第56話 エコ

「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・」

草木も生えない岩石地帯での戦闘の中、引野とヨミは、を走っていた


「―――ヨミ!もう 岩石地帯ここには、枯れ葉や枯れ木は、落ちてない!これが最後の枯れ木だ!!」

「了解です!・・・―――ハァーー!!」

引野が拾った枯れ木にヨミが手をかざし異能力リサイクルを発動させ、干乾びた枯れ木を立派な樹木へと再生させる


「こんな水気もなく!干ばつした土地でも草木を再生させて密林地帯を創り上げるなんて・・・―――凄い異能力だな!!」

自然界の法則やルールなどを無視したヨミの異能力リサイクルの力で、この岩石地帯の一部に密林を創り上げたのだ!!


「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・さ、流石に・・・ここまで異能力を使えば・・・もう・・・魔力が・・・」

額から流れる汗を拭いながら腰を下ろし座り込む


「ありがとう!ヨミ!!少し休もう!」

数えきれない量の枯れ木や枯れ葉に異能力リサイクルを発動させたのだから、無理もない!


・・・とりあえず

密林ここに居れば、男達に見つからずに済むし、時間が経てばエトムやヒマワリが男達を全滅させて助けに来てくれる筈だ!


―――今は、身を潜めてよう!



「クソー!異能力者汚れた血めっ!!密林を創りあげるとは!?・・・オイ!直ぐに火炎放射弾を持って来い!焼け野原にしてくれる!!」

「ス、スイマセン!全ての銃火器は、あの女の雨によって使えなくなってます!!」

「くそぉぉぉーー!!奴らを密林から一歩も出すな!わかったかーー!!」


「「「―――はいっ!!!」」」

グラサン男の指示に従い、男達は、 密林の周りを取り囲む


「―――ヨミ!大変だ!外は、完全に包囲されている!」

「・・・落ち着いて下さい!大声を出せば敵に居場所を知らせるようなもんです!今は、黙って息を潜めていれば大丈夫で・・・」



「―――その首、もらったーー!!」


「「―――ぎゃぁぁぁーーー!!出たぁぁぁーー!!」」

剣を持った男が単独で乗り込んで来た


「覚悟し・・・―――うっ!!?」

「・・・ハァハァ・・・ハァハァ・・・た、助かった!?」

引野の首、目掛けて降り下ろされた剣に異能力ラッキースケベが発動して、攻撃を躱し、男の顔に胸を押し当てて、クリンチの体勢を取り

そのまま後ろへ倒れて石で後頭部を強打し、気絶させる。


「・・・よし!ナイスです!今のうちに身ぐるみを剥いで縛っておきましょう!」

「死ぬかと思ったじゃねーか!!服で身体を縛り上げてやるーー!!」

今、この状況だけを見られたら・・・

―――最早、どっちが敵かわからないな!


「ヨミ、見ろよ!コイツ水没して壊れた銃を持ってやがる!!異能力リサイクルで再生させて元通りにしてくれ!」

「―――わかりました!武器は、多い方が良いですからね!私は、この剣を!」

水没し壊れた銃に手を当て異能力リサイクルを発動させ、壊れる前の銃へと再生し治してもらう


これが俺達の唯一の攻撃手段だから、大事に使わないとな・・・



「よ~し、お前ら!異能力者汚れた血共に長期戦に持ち込まれたら厄介だ!!全員突入せよ!汚れた血を根絶やしにしろーー!!」


「「「―――うおぉぉぉーーー!!!」」」

雄叫びを上げながら密林へと突入して行く



「・・・ヤ、ヤバいで!ヒマワリ!!ヨミと引野が!?」

「わかってる!あたしも行きたいのは、山々なんだけど・・・上空ここからじゃ、草木が生い茂っていて、よっちゃんと引野ちゃんが何処にいるのか、わかんないの・・・」

密林上空から見下ろし状況を伝える

「せめて、大きな音や煙でも出してくれたら居場所がわかるんだけどな・・・」

「・・・くそ!引野ーー!ヨミーー!!ウチらが行くまで持ち堪えててやーー!!」

男達と闘いながら密林に向かって大声で叫ぶ



「・・・今のは、エトムの声」

「持ち堪えろって言われても、一体どうしろ・・・―――うおっ!?」

「―――んぐっ!!」

何かに足を滑らせてヨミを押し倒し、覆い被さってしまう

「・・・わ、悪い!ヨミ!!」

「―――プハッー!!窒息させる気ですか!?その胸で!!」


どうして女体化した俺のラッキースケベがこんなに不評なのかわからない!ご褒美じゃないのか!?


「―――全く、緊張感がないですね!こんな時に転ぶだなんて・・・」

「―――違うんだよ!ほら、見てくれよ!!何か踏んで滑ったんだよ!」


「・・・・・・こ、これは!?・・・な、なんでこんな所に!!」

引野の靴の裏に、へばり着いたモノに驚く!


「・・・もしかしたら、これを利用すれば!この状況を打破することが出来るかもしれません!!」


直ぐに引野が踏み潰したモノを拾い集める

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