第5章 地球

第107話 後ろの正面だ~れ?

「良い天気だな・・・」

文化祭は、風族嬢によって妨害され中止になった。

学園を乗っ取り 崩壊させようとした黒幕の風族嬢エソラを倒し、残党の風族嬢 カサ、ネチュー、ビゾンは、コドナ先生達が捕らえ拘束したらしい


だが、まだ校内に風族嬢が潜んでいるかもしれないので生徒達には、外出禁止の注意喚起が出た。


・・・確かに

あんな大事件が遭ったのだからそれぐらい警戒するのは、当たり前のことなのだが・・・


───暇だぁぁぁーーー!!!


異世界に来て初めてわかった!

寮で待機し続けることがこれ程までに辛く苦痛なものだとは、思わなかった!!


現代にいた時は、年中無休で引きこもり生活をしてても平気だったが この異世界せかいには、娯楽がない!

ゲームやマンガ、ネットにテレビ、何もないあの部屋は、牢屋と何も変わらない!!


あああぁぁぁーーー!!

コントローラーを握りたい!リモコンをいじりたい!キーボードを触りたい!週刊誌をめくりたいぃぃぃーー!!


・・・そんな、禁断症状から少しでも気を紛らわす為にこっそりと体育館裏へ気分転換しに来たんだが・・・


何か不良になった気分だな!

先生に隠れてタバコを吸うみたいな・・・


「だ~れだ~?」

「───っ!!?」

突然、妖艶な声の持ち主に目隠しをされる


「ダメじゃない?怖~い怖~い、風族嬢がいるかもしれないのに出歩くなんて・・・」


・・・や、やばい!


「悪い子ね~・・・こんな人気のない所で1人でナニをしようとしてたのかな?・・・私と2人きりになりたかったのかしら~?」


・・・マジでやばい!!

みんなに内緒で外出したから、俺が体育館裏ここにいることは、誰も知らないから助けは、来ない!それに完全に背後を取られ、オマケに目隠しをされていて絶体絶命の大ピンチ!!


・・・クソっ!

クソクソクソクソ・・・!!


油断した!何でこのタイミングで風族嬢に出会うんだ!!


「そんな悪い子には、お仕置きが必要みたいね~」

・・・え?

「・・・・・・お、お仕置き?」

鼻の穴を大きく膨らませながら訊ねる


「いけない男の子には、調教よ~!私のスペシャルコースで骨抜きにしてあげるわ~!!」

「・・・・・・っ!!」


・・・だ、ダメだ!

ダメだダメだダメだダメだ・・・!!


そんな、言葉に騙されちゃダメだ!

これは、誘惑なんかじゃない!!


シチュエーションに1人酔っているだけだ!

人気のない体育館裏・・・エッチな風族嬢おんなのこ・・・シャンプーの甘い香り・・・


───惑わされるな!


それは、全部妄想だ!!

今、お前は、命の危機に瀕しているんだぞ!!


鼻の下を伸ばしてる場合じゃないぞ!引野ひきの ゆう!!


「準備するから振り向かないでね~」

「・・・・・・!!」

塞いでいた手を離され視界が拡がり、興奮が最高潮に達する


振り向かないで・・・っか!

お父さん、お母さん、順序が逆になってしまいましたが・・・

わたくし、引野優 お先に卒業式させていただきまーす!!


「・・・───って、オカマじゃねーかよ!!」

「オカマじゃないわよ!・・・マカオよ!マ・カ・オ!!」

鼻の下を伸ばし振り返ると、この学園のトップ、学園長のマカオがいた


「何で こんな所にいるんだよ!マカオ!!」

「それは、こっちのセリフよ!何で出歩いてるのよ?」

「・・・うっ!」

オカマのマカオに正論を言われ、言葉を詰まらせる


「お仕置きタイムよ!私のスペシャルコースで骨抜きにしてあげるわ!!」

「ま、待って待って待って待って・・・!!それだけは、勘弁して下さい!!」

オカマにそんなことされたら精神が崩壊してしまう


「う~ん・・・それは、残念!・・・ならスペシャルコースを骨抜きから皮膚剥がしに変更ね・・・!!」

「骨抜きって比喩じゃなかったの!!?」

何でこの学園には、恐ろしい先生しかいないんだ?

今度、教員免許を持ってるか確認しよう!!


「も、元はといえば・・・こんな事態になったのは、学校側の不手際じゃないんですか?教育委員会に確認しましょうよ!!」

「・・・うぅ・・・痛いとこ突くわね!・・・お詫びに私のディープキッスを・・・」

「そんなことしたら、直ぐ様、警察へ駆け込んでやる!!」

大声を上げながら森の中を走り回れば、俺の異能力ラッキースケベの力で婦人警官に出会える気がする


「・・・わ、わかったわかった!なら・・・一度、元の世界に戻る?」

「・・・・・・えっ?・・・そんなこと出来るの!?」

・・・う、うそだろ?


「当たり前よ!・・・忘れたの?異世界ここへ転送させたのは、ドコのお姉さんだ?」

「お姉さん?心当たりないな・・・おねぇの人ならいたけど・・・」

「───あぁ?それは、もしかして俺のことを言ってんのか・・・!!」

キレたマカオが普段のオカマ口調と打って変わって、声も野太く低い男の・・・いや、漢の声に変わり、一人称も俺に変化する


・・・こ、怖~!!


「い、いや・・・じょ、冗談じゃないっすか~?本気にしないで下さいよ~!!・・・て、照れ隠しじゃないですか~!!」

この学園の先生おとなは、沸点低すぎじゃないか?地面スレスレだよ!


「んっ!んんっ!!・・・───も~う~!ツンデレってヤツね!全く困ったちゃんね!!」

機嫌が良くなったマカオの喋り方が元のオカマ口調に戻る


・・・本当の困ったちゃんは、どこのどいつだ!!


「───フンッ!!」

マカオが手をかざした空間に穴を開ける


「これであなたのいた世界と繋がったわ!心の準備は、出来た?」

・・・やった!やったぞ!!

とうとう元の世界へ帰れる!!


「そうそう・・・言い忘れてたけど・・・向こうの世界に滞在できる時間は、24時間!時間が経てば強制的に異世界ここへ戻れるからね・・・!!」

そ、そうか・・・


・・・い、いや

それでも充分だ!一度、帰れるだけでも気持ちが全然違う!!


「いってらっしゃい!これだけは、約束して・・・絶対に異世界人ってバレないでよ・・・!!」

「な~んだ!それなら楽勝楽勝!!」

現代にいた俺の生活を忘れたのか?

毎日毎日、陰日向に生きてきた俺が騒ぎを起こすなんてあり得ないから!知人、友人なんてネットの世界にしか存在しないのだから・・・!!


・・・あ、あれ?

何故だろう、涙が出ちゃう!

空を見上げて堪えないと・・・


「・・・・・・んん?」

雲って、こんなに低い位置に出てたっけ?

何かどんどんどんどん迫って来ている気が・・・!?


「「「───きゃぁぁぁーーー!!!」」」


「・・・ヒ、ヒマワリっっ!!?」

「アカンアカンアカンアカン・・・!!ヒマワリ、前!前っ!!」

「抜け駆けは、許しませんよ!私に内緒事とは・・・!!」

「よっちゃん、落ち着いて!危ない危ない・・・!!」

悲鳴を上げながらヒマワリ、エトム、ヨミが空から降ってきた。

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