第9話落札の前日



オークションの落札は明日だ。

今日の最高金額は5億5020万円で幸子から聞いた情報だと、8つ全てを先進国が独占している。

8億はいくと思っていたのに・・・なぜか低い。

嫌々、俺が欲張ったからではない。書き込みでは、10億はいくねっと・・・騒いでたので。

先進国の談合でもやってるのかと疑心暗鬼だ。

そうだ・・・談合禁止って書いてない。

石田幸子のミスなのか・・・


日本企業も早々にオークションに参加しないと表明。

貿易での圧力でもあったのか・・・


石田幸子は、なんとかすると連絡があったが何をする気か教えてくれない。


なので、豊田駅前ダンジョンから熱田ダンジョンへ行ってレベル上げと6階層攻略する積もりだ。

だから受渡しの日程を3日後の14時を事前に石田幸子に知らせる。


「そう・・・いいわよ」


あっけない返事だ。




ここ熱田ダンジョン。

名古屋の熱田神宮の近くで、神に守られたダンジョンとして愛知最大の探索者で賑わっている。


3階層。


「あああ、もう狩りつくされてるな」


あっちにもこっちにも探索者がリポップするのを待ち構えていた。

リポップ直後は簡単に狩れるから・・・横を通るだけでパーティー全員からにらまれるしまつだ。


はいはい、すぐにここから去りますよーー。

なので3階層はあきらめる。キラーラビットと戦う事もなく4階層へ。




うわさでも知ってたが・・・あのスケルトンには・・・肉は付いてないが腐った死臭ししゅうの臭いが・・・

骨なのに死臭って・・・想像しただけでゲロが出そうだよ。


いくら防じんマスクでも・・・やっぱ臭う。

あああ、臭い。


それでも指先を切って血が垂れたら念じる。

5ミリ血の球が空中にただよう。スケルトンのカチカチいう口に向かって念じた。

ヒューと飛んだぞ。熟練して覚えた小技・・・



危険を感じたスケルトンが盾で防ぐ。

なんとかコントロールして頭上に回避。


俺は、回り込んでスケルトンの口を確認。そのままコントロールしてなんとか口へ。



【スケルトンを『しもべ』としますか yes : no 】


yesを押す。



スケルトンLv1


HP500/500

MP20/20


剣士


-  -  -  -


ドロップ




やっぱ魔石はないが、レアの剣と盾。

盾を念じてウォーハンマーで叩き付ける。


頭が粉々になって盾がドロップ。そのまま手に持って「なんか良い感じだ」

ブン、ブンと振り回す。


盾以外良いのはないな・・・ドロップ確認も済んだしアプリを見ながら5階へと急ぐ。


あ!ゾンビだ。

一気に臭いが・・・服にもしみ込んできそうで対決は無理。


道からそれるが迂回だ。え!ここにもゾンビが・・・

さらに迂回。


その時にビシッとアカが服の中から矢を掴んだ。

矢が飛んだ先を見る。


スケルトンが弓に矢をつがえてる。

サッとのけ反る。

顔を微かに切ったが大丈夫だ。すぐに回復で治った。


またもアカが矢を掴んだ。


なんなんだ、あのスケルトンは・・・スケルトンのアーチャーなんか聞いてないよ。

もしかしてユニークモンスター・・・今度は盾で防ぐ。


盾での防御に徹して「アカ!捕獲だ!」と叫ぶ。

ビョーンと飛び出すアカ、盾に何度も何度もカン、カン、カン、カンと矢が当たる。


やっと矢が尽きたか・・・なんと逃げ回りながらアカにどんだけ矢を持ってんだよ。


あれ!おかしい・・・盾の前に矢が1本もない。

なんと放った矢が床に落ちて、勝手にスケルトンの矢筒に戻ってる。

あれって魔法の矢・・・???


それで、とうとうアカがスケルトンにおおいかぶさる。

俺は駆け出して血を無理やり口の中に・・・



スケルトンアーチャーLv0


HP100/100

MP200/200



アーチャー

探索能力


弱点:打撃


-  -  -  -


ドロップ


マジック弓矢セット



やっぱアーチャーは、2連射、3連射、追尾など様々な技持ちだ。


そして血魔法が(4)に・・・なんと血でコーティングした物を自由に飛ばせる能力。

赤刀が自由の飛ばせるって、今は1つだけだが数が増える度に増えるらしい。


なので当初の予定だったブラックウルフを諦める必要もなくなった。

なのでスケルトンアーチャーを『しもべ』にした。


スケルトンなので打撃に弱いって、それに臭い。

ならば血でスケルトンをコーティングだ。


そして赤いスケルトンの誕生。

あ!そうだ・・・もしかして飛ばせるか・・・おおお、飛んだぞ。


カカカカって怖がってるのか喜んでるのか・・・

表情がないから分からん。


そして、矢のやじりも血でコーティングだ。



あ、やばい・・・人が近づく音だ。

スケルトンアーチャーを血の中に収納。

アカも服の中にスススと入る。


なんと12人の集団が駆け抜けて行く。

行き先は5階に違いない。俺も一定の距離をとりながら追跡。


お!スケルトンの戦いもスムーズにこなしてるぞ。

盾持ちがガンッと突っ込んで撃砕。

あまりにも呆気ない勝負。


そして5階の階段の中に入った。

俺も続いて入る。


めちゃくちゃ順調だ。


とうとう試練の門まで来たよ。


あの12人は、左の門へ・・・床に刻まれた魔法陣に飛び乗る。

次々に姿が消えてる。


あれが瞬間移動する魔法陣なのか・・・凄いな。


それなのに右の門は閉まっている。

そして、1つのパーティーが待機中だ。


「あんたソロか・・・危ないから帰りな・・・俺ら中堅の探索者でやっと挑めるレベルなんだぞ」


「いえ・・・大丈夫なんで」


「ウォーハンマーと盾で勝てる相手じゃーーないぞ」


俺は黙ったままアプリを操作。


「青木、ほっとけ・・・全てが自己責任だ」


「それも、そうだな」


20代が2人、30代が4人、作戦を話し合って「青木は側面から、田中と佐藤は後ろにから・・・」


その時、門の扉がギギギギと開きだす。


床一面が血の海で人が消えかかっていた。


「やつら・・・失敗したのか・・・」


「今日は、やめるか・・・」


全員が「やめない」と言い放つ。


そして門の中へ入る。

俺は、ただ見てた。




30分後、門が開いた。警戒しながら入る。

血がないから成功したようだ。


奥の魔法陣が光りだす。

身長3メートルの蜥蜴とかげ人間。


その時に門が「ドン」と閉まる。


いよいよ戦いだ。


赤い舌をペロペロさせて、持っていたハルバードをブンブン回転させてゆっくりと向かってきた。

俺は、指先を切ってレッドを呼び出す。


ピョンと飛び出すレッドは、分かっていたように炎のブレスを吐き出す。

凄い炎のブレスで一般の火球の10倍の威力。


蜥蜴人間は「ギュアーー!」と叫び続けて手がもげて崩れるように倒れた。


そして消えてしまう。


魔法陣が光だしたのでレッドとアカを抱えて魔法陣の乗る。



カッと光る擬似太陽の下にいた。

ああ、開拓された田畑だ。昔は草原だったのに・・・世知辛せちがらいなーー生活感丸出しだよ。


開拓した者の所有権を示す旗がたっていた。

あれって星条旗・・・こっちは日の丸。

日の丸が多いが、フランス、イギリス、イタリア、カナダと・・・


ドイツは、ない。

ドイツは、豊田駅前ダンジョンをメインにしてるらしい。


もう自給自足で探索者の食料を担ってる。

あれに見えるは、中型魔石トラクター。もちろん日本製。

収穫が終わった畑を耕してるぞ。飛び交う声は英語。

まるで外国に来てるようだ。



もう、育ち具合もバラバラ。あれってさつまいも、手前はとうもろこしにじゃが芋。

やはりダンジョン内は季節がなかった。

育ちも早く人体の影響もないらしい。

偉い学者がDNA検査して地上の野菜と同じだと論文で発表。


本当に安全なのか・・・10年後は・・・


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