第84話 逃走劇
「引野ー!ノマール!!ヒマワリを連れて遠くへ逃げろ!!」
コドナ先生が大声で叫ぶ
「・・・えっ!・・・で、でも、コドナ先生・・・!!」
「―――オイ!ヒマワリ!!もう少し奥に詰めろ!落ちるだろ!!」
「引野くん、場所を取り過ぎです!僕の身体が半分、雲から出てるんですけど・・・」
不安気な様子のヒマワリを尻目に勝手に雲へ乗り込んで来た、引野とノマール先生がいちゃもんを付け合う
「さぁ~!狩りの時間だ!!ヒマワリを捕らえろ!男2人は、殺しても構わん!!」
エソラが叫ぶと再び茂みの中から肉食獣が続々と姿を現す
・・・ま、また
人喰いウルフの群れ!
あのエソラとかいう風族嬢・・・
一体どれだけの数、引き連れて来たんだよ!!
「ヒマワリ!ここは、危険だ!早く離れよう!!」
「そんな・・・先生を置いて行けないよ・・・」
「大丈夫です!コドナ先生もマジナも強い!!僕達がここにいたら
2人でヒマワリを説得する
「逃がすな!捕まえろーー!!
エソラの言葉に反応した人喰いウルフが雄叫びを上げながら走り出す
「―――来た来た来た来た・・・!!上空へ避難しろ!ヒマワリーー!!」
引野が驚きの声を上げる
「―――バチンッ!!」
―――バサササーーー!!!
「・・・こ、このハトは!!」
ヒマワリと人喰いウルフの間に大量のハトが立ち塞がる
「コラコラ・・・!!俺の手品中は、途中退席、許さないぜ!!」
「―――マジナ!!」
マジナ先生が指を連続で鳴らすとシルクハットの中から、大量のハトが飛び出し、人喰いウルフの行く手を阻む
・・・た、助かった!
今の内に逃げよう!!
「三流手品師がっ!!わざわざ兵力を・・・―――異能力発動っ!!」
エソラが目の前のハトの群れに
「・・・よし!これでこのハトは、私の奴隷だ!!―――回れ右っ!!アイツらを上空へ逃がすな!!」
エソラの言葉に従い、ハトの群れが一斉に飛び立ち、ヒマワリの頭上に立ち塞がる
「―――いっててて・・・!!突っ付くな!突っ付くなって!!」
襲い掛かって来るハトを手で振り払う
・・・クソ!
マジナ先生のハトが逆手に取られてしまった!!
「―――ヒマワリ、ハトを振り切ってくれーー!!」
「うん!しっかり捕まっててね!!」
ハトを振り切る為に空中を縦横無尽に飛び回る
「・・・くっ!もう~しつこいな~!!」
「ちょ、ちょっと・・・ヒマワリ!激しっ!激し過ぎるって・・・―――うおっと!!」
―――むにゅ!!
「キャーー!!こんな時に、どこ触ってんのよ!引野のエッチーー!!」
「仕方ないだろ?何かに掴まってないと振り落とされてしまうんだから・・・」
ヒマワリの胸を両手で鷲掴みにしながら話す
・・・全く!
マジナのハトには、今度ご褒美にエサを上げないと!!
「・・・ヒ、ヒマワリさん!前、見て下さい!前、前ぇぇーー!!」
「―――危ないっ!!」
引野と揉め合っている間に雲が急降下し、地面直前の所で急停止して激突を免れる
「・・・ヒマワリ、わき見運転は、良くないぞ!」
「誰の所為でこうなったと思ってるの・・・!!」
「「「―――ガウガウガウガーウーー!!!」」」
人喰いウルフが低飛行になった雲に噛み付き、引きずり下ろそうとする
・・・ま、まずい!
このままじゃ全員、落とされてしまう!!
上空にハト!地上から人喰いウルフ!!
―――逃げ場なしか!?
「全員、離れろーー!!」
ヒマワリが魔力を放出し、乗っている雲を雷雲へと変化させ、辺り一帯へ放電する
「「「―――ギャゥゥゥーーー!!!」」」
人喰いウルフとハトに雷が直撃し黒焦げになって倒れる
「・・・よしっ!」
「「―――って何が、よしっだ!!ヒマワリーー!
一緒になって感電した引野とノマール先生が声を荒げる
「ごめんごめん!非常事態だったから・・・てへっ!」
ヒマワリが舌を出し照れながら謝る
・・・まー
これで安心して逃げられるから良いか!
「―――ビゾン!頼みます!!」
「あいあい!―――異能力発動!!」
ビゾンが倒れた人喰いウルフとハトに手を当て
「フフフ・・・これで不死不滅のゾンビ奴隷になった!行けーー!必ず引っ捕らえろーー!!」
感情が一切なくなったゾンビ化した人喰いウルフとハトの群れがエソラの言葉に従い、一斉にヒマワリに対して襲い掛かる
「もう一度、痺れちゃええーー!!」
ヒマワリがゾンビ化した人喰いウルフとハトの頭上に異能力で雷雲を出現させ、落雷を落とす
「「「―――ヴヴヴヴーーー!!!」」」
「・・・ダ、ダメだ!全く効いてない!!」
雷が直撃したゾンビ化した人喰いウルフとハトの群れは、怯むことなく襲い続ける
「・・・も、森だ!森の中へ隠れよう!!」
「無駄だ!体力無尽蔵のゾンビ奴隷は、永遠に襲い続けるぞーー!!」
森の中へと入って行くヒマワリの後ろをゾンビ化した獣達が追い掛けて行く
「相変わらず・・・卑怯な手を使うな!―――エソラ!!」
コドナ先生がエソラへ話し掛ける
「―――コドナ
「・・・昔の話だ」
「・・・昔の話?・・・コドナ!・・・何を勝手に過去の話にしてくれてんだよーーー!!」
コドナ先生の言葉に反応したエソラが激昂する
「どうやら・・・穏やかじゃなさそうですね~!」
・・・ノマール!
生徒の事を頼みますよ!!
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