学園ラブコメ期待して異世界転送したのに・・・男子校かよっ！！

第９５話 レスキュー

「オイ！何か文句があるなら聞こうじゃないか！！」

ヨミが声を張り上げる

「ヨミ！出番が全然なくて悔しいのは、わかるが・・・そんな目立ち方しなくても・・・」

「―――違うわい！！」

引野の発言を真っ向から否定する

「・・・なら、ヨミ！今までどこで何やってたんだよ？」

「・・・えっ！・・・ま～・・・色々とね・・・」

・・・ん

何だ？突然、歯切れが悪くなったぞ！

「・・・あれ？よっちゃん、お尻の所、土で汚れてるよ！」

「えっ！！・・・ま、まだ残ってた！？」

慌ててお尻を叩き、土を払い落とす

「・・・お前、腰抜かしてたのか？」

「か、勘違いしないでよね！・・・べ、別にビックリした訳じゃないんだからね！！ちょっと立ってるのが疲れただけなんだから・・・！！」

・・・お前

その謎のツンデレでこの場を乗り切るつもりなのか！？

「ヨミ、実際のとこ引野の言う通りやで、鬼（アレ）を相手にすんのは・・・」

「忘れたの、エトム？私の一番の魅力を！！」

ヨミが胸を張って自信満々に訊ねる

「・・・え・・・な、なんやろ？」

正解がわからず困ったエトムがヒマワリ達へ目線で助けを求める

「ん～何だろ・・・空気が読めないとこ？場を乱すとこ？―――あっ！協調性の無さか！！」

「よーし！私の異能力（リサイクル）でその死に果てた脳を再生させてやるーー！！」

引野とヨミが取っ組み合いのケンカを始める

ヨミの異能力は、リサイクル！

死んだ生物や完全に壊れたモノを修復し蘇生させ元の状態へ戻す異能力者

「もう～よっちゃんも引野も今、そんなことしてる場合じゃないでしょ！？」

ヒマワリが揉める２人を落ち着かせる

「ほら、見てよ！あのノマール先生の姿を！！」

ヒマワリが指差す、校庭の真ん中では、ノマール先生が上半身裸のまま、逃げ回っている

・・・み、惨め過ぎる！

早く、何とかしてあげないと・・・

―――でも、どうやって？

「私の出番です。私の異能力で料理道具一式を元に戻して、再びノマール先生に鍋奉行様になってもらい、鬼を料理してもらいましょう！！」

「なるほど、鬼に気付かれずに鍋奉行様になって料理できれば勝てるかも！！」

ヨミにしては、珍しく良い意見だな！

「それなら、あたしが鬼の注意を惹くから、その隙に・・・」

「アカン！それは、危険過ぎる！！あの鬼の狙いは、ヒマワリやねんで！！」

エトムが緩んだ空気を引き締めさせる

「・・・なら、移動は、私がする。止まった時の中なら安全でしょ？」

「・・・トキド・ケーさんがいるなら・・・ま～・・・良（え）えか・・・」

エトムも渋々承諾する

ヒマワリが危なくなったらトキド・ケーさんが異能力で助けてくれるから安心だな！！

「・・・あの・・・別に・・・１人で行くのが怖いとか不安とかじゃないけど・・・」

「・・・・・・？」

ヨミがボソボソと喋り始める

「私の方にもエトムか誰か付いて来て欲しいんだけど・・・！」

「１人で行けよ！！」

「―――ありがとう！引野が付いて来てくれるって！！」

「言ってねーだろうが！！」

再び２人で揉め始める

「フフフ・・・このコンビなら大丈夫そうね！」

「トキド・ケーさん！何を根拠にそんなことを！？」

・・・なんで

俺まで行くはめに・・・

「ほな、それで行こか！もうノマール先生も限界そうやし！！」

校庭の真ん中で半泣きのノマール先生が倒れ込み、大ピンチになっている

「うわぁぁーー！！公務員という安定な職に就いたのに～！定年じゃなく、こんな形で終わりを迎えるなんて～！！」

「ゴチャゴチャとうるさい！ヒマワリを出さないなら死・・・―――っ！！」

残った右腕でノマール先生を殴り掛かろうとした瞬間、背中に落雷が直撃する

「用があるのは、あたしでしょ？あたしなら、ここよ！！」

異能力で出現させた雲に乗ったヒマワリが姿を現す

「会いに来たか・・・ヒマワリ・・・」

ノマール先生を無視して、現れたヒマワリへと躙（にじ）り寄って行く

「鬼さん！こちら！手の鳴る方へ～！！」

ヒマワリが鬼を惹き付け、ノマール先生から遠ざけて行く

・・・よし！今だ！！

「トキド・ケーさん！次は、俺達もお願いします！！」

「―――異能力発動っ！！」

トキド・ケーさんに頼み、異能力で時を止め、ノマール先生の元にヨミと一緒に運んでもらう

「あ、あなた達、僕を見捨てたんじゃなかっ・・・」

「しっ！！ノマール先生、今は、静かに大声を出すとバレ・・・―――って！ちょっ離れて！離れてって！！」

助けに現れた引野達に喜び、引野の膝にしがみつき離れようとしない

・・・ちょっと今は、止めて！

鬼に気付かれて作戦が台無しになってしまうだろうが！！

「・・・・・・？・・・後ろに気配が増えたか・・・」

騒ぎに気付いた鬼が振り返ろうとする

「よそ見しないで、あたしだけを見ててーー！！」

「・・・ま、眩しい！？」

ヒマワリが雷雲で稲光を最大限に光らせ、鬼の視界を遮る

「ヨミ、今のうちに異能力を！トキド・ケーさんは、ヒマワリの所へ！！」

「「―――異能力発動っ！！」」

ヨミが腐敗した料理道具一式に手を当て、異能力で元の状態へと戻し、トキド・ケーさんは、ヒマワリの元へ移動する

「・・・へ～・・・治す異能力者か・・・欲しいな・・・」

「「「―――っ！！？」」」

・・・な、何故、見えている！？

俺達ですら眩し過ぎて直視できないのに・・・

「この状態（ゾンビ化）のままで良かった。―――いただきまーす！！」

ヨミを丸呑みしようと口を大きく開けて襲い掛かる

「・・・た、食べられる～！！」

・・・や、やばい！

まだノマール先生の鍋奉行様も間に合わない！！

早く逃げないと、このままじゃ、ヨミが・・・

「―――って、うわっと！！」

「・・・・・・引野」

何故か足が縺れてしまい食べられそうになっているヨミにぶつかり遠くへ突き飛ばす

―――ごっくん！！

「「「―――引野！！！」」」

ヒマワリ達が大声を上げる

「関係ないのを呑み込んだか・・・」

引野を呑み込んだ鬼が不満を口に漏らす

「そんな私を庇って・・・」

「「「―――直ぐに吐き出せーー！！！」」」

ヒマワリ達が魔力を高め、戦闘体勢へと入る

「急かさくても直ぐに会わせてやるよ！」

失った左腕を口の中へと突っ込み、右手で指を鳴らすと口に入れた左腕が元通りに戻る

「・・・デザートの時間だ！！」