第48話大変なことに



ランドル国の港街に巡礼船が入港。


その成り行きを上空から見てった。


『あれってひどくないですか・・・』


俺の暗視がズームになって見詰める。

普通に1人1人の手荷物検査をやってるだけだぞ。

何がひどいと・・・


あれ!急に身体検査で触りまくってる。

男が触ってるのに・・・それなのに平気なおばさんやばあさん達・・・


やっぱ若い女性から悲鳴が・・・

女性検査官らしい女が出てきて、これでもかと触りまくった。

なんと、足と足の間にもガバッと・・・

若き女性は、顔を真っ赤にしてうつむいモジモジしている。


日本の入管でもしない検査だ。知らんけど・・・



『アカさん・・・そろそろ降りましょう』


そんな港街にゆっくりと降下。


「アカ、あそこがいいぞ・・・」


人もいない場所に降り立つ。

アカは一瞬で俺にまとわりつく。アカの定番の場所だ。


シェリーは、おとなしそうな女性に精霊に頼んでなっていた。

そして、スマホで自撮りをしてた。

スマホ画面は、おとなしそうな女性のままだった。


「そんなバカな・・・普通の女性のままだぞ」


『こっちの妖精に、詳しく言ったので・・・』


言えば出来るのかい・・・



それなのに俺は、黒い髪から土色のブラウンに毛染められた。


『この国では、黒い髪は目立ちますから・・・目立つのダメですよね』


それもそうなんだが、なんか変な気分だ。


シェリーのすすめで、シブシブ無難なブラウンに染めた。


シェリーは、初めから分かっていたらしく赤色や金髪まで用意。


「赤は、どこで買ったんだ」


『通販です・・・御近所には売ってなかったので・・・』


ワイルドレッドで鮮烈発色って・・・普通の赤髪より鮮やか過ぎだよ。

そんな目立つヘアカラーを買いやがって・・・



「そうだ!『変化の帽子』をアカに作らせて色を変えるって手もあるぞ」


『もう終わったことを言ってもダメですよ。そもそも気づくのが遅いです・・・主殿!』


それもそうだ。




俺は港街の市場で売れそうな品を探しまわる。

飴のような物は、なかったから飴も高く売れそうだ。


あ、あれは錬金術の看板だ。


錬金術の品々がある店で錬金術の工房は、大教会ミランか近郊しかないらしい。


ドアを開けて店に入る。

チリン、チリンと鳴って、店主の怖そうな顔がにらみつける。


え!っと腰が引けてしまう。

そんな俺をペシペシとアカが気合を入れてきた。


「悪いがこの剣を探してるんだ・・・金はいくらでも払うから・・・」


聖剣の写真を店主に見せる。


「なかなかな絵だな・・・しかし、これでは鑑定は無理だ。それに見た感じは細工も良さそうだが見たことが無いな~」


ここもダメか・・・

店を出た・・・そんな時だ。



『主殿!こっちに来てください』


え!シェリーの声だ。

シェリーとは別行動で、ここにはシェリーはいない。

なんで・・・


『念話で遠くから話しかけてます。高い塔が見えますか・・・』


「ああ、見えるぞ」


『その塔の裏手にいます。急いで来てください』


人は多いから路地に入って「ステルスモードだ」

アカはシュッと透明に・・・そのまま飛んだ。


塔の近くで見下ろす。


あ!シェリーだ。

急いで降りて「ステルスモード解除」


『あ!主殿』


「なんで呼んだんだ」


『巡礼に来た人が気になって聞き回ったら・・・凄い噂を聞いたので・・・その噂は、健康な男や綺麗な女性が行方不明になってると・・・それが、なんと教団や錬金術と違う裏組織が連れ去っていたのです。その組織のアジトがここです』


なんと・・・とんでもない話だ。


「それでシェリーは、どうしたいんだ」


『助けて、裏組織の壊滅かいめつです』


やっぱそうなるよな・・・ここの兵士に訴えても裏組織に繋がってる可能性は大きい。

繋がってないと誘拐なんかも出来ない。


「シェリーの好きなようにしていいぞ。俺とアカでサポートするから」


『主殿・・・そんな風に言ってくれると思っていました』


なんとアジトのドアをバギバギとぶっ壊した。

え!そんな・・・正面から行くんだ。



出てくる賊は、剣を抜く前に懐に入って一本背負いで投げていた。

見事に石の床に叩きつけられて、口から泡を吹いて気絶している。

賊も何が起きたかも分かってない。


素人には、絶対に受身は出来ない。


『新しいゲーム・・・柔道一直線を体感済みですから・・・これで人族なんか怖くなくなりました』


そんな仮面で顔を隠した状態で言われても・・・

白い仮面で目と口の部分が開いたシンプルな仮面だ。


だから俺も急いで「アカ、仮面だ」


ポンッと仮面をだす。



「こんな仮面しかないのか」


ブルンブルンと『ないって・・・』

これって夏祭りに買ったやつだ。500円のプラスチック製・・・


仕方なく『ひょっとこ』の仮面をして俺も突入。


なんと賊は全て眠らせてグウグウと寝てた。

シェリーは、事前に全ての賊の位置関係を把握していたようだ。


『この牢屋!結界で守られてます。凄い錬金術の結界ですね・・・主殿、お願いします』


結界だって・・・俺に任さられても・・・


「アカ、やってしまえ!」


ビョーンと飛跳ねて結界と衝突。

凄い火花ひばなが散ってパーーンと破裂。

結界がやぶられた瞬間だった。


シェリーは駆け出す。

手前の男達が閉じ込められた牢屋の鍵穴を一瞬で壊す。


『助けに来ました。ここを出てありのまま話すのよ』


ドンドン壊して開放するシェリー。


「ありがとう御座います」と感謝されたよ。


あ、母と子の親子もいたぞ。



シェリーが走り出すので俺も後を追った。


厳重な扉の前で『お願いします。アカさん』


え!アカは飛びついた。

一瞬で壊すアカ・・・


なんと中にお宝だ。


『アカさん、お願いします』


アカは、一瞬で収納。


俺は、1冊の本を手に持っていた。


錬金術の禁書だ。

偉い物を手に入れたぞ。




それから港街は、大変なことになっていた。


俺は、アカが収納した物から悪事の証拠を探し出した。

実際はシェリーが読んで探した証拠だ。


それを街のいたる所でばらまいた。


それによって関係者の逮捕が続出。

監査官や兵士も逮捕されて街の人から非難を浴びいた。


「この人でなし!」


「オークにでも食われろ!」


なんと石まで投げつけている。

普通、そこまでするかな・・・ああ、頭から血を流しているぞ。


兵士が「それぐらいにしてやれ・・・」


「お前も仲間か!」


「なんだと!公務執行妨害で逮捕してもいいんだぞ」


「やれるものならやってみろ!」


「ヨシ!捕まえてやる!」


「隣の人が言ってました」


なんだよ、この一連の茶番劇は・・・


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