第13話 試射をしてみよう

 試射終了。


 レバーアクションライフルの方は問題ない。思った以上にコントロールできるし当たる。リボルバーカービンよりも連射がしやすいのもいい。あとは練習していけば命中率も上がっていくだろう。

 難をいえばレバーアクションの動作自体は滑らかさが欲しい。パーツを磨けば多少はマシになるだろうか。

 問題はリボルバーの方だ。「俺」としてはしっくりこない。反動がきつい。ほとんど反動がない豆弾と違って大口径だからなのか。


 銃の形を見ていて気づいた。現代でなじみのあるリボルバーとは形が違う。トリガーとグリップの位置関係が古くさいのだ。

 現代風のリボルバーは中指で引いてもいいんじゃないか、と思うくらいに上を握るのに対して、これらの銃は割と下の方を握るスタイルのグリップなのだ。リボルバーにしてはバレルとグリップが離れていると言い換えてもいい。


 「俺」はモデルガンなどを多少いじったりする程度には男の子だったわけだが、西部劇時代の銃には手を出していなかった。

 そもそも拳銃といえばオートマティックというイメージができている程度には現代人。ジョン・ウェインやグレゴリー・ペックよりはブルース・ウィリスやスティーヴン・セガールになじみがある世代なのだ。


 撃ったあとに跳ね上がる感覚が強いのも仕方がない。ハンマーを引いた状態で親指の付け根を挟まないぎりぎりの位置を握りたいが、グリップがなで肩なので上限の位置がピシッと決まらない。

 グリップの固定をしているネジがハンマーの横に後ろから水平に刺さっているから、グリップ自体を上の方にずらしてやる訳にもいかない。後ろに張り出す部分があるグリップだとトリガー位置が遠くなりすぎる。

 あとから固定するウッドグリップに少しだけ出っ張りがあるスタイルにして上を握るようにするのと、そこの下を削り込んで握る位置を少しでも前にしてやれば多少はマシになるかもしれない。

 あとは機能的な面での改良案だ。現在のこれはシリンダーを前方から差し込む固定ピンでとめてある。これをスライドするピンにして、バネで固定する形にしたい。これでピンを前にずらすことでシリンダーごと交換できるはずだ。

 左手で前にピンを引っ張った状態で一時的に固定できるようにすれば、あとはシリンダーを落として左手で新しいシリンダーをセットし、ピンを戻せば装填完了にできる。


「あの、相談なんですが……」


 興味深そうにベックさんは俺の話を聞いてくれた。変形案を出したグリップ自体は「バードヘッドグリップ」としてすでに存在するものらしい。どこらへんが鳥の頭なのかは分からないが。

 グリップ回りのフレームも多少は小さくすることができるらしいが1/8インチ、およそ3ミリ前進させるのが関の山だそうだ。

 シリンダーを固定するピン(シャフト?)については排莢用のイジェクターチューブ位置をシリンダーピンの位置に持ってきて、さらにスプリング位置を入れ替えることで対応できそうとのこと。ただしバレルと同時に新造しないと強度が不安だという。

 3インチのブルバレルだとリアヘビーだったので丁度いいかもしれない。どうせなら2.5インチで試作した場合の見積もりも出してもらおう。


「ギャンブラーにでもなるつもりか?」


 ヘンリーさんにいわれたが何のことか分からなかった。

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