第18話 驚き

「―――貴様ーーー!!何やっとるかーーー!!」


二人だけの世界に、一頭の角刈りゴリラが大声を上げ乱入して来た。


・・・び、びっくりした~

本当に心臓ときが止まるところだったぞ!?


「トキド様!ご無事で!!」


「・・・・・・マッソ」

トキド・ケーの身の安全を確かめるやいなや、綺麗に並べた用具を蹴り飛ばしながら俺のもとへ詰め寄って来る。



・・・あ~ 折角、片付けたのに



「貴様!Aクラスの生徒へ声を掛けるなと忠告をしたのに・・・何してる?」

怒りで顔を赤らめ鬼のように睨み付けてくる


「―――な、なな・・・なにも・・・なにも、まだ・・・まだ、してない・・・やましいことも・・・あっ、だって全然反応してないし・・・」


「―――怪しいな 貴様!?」

動揺を全く隠しきれていない、引野の返事に疑いの念を強め、胸ぐらを掴む


「―――まさか、貴様!?・・・トキド様にケガを負わせトップの座から引きずり降ろす気か!」


「ち、違います!違います!!」


「どうだか?この学園にも、そういった狡い真似をする輩がいるという情報は、掴んで・・・」


「―――マッソ!」

トキド・ケーが口を開く


「・・・ぐっ!?・・・し、しかし」


「―――行くよ」


「はっ!!・・・転送生!今日の所は、トキド様に免じて、勘弁してやるが明日の対抗戦では、血祭りに・・・いや、骨祭に上げてやる!!」


―――骨祭っ!?


なにそれ!? 怖い!!


そんな謎めいた言葉を残し、去って行こうとする



・・・・・・なんだろう?

トキド・ケーが立ち止まり、俺の顔をじーっと見てくる。


・・・顔に何か付いているのか!?


「・・・―――っ!?」


・・・い、今!?

去り際に口パクでって口を動かしてくれた!!



「・・・はぁ~・・・トキド・ケーか~」

去って行く、後ろ姿を見て、呟く


―――ち、違う!違うよ!!

そんなんじゃない!そんなんじゃないから!!別に何も目覚めてないし、何も変わって・・・な・・・い・・・


「・・・あれれ?」

さっきまで散らばっていた筈のボールや用具が綺麗に片付け終えている。


・・・な、なんで!?

突然、授業が始まる前・・・いや、新品同様に綺麗になっている!



・・・・・・



―――怖っ!!

誰もいない 放課後の体育館なのに!?


・・・これは

・・・もしかして・・・あれか!?

この学園の七不思議の一つか!?


「―――もう~!! 怖い、怖い!一体何なんだよー!!」

足早に体育館を飛び出して行く



―――異世界で心霊現象は、なしだから~!!



体育館の帰路


「トキド様!困ります!勝手な行動をされては、他の生徒への示しがつかません!」


「・・・・・・」


体育館を後にした。マッソとトキド・ケーが帰路へ付く


「一体、何故あのような輩の肩を持つのですか!?」


「・・・・・・」


マッソが一方的に話し掛け、表情を一切変えず、トキド・ケーがただただ頷いている。



・・・全く!トキド様は、一体、何をお考えになっているか、わからない!!


今も若干、頬が赤らめているようにも見えるが・・・

西日が強いせいで、断定は、できない!


・・・それにしても

何だか、周りが騒がしいな


「おい!本当かよ!?行ってみようぜ!」

「ドジだ!ドジだとは、思ってたけどな!!」

「アイツのおっちょこちょいも・・・ここまで酷いとわな!!」

体育館へと走って行く生徒を呼び止める


「―――おい!一体、何の騒ぎだ!?」


「―――ひぃいいーーー!!ま、マッソ様!すいませんすいません!!」


「いいから、早く話せ!!」

胸ぐらを掴み、急き立てる


「た、たた、体育館で・・・転送生が・・・階段から・・・お、落ちたそうで・・・」


「―――ふっ!なんだ、そんなことか!?―――あれ!ト、トキド様!トキド様!!何処えぇーーー!!」


マッソの呼びかけを聞き流し、そのまま全速力で体育館へ戻って行く

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