第51話ゴーレム



アカと会話できることで、あの禁書の翻訳がドンドン進む。


問題だった賢者の欠片は、『死の指輪』に使っている宝石と判明。

なんだ、その落ちはと嘆いたよ。


相手の心を読み取るイコール、命令を聞く機能でもあった。


そして賢者の欠片50個を固めた物が賢者の石だ。

この賢者の石に、絶対服従の掟や命令形を教え込む必要があるらしい。


『それって、ゴーレムの頭脳であって心ですよね・・・だから賢者と名がついたのでは・・・』


ああ、それが名の由来か・・・

よくロボットに良心が理解できるかと問題になるが・・・善と悪の判断だが人間だって同じだ。


「頭脳と心か・・・そんな風に思うのも間違いはないかも・・・悪い事をしない教育が必要だな」


『それなら、わたしに任せてください。わたしのわたしなりのAIプログラムをつくってみせます。きっと優秀なゴーレムになりますよ』


もう張り切ったシェリーは、カチャカチャカチャと連打してプログラムを作り始める。




俺は、アカを抱え込んで「まだかーー」


『まだですよ・・・さっき、聞いたよね・・・』


「ああ、聞いたよーー、それにしても賢者の欠片50個を作るのに何時間かかってんだよーー」


『1時間で10個がやっとで・・・後4時間ください』


え!そんなに掛かるんだ。

サッと作れると思ってたのに、仕方ないなーー。


俺は外注で頼んだチタン合金のパーツを、一滴の血を垂らして強化を図る。


お!いい感じで血が広がっているな、お!こんな細部は・・・念をもっと強めよう。

なんとか細部にも血がいったぞ。


「なんて手間が掛かるパーツだ。形状が複雑なんだよ」


レッドが俺に触ってきた。


『まだまだ頑張ってください』


そうか・・・励ましてくれるのか・・・ありがたい。


なんと赤スケルトンがお茶を入れてきた。

レッドが『熱いお茶だと言ってます』


赤スケルトンがしゃべったの・・・なにも聞こえなかったけど、そうなんだ。


「ありがとうな、赤スケルトン・・・」


ていねいに御辞儀して定位置に戻る赤スケルトン。


『この金属はなんですか・・・』


「チタン合金だよ。軽くて高い強度でサビに強いのがメリットだ。デメリットは、難削材の金属で金食い金属だな」


『難削材ってなに』


「ああ、レッドには難しかったか・・・加工機で削りにくく加工がしにくい素材の総称だな」


『それなら出来るかも・・・』


「それって本当か・・・チタン合金をレッドに任せてもいいんだな」


『任せて・・・』


とりあえず予定していた外注はストップだ。


「鏡よ出よ」


一瞬で鏡が出てきた。


「レッド行くぞ」


ピョーンと鏡に入るレッド。

後に続いて俺も入る。


ここも借りた倉庫だ。

曇りガラスから日が差し込むが、やっぱ薄暗い。


照明のスイッチはどこだ・・・


バッオ!とレッドが炎の明かりを灯す。


「案外明るくて綺麗な炎だな」


チタン合金を見つけて飛跳ねるレッド。

レッドがちょこんと摘むのは、部品図面だ。


「まだ説明してないのに、やるな!!」


バツが悪そうにストップするレッド。


「ここからここまでが500ミリで厚みは15ミリ・・・ここの角度は45°だ」


レッドを触って確認だ。

なんとなく理解していて、なんとかなりそうだ。


お!チタン合金を収納したぞ・・・

なんとレーザーのような物で切ってるぞ。

それってアニメの影響か・・・なんと器用に切断。

切断面もめちゃ綺麗だ。


10分後に出来立てのパーツを出す。


ノギスを使って計測。


「お!あってる・・・このマイクロメーターなら・・・15.001!レッドやるなーー」


レーザーが使えるならレーザー焼入れも可能かも・・・ならギア歯面への局所レーザ焼入れもアリだ。


ノートパソコンでギア図面を見せる。


「レッド、これをやってみろ」


食い入るように見るレッド。

どの部分に焼入れするかも理解してたよ。


それに資料として、局所レーザ焼入れの動画も見せる。

うんうんとうなずくレッド。


なんでもかんでもノートパソコンに取り込んで良かった。


確か加工で残ったチタン合金で作れるハズ。

お!凄い・・・手に取るように分かる。

へ~え、あんな風に加工するんだ。レッドだから出来る加工なんだろう。

一気に型抜きする感じだ。


5分後に、焼入れされたギアが完成だ。


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