第109話 T.A.Rのカスタムパーツ


 ベック師匠にお願いしていた多弾マガジンができあがってきた。


 もともと純正は20連マガジンがついていたが、30連マガジンを作ってもらったのだ。

 本当ならもっと多くても良かったのだが、銃本体と合わせると重たくなりすぎるということで30連に抑えてもらった。二脚や三脚に固定した銃座用のマガジンなら40連でもいいと思うんだけれど。


 個人携行用、もしくは車載武装用のT.A.Rカービンは反動が大きかったのでマズルブレーキを制作。金属ブロックに弾が抜ける穴と固定用ネジを師匠にあけてもらった。まだ旋盤加工は慣れていない。


 ばっちり穴があいたブロックをフライス盤に固定して、反動軽減のための横穴をあけていく。上にも穴。弾の直径より大きめの横穴と視界を邪魔しないように真ん中を避けた二つで一組の跳ね上がり防止のガスポートだ。あとはワッシャーを挟んで左右の穴が水平になるように固定。小さなネジで緩み防止。


 ほかにも操作がしやすい大型レバーとかそういった小細工はしたけれど、最初から完成度が高かったのであまり手が出せなかった。ジョン・トヨダ謹製のコンペンセイターとマズルブレーキ兼用の俺オリジナルコンペンセイター。西都市外のシューティングレンジで師匠と撃ち比べ。


 思ったより純正コンペンセイターのできが良かった。マズルの跳ね上がり軽減は僅差。反動自体の軽減はこっちに軍配。本気で研究しないとそのうち負ける。前世の記憶に頼ったネタ出しだけだと勝てなくなる日も近い。



 自作したマズルブレーキ兼コンペンセイター。これに一工夫する事にした。


 近くに友軍がいて連射したときにうるさすぎる問題をごまかす仕掛けだ。ようはマズルブレーキの効果を諦めて発砲炎や発射音を前に限定して吹き出させるカバー。これを簡単につけたり外したりできるようにする。

 レバーかなにかでカチッと止める、という構造は難しいし手間がかかるのでねじ込み式とする。元のマズルブレーキの外側にネジを切って、そこに鉄の空き缶に小さな穴をいくつもあけたようなカバーをねじ込む。あえて最後までネジを切ってもらっていないので、カバーが行き過ぎて本体側に落ちることもない。がっちりと固定できる。

 元のマズルブレーキより細くなってしまったが、てきとうに余っていた金属ブロックで作ったからそんなに性能は変わらない。カバーをねじ込んだら跳ね上がりは抑えられなくなったけれど、代わりに横にいてもさほどやかましくはない。

 カバーさえちゃんとしていたら、いきなり連射されて一時的な難聴になる事もないんじゃないかな。


 ついでにカービンキット用のマズルブレーキも新しく作る。やはりブロック形の外観に横穴と縦穴を組み合わせた形状。出口はすり鉢状に滑らかに。今のところ、この形が一番よく効く。反動と跳ね上がり軽減のバランスをとりやすい。


 発砲炎軽減や発砲音や衝撃波の軽減ならバッフル型の簡易サプレッサーみたいな構造がいいみたいだけれど。市販してコピーされたらやっかいだからなぁ。前にガスが抜ける速度を遅くするために一段バッフルの筒みたいな形が限界だろうな。


 前世ではAKS-74Uの太ったラッパみたいなやつね。もしくはAK100系のハイダーやノベスケハイダー。前世持ちのガンマニアにだけ分かるように火を噴くブタのイラストでも入れておこうかな。

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