第97話 ヨミ100%

「ねぇ~ネチュー!ネチュー!!コイツどうする?どうする?」

「ギャルにあんなことしたら、タダでは、済まないよね!」

風族嬢のネチューとビゾンが不敵な笑みを浮かべながら歩み寄って来る


「・・・ちょ、ちょっと待ってくれ!パニックだ!!・・・ど、どうして風族嬢のお前らも体内ここにいるんだ?」

取り乱しながら引野が質問する


・・・一体、どういうことなんだ?

あの鬼は、風族嬢達が仕向けた刺客とかじゃなかったのか・・・


「・・・?・・・そんなの悲願の為に決まってんじゃん!」

「夢だよ夢!夢!!」


・・・悲願?・・・夢?


あ~もう!

何で異世界ここの住人は、もっと噛み砕いて説明できないんだ!!



―――ゴゴゴゴゴーーー!!!


「・・・な、何だ!この震動は!?」

この体内の空間の全てが揺れ動いている


「エソラ~!エソラが大暴れ~!!」

「誰か気に入った異能力者でも見付けたか?呑み込むなら、こんな引野おとこな訳ないよな!」

「誤飲だ!誤飲!誤飲!!」

「エソラの異能力ちからと特技があれば・・・」


「―――オイ!その話、詳しく!!」

ネチューらに対して問い掛ける



「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

「・・・気が済んだか?」

校庭の上空にヒマワリの異能力で出現させた巨大な雲を雷雲へと変化させて、鬼、目掛けて落雷を降り注いでいくが全くダメージを受けずに平然としている


「もう諦めて楽になれヒマワ・・・―――っ!!」

「お喋りやな・・・!!ほな、次は、その腹を割って話そか!!」

異能力でネコ化したエトムが鋭く伸びた爪で鬼の唇を切り裂く


「鬱陶しい野良猫がっ!その程度の爪で捌けるものなら捌いてみろ!!この手に入れた腹筋は、鋼よりも硬いぞ!!」

鬼の周りをネコ化したエトムが四足歩行で高速で走り回り、その動きに合わせて雲に乗ったヒマワリも一緒に飛行し、鬼を錯乱させる


「鍋奉行様~!!準備は、整いました!エトムとヒマワリが惹き付けている間に・・・どうか引野という男をお救い下さい~!!」

「承~知した~!!」

ヨミが土下座しながら鍋奉行様ノマール先生に頼み込む


「ケーさん!フォローお願いしまーす!!」


「・・・・・・」


「・・・ケーさん?トキド・ケーさん!聞こえてますか!?」

「・・・・・・」

ヨミの呼び掛けにトキド・ケーは、反応を示さない


「・・・何だ、観念したのか?なら、くたばれーー!!」

立ち尽くし俯いているトキド・ケーを鬼が踏み潰そうとする


「どうしたの?トキド・ケーさん!!早く避けてーー!!」

ヒマワリが大声を上げる


「―――ケー!!」

踏み潰される寸前のところを間一髪でエトムが救い出す


―――パーンっ!!


「何をボケッとしてんねん!!今、引野の事を後悔してる場合か?立ち止まってる時間は、ないで!!」

「・・・・・・!!」

上の空だったトキド・ケーにビンタして声を張り上げる


「この場に異能力者がいるなら遠慮は、いらないな!―――異能力発動っ!!」

鬼が地面へ両手を付け、異能力を発動させると地中から無数の巨大な針が飛び出し、その針を中心に針が枝分かれしていき、ヒマワリ達、目掛けて襲い掛かる


「もう、これで逃げ場は、ないぞ!!」

四方八方からヒマワリ達を狙って勢い良く伸びていく




「―――えっえぇぇぇーーー!!」

引野の驚きの声が肉の壁に反響し体内へと響き渡る


「あの鬼の正体があの時にいた!小柄な風族嬢のエソラだって!?」

ネチューらの話を聞いた引野が驚愕する


ミスコンの会場や森の中で見た時は、普通の女の子だったのに・・・


―――どうして、あんな姿に!?


「エソラ沢山!沢山、呑み込んだから!!」

「ギャルの私らに加え、特技持ちの連中も呑み込んだから見た目も少し変わったのかも・・・」


・・・特技持ちの連中?


「―――まさか!体内ここにマジナ先生やドッポ、マッソもいるのか!?」


「「・・・さーね!!」」

白々しい態度を見せる


「ま、ただ1つ、はっきり言えるのは・・・エソラの特技人間ポンプで呑み込んだ人の異能力や特技は、自由自在にコントロール出来る!!」


・・・そうか!

あの時のエソラの動き、力、技、全て合点がいく


「・・・ヒマワリ達、大丈夫かな」

早く助けに行かないと・・・



「―――きゃぁぁぁーーー!!」

校庭全体にヒマワリの悲鳴が響き渡る


「もう~折角の衣装がビリビリになっちゃった~!!」

「ウチのもや!コイツ、器用に着てる服だけ破きやがって!!」


「・・・・・・命拾いしたな・・・次は、外さん!!」

ヒマワリ達を串刺しにするつもりで伸ばした針が全て当たらず、服を切り裂くことしか出来なかった


「―――異能力発動っ!!」

再びエソラが地面に手を当て、異能力を発動させると地中から大量の針がヒマワリ達、目掛けて突き上がっていく


「きゃぁぁぁーー!!もう~!また~!!」

「さっきよりも布面積が少なく!際どい格好に・・・完全に弄んどるな!!」

再び着ている服がビリビリに破けていき、露出度が高くなっていく


「みんなー!落ち着いて!冷静に!!これは、服を破き、露出面を増やして羞恥責めをして精神的に揺さぶりを掛けているだけだからーー!!」

ヨミが恥ずかしがる2人へ声を掛ける


「せやけどな・・・―――って!ヨ、ヨヨ、ヨミ!!」

みんなは、セクシーな感じに破けて大事な部分は、見えないようになっている中、ヨミ1人だけが綺麗に丸裸になっている


「よ、よよ、よっちゃんこそ冷静になって!!今、1人だけ客観視できてないよ!!」

そのヨミの全裸すがたにヒマワリが慌てて異能力を発動させ、ヨミの大事な部分を雲で隠す


「大丈夫!安心して下さい!!私には、異能力リサイクルがある!・・・―――はっ!!」

破れた服の切れ端に異能力を発動させると元通りの服へと戻っていく


「ほら、この通り!直ぐにヒマワリ達の服も・・・」

「行かせるか!―――異能力発動っ!!」

ヨミに向けてかざした手の平から無数の針がヨミ、目掛けて一直線に伸びていく


「よっちゃん!危なーい!!」

ヒマワリが声を上げる


―――ビリビリビリビリ・・・!!


「フフフ・・・その攻撃羞恥責めは、私には、効きませんよ!!」


「―――いや、またスッポンポンになってるやん!!」

再び器用に全裸になり格好付けるヨミにエトムがツッコミを入れる


「だから隠して!隠して!!」

もう一度、ヒマワリがヨミの大事な部分を雲で隠す


「・・・・・・?」

エソラが両手の手の平を不思議そうに見つめる


「・・・何故、当たらない?」



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