第7話 ヘンリーさんの鍛冶屋・西都市講座
「西都市でギルドに参加している鍛冶屋はだな……」
ヘンリーさんが鍛冶屋について説明してくれる。
メジャーどころで鉄砲鍛冶。これはおよそ二種類に分かれる。銃を製造する大きな工場と、それの修理や調整、改造を手がける鉄砲鍛冶だ。
製造のほうは分業で行うので、もはや現代の工場とほとんど変わらない。後者はちょっとした修理やオーナーが使いやすいように改造したりする、いわゆるガンスミス。販売も行っている銃砲店を兼ねているようだ。
刃物を扱う鍛冶屋。これもおよそ二種類。武器としての剣などを打つ小鍛治と包丁や農具など道具を打つ野鍛冶。
生活必需品としてのナイフやナタが欲しければ野鍛冶をやってる店にいけばいい。
そして防具を金属から作る鎧職人。厳密には鍛冶屋ではないのかもしれないが、注文に応じて金属鎧や革鎧を作る仕事だ。ナイフシースなどもここで注文できたりするらしい。野鍛冶の中にはシースまで革細工で作ってくれる工房もあるみたいだけれど。
大都市なだけあって鍛冶屋でもいろんな専門に分かれているようだ。ヘンリーさんがハンターの片手間でやっている何でも屋は野鍛冶に近いらしい。
「西都市は大きな鉄砲鍛冶は一つ、別の都市の鉄砲鍛冶の販売店を兼業しているガンスミスが一つ。
小鍛治は二つに野鍛冶が四つ。そのうちの一つが俺だ」
ここで西都市の大まかな説明をしてくれる。城壁に囲まれた西都市の東西南北に門があり、その近くにそれぞれ野鍛冶が店を開いているらしい。ヘンリーさんの家兼工房、つまりここは東門の近くだ。
各門の近くではすぐに馬車や武器の簡単な修理ができるようにと大工や野鍛冶が集まっている傾向があるそうだ。都市の防衛部隊みたいなのが駐屯していたりはしないんだろうか?
「それはあれよ、自衛が基本だからな。いざってときは有志が徒党を組んで守るのよ。これが昔っからの習わしってやつだな。
昨日のライカンスロープみたいなのが束で出てくることはめったにないが、そういうのが襲ってきたら俺らは銃を手にとって門に走るわけだ」
「それより大型のモンスターは出ないんですか?」
疑問を口に出す。
「ここら辺は田舎村よりは開けてるからな。100年近くは出ていないらしい。
前のときはほかの街の連中も手伝いに来て撃退したらしいけどな」
ふむ、組織だった軍隊は存在しないのか。
「王都なら軍もそろってるみたいだが見たこたねえ。
よっぽどの災害か他国との戦争でもなけりゃ出てこねえだろうよ」
ますますウェスタンな世界に近いイメージが強くなる。
「で、どうだ。なんの鍛冶屋になりたいんだ、ジョニー君よ?」
「俺」の知識と「僕」の身体特性を活かしたジャンルはなんだろう?
まだ答えは出ない。この世界の情報をもっと集めたい所だ。
「もっといろいろ聞かせてください」
ヘンリーさんへの質問攻勢はまだまだ続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます