第13話 宣戦布告
Bクラス教室
校庭に放置された机を教室まで急いで運び、なんとか遅刻することなく、ノマール先生の授業に間に合った。
「ここの角度を求めると ここの角度も解るようになりますから・・・それによって自然と ここの角度も・・・」
キーン コーン カー
「―――転送生!!貴様!・・・また」
「マッソくん!まだ授業中です」
Bクラスの教室へ乱入しようとしたマッソを制する。
ノマール先生の言う通り、いくらAクラスの生徒だからといって許される行為では・・・
「お言葉ですが!ノマール先生!!授業終了の鐘の音は、鳴りました!もう、今は、休み時間です!」
―――子どもか!!
・・・・・・あっ!?子どもか!!
筋骨隆々の体格に角刈りのヘアースタイルで同じ学生服を着ているが・・・
―――どう見ても未成年には、見えない!!この二人が横に並ぶと、ノマール先生の方が年下に見えてしまう!
いくらAクラスの生徒だからといって、マッソの無茶苦茶な理屈が通用する筈が・・・
「・・・うん・・・まー・・・そうです・・・ね」
―――先生!!通用するんかい!!
・・・ノマール先生、そんな寂しそうに背中を丸めながら教室を出て行かないで下さい!
「転送生!―――貴様が朝の事件の犯人だったとわな!!」
俺の席へ詰め寄って来る
「・・・・・・事件?」
一体、このゴリラは、何の話をしているんだ?
「知らんとは、言わせんぞ!!今朝の校庭に打ち上がった!あの光を忘れたのか!?」
「あー・・・いや・・・それは・・・」
「惚けても無駄だ!!あの光の下に貴様がいたのをAクラスの生徒が何人も目撃しているのだ!!」
「・・・まー・・・あれは、俺ちゃ俺だけど・・・」
勢いよく捲し立てるマッソの問答に反論の余地もない
まー確かに、俺は、あの時、あの場にいたし、打ち上げてしまったのも、俺だけど・・・
―――首謀者は、俺じゃない!
俺は、被害者だ!!
「校則違反だーーー!!」
マッソがこう言うのも無理もないか、学園の敷地内で無断で花火を打ち上げたら、そりゃあ、怒るよな
「未成年がタバコを吸うなど」
「・・・・・・タバコ?」
「知らばくれても無駄だ!あの光り輝く火花!天高く立ち上る煙!そしてそこに残った灰!あれは、どっからどう見ても―――タバコだろうが!!」
「―――あれ、タバコなの!?」
花火じゃなかったの!?
「あれをタバコと言わず!何をタバコと言う!」
―――嘘だろ!?
あれがタバコだったら、異世界の喫煙所は、どうなっているんだ!?
この世界のヘビースモーカーの人は、尋常じゃないぐらい肩身の狭い思いをしているんだろうな
「貴様のような口で言ってもわからぬバカには、身体に直接、教えるしかないな」
「―――えっ!?」
・・・う、うそだろ!?
この間、少し粗相しただけで3日間、腕立て伏せをやらされそうになったのに、それを 今度は、身体に直接、教えるとなると!
リンチや拷問 並みの酷い仕打ちを受ける嵌めに・・・
「
「「「・・・・・・」」」
その言葉を聞いた途端、教室に沈黙の時が流れ、一人の生徒を皮切りに口々と口を開いていく
「な・・・なんだって・・・対抗戦だって!?」
「Aクラスの生徒が・・・ましてや・・・マッソ様が・・・対抗戦を申し込むなんて」
「こ、これは・・・ととととんでもないことになったぞ!!」
・・・・・・?
・・・対抗戦?
なんだそれは!?
みんな、何をそんなに騒いでいるんだ!?響き的になんか楽しそうなイベントじゃないか!!
「今回の対抗戦は、一対一のタイマン形式で勝負だ!」
「望むところだ!!」
「「「―――えっ!?」」」
教室にいる全員が俺の男らしさに驚きの表情を示す
・・・今のは、格好良すぎたな!
「対抗戦の種目は、貴様に選ばせてやる!日にちは、2週間後!せいぜい貴様に有利な種目を選ぶことだな!はーはっはは!!」
高笑いをあげながら去って行く
「た、たた、大変なことになったね!引野くん!?」
呂律が回らないほど焦りながら駆け寄って来る
「―――で、アラトモ!・・・対抗戦って何?」
「―――な、なな、何も知らないで・・・受けたの!?」
アラトモが呆れ果て、天を仰いでいる
・・・もしかして、俺
取り返しのつかないことをしてしまった!?
「ん~?・・・対抗戦っていうのは・・・簡単に言ったら下剋上だね」
・・・下剋上?
・・・確か、 身分の低い者が自分より位の高い者を打ち破るとかそんな感じの意味だったような?
「この学園に昔からある伝統行事で・・・B、Cクラスの生徒がAクラスの生徒に挑戦できて、それに勝利すればAクラスへ編入できるんだよ!」
「・・・なるほど・・・で、負けたらどうなるの?」
「特に何もないよ!こっちは、クラスが下がることもないから、何度でも挑戦できるよ!」
「おぉーーー!!素晴らしい制度じゃないか!?」
なんだ、ビビって損した!
「・・・ただ・・・一つだけ・・・この対抗戦には、重大な欠点があるんだ」
・・・欠点?
「Aクラスの生徒とB、Cクラスの生徒の身体能力の差が、天と地ぐらいあることなんだ」
「―――ダメじゃん!?この伝統行事は、破綻してるじゃん!!」
やはり異世界だからといって、そんなうまい話は、ないということか!?
「でも毎月、勝てばAクラスに編入できるという特典に目が眩む生徒もいるんだけど・・・」
―――そうか!?
この世界の人間は、俺とは、違い!
身体能力が優れているから対戦の種目次第では、勝てる可能性があるかもしれないもんな!
「―――実際のところ、参加者は、一人もいなくて・・・
現状は、Aクラスの生徒が気に入らない生徒を無理矢理出場させて、対抗戦という名を借りた殺戮ショーになるんだよ」
「・・・・・・」
「で、でも・・・大丈夫だよ!あのー・・・ほ、ほら・・・―――引野くんには、異能力があるじゃないか!?」
・・・・・・
ドアを開けたら着替え中
転んだ拍子にパイタッチ
そんな男子校で無意味な
「それに・・・ほら・・・ピンチは、チャンスっていうからね」
・・・アラトモ
元気付けようと笑顔で言ってくれたとこ悪いけど
―――ピンチは、ピンチだ!!
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