第6話 仕事を探そう

 昼ごろ、ヘンリーが帰ってきた。背中にショットガン、左手に鳥。


「あ、おかえりなさい」

「おう、鳥を捕ってきたから飯にしよう」


 わざわざ昼食を用意するために帰って来てくれたのだろうか。それとも今日の仕事はこれで終わり?


 食事をしながら疑問を口にする。

「ヘンリーさんは何のお仕事をしてるんですか?」

「俺はハンターだよ。普段は街の外で鳥や動物を捕って肉や皮を売ってる。

 昨日のライカンスロープはイレギュラーだ。いつもはあんな大物は見かけない」

「立ち入ったことだったらごめんなさい。普段は、って事はそれ以外は何を?」

「いいよ、気にすんな。元々この土地に来たのは祖父の代でな。その頃はこの西都市も開拓したばかりだったらしい。

 爺さん、親父と代々やってた鍛冶屋のまねごとをたまに頼まれるんだ」

「鍛冶ですか。ナイフ作ったり、馬の蹄鉄ていてつをつくったりですか?」

「ほかにも荷車を直したりな。

 要は金物を扱う何でも屋、便利屋よ」


 ヘンリーは肉に残っていた散弾を口の中から取り出しながらいろいろと語ってくれた。


「あの、ずいぶん遅くなっちゃいましたけど、俺の名前はジョニー・オカジマといいます。

 俺は仕事を探しに西都市に来たんです。鍛冶屋の仕事をお手伝いできませんか?」

「そう言われてもな、俺も見よう見まねでやってるだけだからな。

 教えるなんてできねえぜ?

 鍛冶ギルドに紹介するくらいならしてやってもいいけど」

「もともと商人ギルドか鍛冶ギルドに仕事を斡旋あっせんしてもらおうと紹介状を書いてもらってるんです。できれば知った人の元でやれたらありがたいです」

「西都市の鍛冶屋は数軒しかないからな。それぞれ専門が違うからかち合わないし仲良くしてる。どこもいいやつらばっかりだよ」


 さてどうしたものか。そもそもこの世界の鍛冶屋については「俺」も「僕」も知らない。俺はたぶん商人には向いてない。営業職じゃなかったし。

「じゃあそれぞれの専門が何かを教えてください!」


 ヘンリーさんの鍛冶屋講座が始まった。

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