第17話 疑問

「―――ト、トト・・・トキド・ケー!?」


体育館で一人、後片付けをしていると、そこに、Aクラス実力ナンバーワン 超人!トキド・ケーが現れた。


・・・ な、なな

・・・なんで体育館こんなところに!?

放課後は、誰も体育館を利用しない筈なのに・・・


「・・・・・・」


・・・な、なんだろう

ここに来てから何も言わず、佇んでいる。


・・・俺に何か用でもあるのかな?

―――もしかして、俺の挨拶待ちとか!?

それなら、すぐに俺の方から・・・


「・・・質問・・・良い?」

トキド・ケーが沈黙を破り、喋り始める


「―――っ!?ど、どうぞ!どうぞ!!・・・俺なんかが答えられるかどうかわかりませんが・・・」


「・・・何故・・・異能力を使わないの?」


・・・・・・ん?


「異能力を使えば・・・一人で掃除なんてしなくて済むし、嫌がらせだってされなくなる・・・それなのに何故・・・異能力を使わないの?」



・・・・・・



―――そうか!?

トキド・ケーは、俺が異能力を出し惜しみしてると思っているんだ!


「恥ずかしいことじゃないよ」


「・・・えっ?」


「元々、貴方のいた世界の男性より、ここの世界の男性の方が知力・体力が優れているのは、一目瞭然!その差をなくし、対等にする為に異能力を授かったのだから・・・その力を使うのは、恥では、ないのに・・・何故、使わないの?」


―――言えない

とても言える状況じゃない!イジメの原因が自分の異能力ラッキースケベだなんて、絶対に言えない!!


トキド・ケーは、無表情で分かりにくいが恐らく納得いく答えを待っているような気がする!


「・・・答えて」

真剣な眼差しで訴えてくる


・・・そうだよな

わざわざ体育館まで訊ねて来るぐらいだから、余程の理由わけがあると思うよな・・・


けど 実際は、使じゃなくて使!!


―――ダサイ意味で!!


・・・でもこのままじゃ トキド・ケーも、納得して引き下がっては、くれないだろうな


・・・こうなったら・・・正攻法で!シンプルに!一か八か!!


「・・・お、俺は・・・極力、異能力は、使わない主義なんだよ!」


トキド・ケーに嘘を付くしかない!!


「そりゃあ、この異能力ちからを使えば、もう嫌がらせやイジメもされなくなるし、体育での成績だって良くなり学園生活も有意義に過ごせると思う!」


「・・・?なら何故」

首を横に傾げる


「―――そんな異能力特別な力を使って生きていたら、その力を使うのが癖になって異能力がないと何も出来ない奴になってしまうだろ?だから、なるべく俺は、異能力を使わず、自分の力で乗り越えていきたいと思っているんだ!」


「・・・・・・」


「それに、俺だって努力では、どうにもならない時には、使わせてもらうよ!・・・ただ、まだ異能力を使わないだけだから!!」


・・・ダ、ダメか

今の説明は、流石に無理があったか!?


・・・どうなんだ!?トキド・ケーは、顔色一つ変えないから感情が読み取れない!今ので納得したのか?してないのか?どっちなんだ?



―――ニコッ!!



―――あれ?

・・・今・・・一瞬、笑ったような



「手伝うよ」



・・・・・・


「―――えぇええーーー!!いや、いいです!いいです!!これは、俺の雑用しごとだから」


「・・・じゃあ、貴方は、社会に出ても一人でやるの?私が手伝いたいから、手伝うよ」


「・・・・・・あ、ありがと」

頬を赤らめ目線を反らす


―――な、なにを照れているんだ!!俺は!?

いくらトキド・ケーの顔が綺麗で整っているからといって・・・



―――男だぞ!!



落ち着け!冷静になれ!!俺は、マカオと同じ人種なんかじゃない!!

男なんて嫌いだ!俺が好きなのは、女子おっぱいだ!! おっぱいの大きな子が大好きなんだ!


と自分に言い聞かし、万が一、異能力ラッキースケベが発動し、トキド・ケーへ迷惑を掛けないように少し距離を取り、体育館の後片付けの作業に戻る。


――――――が


「―――うわっ!?」

「・・・・・・」


あんなに注意してたのに・・・後ろにいたトキド・ケーに気が付かず、ぶつかってしまい・・・


―――トキド・ケーの上へ覆い被さる様に倒れ混んでしまった!



「・・・・・・」



・・・肌白いな~

こんなにも間近で見ても綺麗な肌してるし、目鼻立ちもしっかりしていて、良い匂いまでする。


―――本当に男?


こんな、女の子より女の子な見た目をしている男性が存在するのか!?


何故だろう?さっきから胸の鼓動が!?

・・・ドキドキ・・・ドキドキ・・・いや、違う!ドキドキ、ドキドキ・・・これは・・・その・・・胸の高鳴りとか・・・そういうのじゃなくて・・・ドキドキ、ドキドキ・・・ドキドキ、ドキドキ



―――緊張だっ!!



そうだ!これは、緊張だ!緊張からくる胸の高鳴りだ!!

それなら辻褄も合う!俺は、目上の人に失礼を働いたから、焦っているんだ!


これが噂に聞く、つり橋効果というやつだ!


緊張のドキドキと恋愛のドキドキがごっちゃになって、勘違いするという


・・・だから落ち着け

この胸の高鳴りは、緊張から・・・くる・・・やつだから・・・安心・・・



・・・・・・静かだな



今、この世界に二人しかいないようだ!


・・・このまま

時が止まれば・・・良いのに



「・・・・・・あ、あのさ・・・」


「―――貴様っーーー!!何やっとるかーーー!!」



二人だけの世界に邪魔者マッソが現れた。



・・・デジャヴ?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る