第52話ゴーレムⅡ



完成した様々なパーツが置いてあった。

アカが出した物だがシェリーは、1つ1つを確認してノートパソコンに打ち込んでいる。


俺らは、ただジッと見てるだけ。

レッドは『つまんない』と言って倉庫から出て行った。


『全てのパーツが完成して揃ってます。ゴーレム!起動パスワード232B267T72、合体よ!!』


そんなシェリーの命令に反応するパーツ達。


1つ1つのブロック状のパーツが空中へグルグル回りだす。

1つと1つが接続。そして飛び続ける。


その光景が回る続けながら繰り返された。


胴体が完成して右腕と左腕と合体。

続くように右足と左足も合体。最後に頭部が合体して床にゆっくりと降りた。


『マスターを決めてください』


『主殿、マスターの承認を・・・』


「いやーー、シェリーがやれば、その方が良いよ。AIプログラムを完成させたのもシェリーだし、色々教えるのもシェリーの方が良いって・・・」


『主殿が良いと言うなら、やってみます』


ノートパソコンに何やらカチャカチャと打ってゴーレムと向き合うシェリー。


『パスワード231A267T88、わたしがマスターのシェリーよ』


『パシワード確認、承認完了しました。マスターは、わたしに名を登録する義務があります。なので登録をしてください』


『どうしよう考えてもなかったわ・・・金属から誕生したからメタル・・・ちょっと言いにくいわ。メターなんかいいかも・・・主殿はどう思われますか・・・』


「いいんじゃないかな・・・」


『シェリーが命名します。あなたの名はメターです』


『登録完了。マスター、ありがとう』


それにしても大きい。

全長6メートルもあるなんてビックリだ。


我が家の隣を更地にして作った倉庫。

高さ8メートルもあって屋根が開閉する仕組みだと聞いて、おかしいなと思いもあったが・・・


普通に倉庫の扉を開けて出入りすれべいいじゃん。

シェリーのこだわりには参った。


このメターは、空を飛ぶことが可能なんだ。

バラバラのパーツでも飛べるから人間が行ける所なら行けてしまう。

それに血のコーティングでめちゃくちゃ頑丈だ。


「この状態だと我が家に入らないぞ」


『大丈夫です・・・メター、モード2よ』


頭部がパカッと開いて金色の球体がゆっくりとシェリーの横に浮遊してた。


『メターのモード2です』


成る程、30センチの球体なら我が家に入ってもさしさわりない。


「その球体で何が出来るんだ。そのままだと突進するしかないよなーー」


『主殿、何を言うのですか・・・分かりました。実力を見せます。メター、散らかった倉庫の掃除よ』


なんと飛び回って青い光線を発して物を動かしていた。


「あの光線は・・・」


『あれは牽引けんいんビームです。重い物でも容易に運ぶこともできて、それに計算上・・・飛行する旅客機もビームで牽引できます』


「え!そんなことも出来るんだ。こりゃ凄い過ぎるわーー」





我が家に戻った俺たちは、こたつに入っていた。


「倉庫の中は寒かったなーーまだ1月だから」


『それにしても、こたつは良いですね。メター、お茶よ』


目の前に来て、器用にビームでお茶を入れているよ。


『ダメですよ・・・空気を読んで主殿のお茶も入れなさい』


嫌々、今日完成したのに空気を読むなんて無理だよ。

俺の前にもお茶の入った湯呑が音も立てずに置かれたよ。


そして飲んでみる「あ~うまいお茶だ」


『急須に1人2グラムを使用。湯冷まししたお湯を急須に注ぎ、60秒待ちます。お湯の温度は70度~80度が目安で、湯呑に注ぎます。最後の一滴までしっかり注ぎ切るようにします』


なんだなんだ、メターのウンチクか・・・


『あ、申し訳ありません。空気を読みます。主殿、お菓子をお持ちしましょうか・・・』


「そうだな・・・お茶だけだと物足りないって思ってたんだ」


キッチンに行ってお菓子をカゴに入れて持って来たぞ。

どれもこれも俺が好きな菓子だ。

凄いな・・・もう空気を読んでるよ。


『ほらほら、アカさんが魔石を欲しそうにしてるよ』


『申し訳ありません。ただいまお持ちします』


押入れを開けて魔石を持って来るメター。

もうシェリーは、メターに厳しいぞ。



なんとシェリーは、何かをさっしたように俺を見る。


『主殿、これは親心ですよ。子には厳しくあれって家訓です』


エルフには、そんなのもあるのか・・・

江戸時代でもないのに・・・俺の家になかったよな。


思い返しても思いつかない。


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