第68話 予備弾薬の管理は面倒くさい
現在の火力を確認しておこう。特に何があるという訳でもないが、いろいろと現状を確認しておかないと不安になる。前の世界でもそうだったのだが、何かやり残したことがあるのではないか、と妙に気になるのだ。
.44口径の4.75インチリボルバー。これはデモンストレーション用というかトレーニング用というか。ベック師匠から銃を知れ、と渡された物だ。抜き撃ちしやすいように左太ももの前に
そして標準装備となるであろう.38口径トヨダ式オート拳銃。こいつは4インチモデル。個人所有の一丁。師匠が作った純正コピーの9発装填マガジンを挿している。この間はこれでライカンスロープを殺害した。自分の手で、自分の意志で殺しを行ったのは初めての経験だった。
もう一つの主力。ベック師匠の都市外シューティングレンジに出かけるときなどに活躍するであろうカービンキット。簡易な加工で5インチのトヨダ式オート拳銃を20インチ、50cmほどのカービンに仕立てた代物だ。5インチモデルに10インチバレルを仕込んであるが、レバーアクションカービンがおよそ85cmほどであるのに比べてかなり短い。パワーは少々劣るが、速射性に優れたものに仕上がった。
このカービンキットには師匠に作ってもらった10発マガジンを挿してある。拳銃より狙いやすく、反動を制御しやすいストック付き。直径5cmの鉄パイプ本体を握ってストックを肩にがっちり固定できる。削り出しのフォアグリップができればそれも追加して、更に使いやすいものになるだろう。
遠出のときに持っていく
予備弾薬を持っているのは基本的にトヨダ式オート用だけだ。ハンドガンとカービンにそれぞれ9発、10発マガジンを挿して携行。共通で使える9発、10発、12発マガジンをそれぞれ1つ、15発ロングマグを2つ、20発ロングマグを1つ。12発マガジンを数本追加で師匠にお願いする。銃に付いてきた純正マガジンは師匠に渡してしまった。銃を買う人は純正品を好むらしい。だが俺は師匠が作ってくれたマガジンの方が好きだ。完成度が違う。
元の世界では一昔前、日本のモデルガン用のマガジンがアメリカの好事家に売れていたと聞く。実銃用より
ベック師匠は金属の特性を熟知している。バネのヘタりも考えてスプリングレートを決めているようだ。フルロードしたマガジンを一ヶ月ほど放置してみたが純正品よりヘタらない。代わりに弾を込めるのが酷く辛い。最後の一発など思い切り力を込めてやっと。べらぼうに硬い。たまにマガジンリップと弾の間に親指を挟んで血豆を作ったりもした。
なので弾を込めるときに楽なようにローダーを作ってみる。ローダーの上から体重をかけ、弾を押し込んで、新しい弾を一発入れる。体重を開放し、弾の位置を奥まで押し込む。先ほど入れた弾をローダーで上から押し込み、次弾を入れる。これの繰り返し。シンプルだが固いスプリングに押し上げられている弾を指先だけで押し込むより楽に込められる。
あとはトヨダ式オート拳銃を本当にフルオートにしてしまう計画を発動してしまおうか。
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