第16話 体育館

体育館


「はーい、それまで!・・・では、今日の授業を終わります!」

ノマール先生が授業の終わりを告げるとみんな、動きを止め、ボールの弾む音だけが響き渡る。


「では、今回、赤点だった生徒は、罰として体育館ここのそうじと後片付けをしてから帰るように・・・では、みなさん!さようなら」

ノマール先生が職員室へ戻って行くと、みんな、各々に談笑しながら体育館から出て行き始める。


「はぁ~ 終わった!終わった!!赤点は、また 転送生だけだな!」

「本当!本当!!転送生が来てから後片付けやそうじは、全部、やってくれるから楽で良いよな!」

「わざわざ異世界へ清掃しに来てくれるなんて、面白い奴だぜ!」



「「「はーはっははは!!」」」



「・・・・・・はぁ~」

立ち去って行くみんなの笑い声を背中で聞き、ため息が漏れる


・・・なに、やってるんだろ?・・・俺!


こんな訳もわからない異世界ところに来て、男子校へ通うことになり、卒業するまで元の世界へ帰れないと言われ、異世界流のイジメに遭ったと思えば、対抗戦を申し込まれ、その日も明日に迫っているというのに逃れる術が全くないという状況に・・・


「・・・ふ、ふふ・・・ふふふ・・・はーはっはは!―――いや~ 異世界やってるな~!!」

身を震わせ、笑みがこぼれ、歓喜に沸き始める。


いや~ 異世界やってるわ~!!俺!アニメで観た!異世界物って感じだわ~!


・・・ただ一つ!・・・一つだけ不満があるとしたら


―――美少女ヒロインだよ!美少女ヒロイン!!

女の子がいないのが物足りない!こういう時って美少女ヒロインの優しい言葉に胸を打たれ、心を熱くして対抗戦へと挑むのが王道だろ?


まー 男子校でそんな無い物ねだりをするのは、無茶なのは、わかるが!そこは、異世界!なんとかしてもらいたい!異世界ここは、何でも有りだろ!?


「・・・・・片付けるか」

一周回って、この追い込まれた状況を楽しんでしまったが、冷静さを取り戻し、床に散らばったボールを拾い始める。


「・・・・・・あれ?ここ、閉まってなかったっけ?」

いつの間にか、体育館の戸が開き、そして背中に視線を感じる


・・・この感覚、覚えがあるぞ!振り返らなくてもわかる!

この視線は、異世界系オカマ教師のだ!


「マカオ!良いところにぃいいー!?―――って!? え?・・・えっ?トキド・ケー!?」


そこには、異世界系 絶世の美男子が立っていた。

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