか!?男達に良いように利用されて!頭に異能力リサイクルを発動させましょうか!!」

引野と取っ組み合いを始める


「「「―――うぉぉぉーーー!!!」」」


「「―――ぎゃぁぁぁーーー!!逃げろーーー!!」」

殺す気満々で襲って来る男達から悲鳴を上げながら全力で逃げる

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