第66話時限爆弾



ダンピエールの原子力発電所に来ている。

何人も警官たちが好奇な目で見ている中を歩き続ける。

あれが作戦本部か・・・

俺と一緒に来ていた連中は、ダンピエールに行くと言ったら何処かに消えていた。

被爆を恐れたらしい。仕方ない事だ。


俺に近づく者が「よく来てくれました。わたしが通訳のアンドレです・・・早速ですが傍受ぼうじゅできますか・・・」


アカが作った簡単な受信機をテーブルに置いた。

スイッチを入れると通話はしてない。

しかし、電源が入った状態なので番号が手に入った。


「番号から4人とも日本人ですね。スマホで航空券を予約してるので女性2人は、バレリーナの留学でロシアへ・・・後の2人は男性でロシアに旅行に行ってますね」


「スマホの位置情報を教えてください」


「これが位置情報ですね・・・2つは1ヶ所にあって1つは、目の前です。もう1つがビュジェイでしょう」


アンドレは、メモをしてから連絡を・・・「Oui・・・Oui・・・」


メモを見た作戦本部の連中も慌しく、あっちこっちに命令してるようだ。

しばらくしてアンドレが「ありがとう・・・後2時間後に3ヶ所同時突入を開始しますので、ここで傍受だけをお願いします。わたしも一緒に見守る積もりです」


上手くいくのか疑問だ。

2度の失敗の原因も分かってない。

また逃げられる可能性が高いぞ。


ハイデンは、フランス料理を食べてるハズだ。

食べ終わったらビュジェイへ単独で探すって言ってた。


あ!ちょうど連絡だ。


『ビュジェイへ着いたぜ・・・あのフランス料理も美味かったな・・・』


「そんな料理の感想なんかいいから、それで中のようすは」


『賊の数は20人・・・あ!賊の1人が持ってる物が・・・あれは転移石だな・・・5メートル四方の生き物を同じ転移石の所へ瞬時に転移できる物だぞ。この世界にもあったのか』


それを聞いて納得だ。


『ああ、感じるぞ。転移石の反応が4つだ』


「それなら納得だな・・・」


『お主はバカか・・・4つがそれぞれ離れた位置に感じるのだ。ならば3ヶ所を襲っても意味がないぞ』


俺が知った場所とハイデンの知る場所を照らし合わせる。


「ここが最終的逃げ場所か・・・今から間に合うか・・・」


『我なら行けるぞ。それにお主の場所から近いぞ』


俺は、1度行った場所でないと行けない。

なのでハイデンに頼むしかない。


警察に言っても信じてもらえるか分からない。

時間も後40分。


「ハイデン、行ってくれ。決して殺すな」


『殺しはダメか・・・分かった』


一瞬、ハイデンとの繋がりが消えて再開。

これってハイデンか・・・


『着いたぞ・・・女が1人立ってるぞ』


それが主犯だ。



あ!受信機が反応。


何か話している。

これはフランス語ではない。

スマホのアプリを使ってみて・・・ロシア語と判明。

早口でくし立てているのでアプリでの通訳は無理っぽいぞ。


しかし、アンドレは驚愕。

え!ロシア語もできるのか・・・


アンドレは、大声で怒鳴った。

さっぱり分からん。


あ!なんと警察が突入。


怒号が飛び交う中で何を発見。

あれって爆弾処理班に違いない。そんな連中が走ってる。

なぜなら全身プロテクターだらけで誰でも分かる姿だ。



アンドレがようやく話してくれた。

4分前に時限爆弾を解除。


ビュジェイも爆弾処理班が1分前に解除。


え!それって爆発してたら被爆してたよね。

フランスの連中は爆弾があるって想定済みだったらしい。

爆弾を発見した時点でダメかもって分かっていても教えてよ・・・


結局、手掛かりが一切ない。

テロ犯も見つからなかった。



そんな時だ。

一報が入ってきた。近くで怖い声が響いたと住民からのクレームだ。


俺は、知っていたがアンドレに「絶対に声がした付近を調べるべきだ」と言ったよ。

司令部も怪しいと思ったらしい。



アンドレと俺もパトカーに乗って走る。

数台のパトカーもパトランプを光らせながら・・・



「あれ!サイレンを鳴らさないの・・・」


「気づいてないと判断した時に鳴らします」


へーそうなんだ。



現場に到着したら誰もが異変に気づいた。

60人ぐらいの人が裸で倒れてる姿を・・・多分気絶しているようだ。


それからが大変だった。

その中に4人の日本人がいたからだ。

その4人に近づき、こっそりと回復。


「大丈夫か!」


「あ、あなたも日本人」


「そうだ、日本人だ」


「わたしたち、ロシアへ遊びに行って騙されてフランスに着ただけなんです。決してテロの仲間ではありません。もう怖くて従うしかなかった」


俺は上手く尋問して転移石で移動した話にもっていった。


アンドレも話を信じたようだ。

なぜなら現場から転移石らしき石が2つだけ、見つかったからだ。


トントン拍子びょうしに話が進んだよ。



ハイデンから聞いた話だと、恫喝どうかつで気絶させて全て収納したらしい。

機関銃や手榴弾も色々な武器まで・・・


それに何を思ったのか転移石も2つは置いた。

ドラゴンの勘だと言っていたよ。





後で知ったがロシアは大変らしい。

資源の石油や天然ガスが欧州にまったく売れなくなった。

途上国もこぞって魔石を求めた。

全てがクリーンな魔石が取って変わったからにはかならない。


まさに困窮こんきゅうするロシア。

国内も不穏な動きもみられ暴動も起きている。

今回の事件も起死回生を狙った作戦であった。

ああ、詰んでるよ。

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