第20話 Cクラスの先生

「――――邪魔するぜ!じじい!!」

チンピラでしか聞かない、台詞を吐きながら勢い良く、保健室へと入って来る。


「来たようじゃな・・・コドナ先生、この子です。この子が転送生の引野優くんじゃ!」


「・・・え?・・・コドナ・・・・・・先生?」

シャイ先生が保健室へ入って来た。言葉使いの悪い、紅く長い髪を一本に纏めた。身長130cmぐらいの少年と話し始める。


「ちょっと、シャイ先生!冗談は、やめてくださいよ!!この子がCクラスの先生だなんて!?」

不意をつく、シャイ先生のボケに笑みが溢れてしまう


「はーはっはは・・・この見た目じゃ、同級生・・・いや中学・・・下手したら小学生にしか見えないですよ!!はーはっはは!」

ベッドの上で腹を抱え笑い転げる


「こ、これ・・・お主・・・・・まー、少し童顔じゃからな」

シャイ先生が恐る恐るフォローを入れるが、何をこんなガキんちょに怯っているんだか!?

 シャイ先生の忠告を無視し、おちょくることを止めず、その子の元へ近寄って行く


「顔じゃないですよ!身体ですよ! か・ら・だ! ほ~ら、コドナ先生が来るから先生は、早くお家にお帰りな ―――ぶへっ!?」

 その子の頭を撫でようとした途端、右頬に衝撃が走り、尻もちをついてしまう


「―――いててて・・・い、一体・・・何が―――ぐはっ!?」

 今度は、擦っていた頬とは、逆側に衝撃が走り、倒れてしまう。


「―――・・・な、なんなんだ!?・・・シャ・・・シャイ先生!」

 不可解な現象に恐怖し、不安気な眼差しをシャイ先生に向け、助けを求める。


「・・・・・・やれやれ、お主が悪いんじゃぞ」

 ため息を吐き、ぼやきながら話し出す。


「―――コドナ先生!・・・今回は、このぐらいで勘弁してやってくれんか?」


・・・え?

・・・それは、どういう!?


「この野郎だけは、勘弁ならねーーー!!あと百発ブチ込んでやる!!」


「そんなに殴れば死にますよ」

「死んだ方が悪い!」

 反省の色が見えないコドナ先生の態度にシャイ先生は、呆れ返る。


・・・ウソだろ!?

さっきの衝撃は、この少年がやったのか!!


「―――って!? あんた本当に先生だったの!?その見た目で!?今、何歳っ!?」

上下ジャージ姿で両手をポケットに入れたまま話しをする姿勢や態度からは、とても教師とは、思えない!


「人にモノを教えるのに・・・見た目や年齢は、関係ないだろ!!」

真っ当な事を言うなら疑われない格好をしろよ!


「まー、それは、そうだけど・・・でも、先生だとしたら、さっきのは、体罰だろ!体罰!!先生が生徒に手を上げていいと思ってんのか!?」

すげー痛かったんだから!!


「うるせーな!見えなきゃ、体罰には、入らなねーんだよ!!」


「んな!めちゃくちゃな!!子どもみたいな屁理屈言うなよ!?」


「・・・誰が・・・子どもだって?」

「―――痛っ!!」

 鋭い目つきで睨まれた途端、目に見えない体罰が頭に飛んできた。


・・・一体

この幼い身体のどこから、こんなにも重く、速い、体罰が・・・

流石っ!化け物だらけの学園の教師なだけは、ある!


―――恐ろしい!!

シャイ先生が怯える訳だ!


「それでは、コドナ先生!この子をよろしくお願いしますね」

シャイ先生が俺の背中を押し、保健室から追い出そうしてくる


「―――ったく!しょーがねーなー!・・・じじいの頼みだ!気は、進まねーが・・・まーたっぷり可愛がってやるか!!」

 両指をポキポキ鳴らしながら不敵な笑みを浮かべる。


「おい!ちょっと待て!!その可愛がるっていうのは、可愛がられた方は、傷付き、のたうち回る方のやつだろ!? 俺は、生徒にそんな大人気ないことをする先生やつのクラスは、嫌だーーー!!」


「テメー、誰が?・・・大人じゃない先生だって?」

「誰もそんなことは、言ってないだろ! ―――って痛っで!?おい!だから見えない体罰をするなって!!生徒には、優しく接しろよ!」

 鋭い目つきで睨まれた途端、額に目に見えない衝撃が走る


「それなら安心しろ・・・俺は、いつも生徒に対して、愛情を持って接している」

「―――どこがやねん!!」

思わず関西弁でつっこんでしまう


「愛情ってやつは、目に見えないだろ?だから愛のある俺の体罰は、見えない!そして受けたその痛みは、俺の愛の重さだと思え!!―――それが俺の教育だ!!」


「・・・・・・なら、完全に片想いですよ」


「・・・そうか・・・・・・なら、両想いになるまでブチ込んでやる!!」

拳を握り、両手で構え、両足でステップを踏み始める。


「―――ごめんなさい!ごめんなさい!!ウソです!ウソです!!口では、あんなこと言いましたけど、ちゃんと理解してますよ!反抗したい年頃だし、コドナ先生のクラスが楽しみだな~!!」


・・・もう、そう言わなきゃ

―――殺される!!


「そうだろ!そうだろう!!反抗期なのは、大目に見てやるが、俺は、こういうことをどんどん教えていくぞ!!」


「教育者が子供に何を教えようとして・・・」

小声で、ぼそっと呟いてしまう


「テメー・・・誰が?・・・子どもが何を教えようとしてるだ?」


「いや、本当に言ってない!言ってない!!―――いっだだだ!」

 鋭い目つきで睨み、もう隠すことなく、俺のこめかみを掴み、プロレスでいうアイアンクローを仕掛けてくる。

・・・完全な濡れ衣だ!


「いっだだだーーー!放して!放して!!・・・骨が・・・骨がグギグギ言ってる・・・やめてやめて・・・骨がグギグギ言ってるからーーー!!」


「テメー・・・誰が?・・・ガキガキだって!!―――おらっ!!」

「―――ぐふっ!!」

 掴んでいた。引野の頭をボールのように壁に投げつける。


―――あんまりだ!!

こんな仕打ち!?



 ・・・・・それにしても、なんて力してるんだ!! コドナ先生は!?


 もう二度とコドナ先生の前で子ども扱いや冗談をしないように心掛けよう!!



「ほっほほ・・・二人とも仲良くなって何よりじゃ」


「―――どこが!?そんな要素一ミリもなかっただろ!!」

それにこれ!あんたが言ってたイジメじゃねーか!?

 ・・・全身スゲー痛いんですけど


「今日は、色々合って疲れたじゃろ?特別にここに泊まっていきなさい」


「ちょうど、このベッドを利用したいと思っていたので助かります」

・・・一刻も早く、傷を癒さなければ!


「つーわけだから、引野!明日、8時までにCクラスの職員室へ来い!もし1秒でも遅れたら・・・

 ―――半殺し100回だからな!!」

先生とは、思えぬ物騒な言葉を残し、シャイ先生と共に保健室から出て行く


・・・それもう、全殺しですよね

―――コドナ先生

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