第108話 里帰り
校舎上空の雲の上
「もう~えっちゃんもよっちゃんも何考えてるの?今、外出禁止令が出てるのに・・・!!」
「ちゃうねん、ヒマワリ!ウチは、風族嬢にいいようにやられた借りを返したいだけやねん!!」
「単独で危ないことしちゃダメだよ!」
風族嬢とのリベンジマッチを企む、エトムを説得する。
「まーまーあまりエトムを責めないであげて下さい!ヒマワリを守れなかった罪悪感から解放されたかっただけなんですから・・・」
「・・・そういうよっちゃんは、何でそんな格好をしてるの?」
両手いっぱいに遊び道具を抱えたヨミへ問いかける
「・・・・・・ノーコメントで」
「遊ぶ気満々だったんでしょ・・・もう~!!」
「「「───あっはははーーー!!!」」」
仲良く笑い合う
校内で風族嬢達と異能力バトルを繰り広げたヒマワリ達には、大きなケガなどは、無く
保健室でシャイ先生に診察してもらい、ベッドで寝たら、直ぐに元気になった。
魔力、体力も回復したヒマワリ達は、引野同様に寮で待機してることに飽きて外へ繰り出していた。
「今日は、あたしの部屋に集まってカードゲームで遊ぼう!!」
「悪くないですね!・・・どうせ、帰るならもっと上空を飛んで帰りましょう!!」
「ちょい、待ち!アレ見てみ!!」
「「・・・あっ!!」」
エトムの指差した先に引野の姿が
「外出禁止の中・・・臆病な引野が・・・あんな場所に?・・・見つかったら叱られるのに・・・!!」
「・・・ん?・・・あれは、学園長じゃないですか?」
「ホンマや!何でこんな体育館裏に・・・?」
雲の上からこっそりと様子を伺う
「・・・な、何してるのかな?」
「なんや、イチャついてるように見えるな・・・」
「───密会ですね!」
「「・・・み、密会っ!!?」」
エトムとヒマワリが驚きの声をあげる
「考えてもみて下さい!わざわざ こんな人気のない
「「ま、まさか・・・」」
「教師と生徒、大人と子供、男と男の禁断のラブロマンスです!!」
「「───えっええぇぇーーー!!」」
ヨミの推察に悲鳴が上がる
「そ、そんな・・・爛れた・・・もう見なかったことにして帰ろ!」
「せやな・・・」
エトムとヒマワリが知りたくもなかった現場にドン引きする
「いや、もう少し観察していきましょう!こんな面白いモノを見れる機会、2度とないかもしれません!近付きましょう!声が聞こえる距離まで・・・」
何故か1人、雲から身を乗り出し、興奮しているヨミを落とさないようにエトムとヒマワリが体を支える
「それ以上は・・・よっちゃん、ダメだよ!」
「な、なんや!アレ?・・・時空に・・・空間に・・・穴を開けた!?」
「何でしょうアレは!?気になる!気になります!!ヒマワリ、雲を降下させて下さい!!」
「よっちゃん、そんな大声出しちゃ!バレちゃうよ!!」
「ヒマワリの方こそ声デカイって・・・!!」
全員大声で話し続ける
「「「───きゃぁぁぁーーー!!!お、落ちるぅぅぅーーー!!!」」」
暴れるヨミを支えきれなくて3人揃って雲から落っこちてしまう
「・・・ヒ、ヒマワリ!?───ぐぅわぁぁーー!!」
激突したヒマワリ達と一緒にマカオが開けた次元の穴へ吸い込まれていく
「それじゃあ、いってらっしゃ~い!お土産と約束忘れないでよ~!!」
マカオが現世へと向かう引野、ヒマワリ、エトム、ヨミへ手を振りながら見送る
日本のとある都会の都心部
「・・・・・・あれ?こっちは、夜だったのか!?」
久しぶりに帰って来たけど・・・
なんか実感、湧かないな!
・・・ま、原因は、わかっている!!
「見て見て~!真夜中なのにすっごい明るい~!!なんでなんで~!!」
初めて見る現代の科学力の数々に興奮したヒマワリが異能力で出現させた雲に乗り、ビルの間を高速で飛び回り
「トロいトロいトロいな~!何やお前ら?さっきまでの威勢は、どうした?そんなんでウチをちぎれると思うなよ!!」
バイクで颯爽と走る暴走族相手に異能力を発動させ、ネコ化したエトムが背面走行で競争している
「な、なん何ですか!?この世界は・・・至る所に
ヨミが不法投棄された粗大ゴミへ
───ヒマワリ達がいるから、日常へ戻った感がしない!!
「エトム、ヒマワリ、ヨミ集合・・・!!」
このバカ達にもう一度、こっちの世界のルールを教えないとな・・・
「なになに・・・どうしたの?恐い顔して・・・」
「目立ち過ぎだ!」
引野の言葉にピンとこないヒマワリ達が首を傾げる
「・・・?・・・何言うてんねん!
「それがダメなんだよ!向こうの常識は、ここでは、通用しないぞ!!」
バイクより速く走る人間なんていないんだよ!
「引野!えっちゃんに悪気は、なかったの!!許してあげて・・・」
「───一番目立ってたのは、お前だ!ヒマワリ!!」
「・・・あ、あたしっ!!?」
異世界でも空、飛んでいるのお前しかいないだろう!
「今から隠密行動でいきましょう!一旦この病院に隠れましょう!!」
「・・・・・・何だ、この病院は?」
この時代には、見かけない昭和感漂うモダン造りの病院は・・・!?
・・・こんなのここにあったかな?
「私が廃墟へ
「何やってんだ!バカ!!めちゃくちゃ目立つわ!!」
思い出した!ここは、この街で一番有名な心霊スポット、血塗られた廃病院!!
それが一夜にして真新しい状態になってたら、心霊現象より怖いだろうが!!
「あたしがさっきの状態に戻すね」
「・・・ま、待って!ヒマワリ!!・・・な、何する気だ・・・!!」
───ズドォォォーーーンン!!!
「これなら誰にもバレないね!!」
「ナイスや!ヒマワリ!!」
「フォローありがとうございます!!」
病院の上空に出現させた巨大な雲を雷雲へと変化させ、落雷を落として廃病院へと変える
・・・そうか
コイツら異世界人だからこの世界の常識を理解できないんじゃなく!
シンプルに一般常識がないだけなんだ!!
これは、異世界人だとバレるのも時間の問題だな・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます