第50話死の指輪



我が家では、アカがとんでもない物を作ってしまった。


「アカ!これって禁書の『死の指輪』だと知って作ったのか!」


『それが何か問題でも』って雰囲気で見るな!。

それにレッドと2人して仲むつまじいよって・・・ピョンピョン跳ねるな!。


本来は、『信頼の証明』と呼ばれるハズだった指輪。

相手の心を読み取る目的で作られた物で無害な物だったのに。


しかし、相手の心が読み取れるってことは、相手を好き勝手に操れてしまう。


そんな副作用が発見されると更にとんでもない事件が起きた。

とある錬金術師が恋のライバルに『死の指輪』をして触りコントロール。

数時間後には、ライバルの男は自殺をして死んでしまう。

まさに完全犯罪。


男性2人を愛した恋人に「君のことを託して死んでしまうなんて・・・あの時にもっと相談にのってれば良かった」

コントロールして書かせた手紙を手渡す。


涙する彼女を男は、抱き寄せる。

これで、この女は私のものだ。


女に『死の指輪』を使わない訳は、男のプライドが許さない。

俺からみれば、ちっぽけなプライドだ。


有頂天になった男は、酒に酔って友達にしゃべってしまう。

その話は、すぐに広まり・・・錬金術協会の知ることになる。

まさか・・・そんな悪事に使わないと思っていた協会は、国に訴える。


逮捕されて裁判で『死の指輪』で心を読まれて死刑判決が下される。

ああ、なんてつまらない話だ。


禁書には、それが書かれてた。

過ちを犯さないいましめを込めて。



俺の足をペシペシするのは、レッド。

紙を差出してきた。


なんとなく受取って見る。え!なんか書いてある。


[『死の指輪』で僕たちと会話して]・・・そうか、それが目的か!

いやいや、それより書けるなら・・・それで良いじゃん。


またも書いてきた。

[それでは、本当の会話にならない]


なんだかなーーと思いながら仕方なく『死の指輪』を指に差込む。

お!ぴったしだ。


そしてレッドを触ってみる。

ああ、なんとなく分かる。


『ご主人に話したい事があります。篠原奈菜しのはらななさんにばれました。ご主人いない時だったのですいません・・・』


「えーー!マジか・・・社長の篠原は・・・」


『なんとなく分かってもらえたようで・・・今では仲良くしてます。書き方も奈菜さんに教わりました』


そうか!錬金術で頭がいっぱいだったので、スマホのことを忘れてた。

スマホの電源を入れてると・・・あるわあるわ・・・篠原の留守電やメールが。

あ!『ユニコーン』からもポーションの・・・


「アカ!ポーション1万本だ。今から作れるか・・・」


『つくれます』と指輪を通して話してきた。


鏡を発動して地下6階へ・・・


オークに向かって「薬草1万の収穫を急げ!!」と叫ぶ。


ダダダダッと走りまわるオーク達。




しばらくして「ブヒブヒーー」と叫ぶキング。


もう薬草が山積みだ。

アカは、全て収納して『できたよーー』

めちゃ速い・・・


「アカ、ダンボールを出してくれ」


じゃじゃやーんと出たのが箱になってないダンボールだ。


「お前ら・・・組み立てるぞ」


ポーション用ダンボールをよってたかって組み立てる。


「ブヒブヒ」と組み立てるオーク。


俺は出来たポーションをダンボールの格子状にセッセと詰める。

この格子のおかげで緩衝材もいらない。なのでポーションも多く詰められるってわけだ。

そしてテープでとめて1箱終了だ。


「なんだアカも手伝うって」


オークが作ったダンボールに収納を使って一瞬で箱詰め完了だよ。

マジに凄いぞ。


「アカは、箱詰め係りだ」


俺はテープをガーッと引張り貼って、貼りまくる。

凄いぞ・・・箱詰め作業が速くなった。




なんとか14時には、箱詰めが完了。

アカを連れて鏡で倉庫へ・・・


「アカ、全てを出してくれ」


バババババと箱が綺麗に積み重なっている。

なんだか一仕事やった気分だ。


そして俺は、外に気配がないか確認。

倉庫には、暗証番号と鍵が掛かってるから大丈夫だと思うが確認は大事だ


『誰もいなよ』ってアカが・・・


スマホを操作して『ユニコーン』に連絡を入れる。

これで担当者が取りに来るハズだ。


「アカ、帰るぞ」


鏡で我が家に帰る。

アカは、ピョンピョンと跳ねて、レッドと交代だ。


レッドがやっていた格闘ゲームでキャラを交代させてやりだす。

必殺技の連続を出してKO!!。


俺は、レッドをガバッと掴んで外の軽自動車に乗り込む。


「レッド!行くぞ」


レッドは、ブルブルと震えだす。


そんなのを無視して運転して『オーク』まで走る。

ああ、店の駐車場はいっぱいだ。

広い駐車場にした積もりなのに・・・

店専用の駐車場からスマホで電話だ。


「もしもし、ジンです・・・店の駐車場に来てるけど・・・これるかな・・・」


しばらくして社長がやって来た。

ドアを開けて膝の上のレッドに気づく。


「魔物のスライムを使い魔のように使うなんて・・・ただ者ではないと思ってました」


「このことは秘密でお願いします・・・それが互いのためです」


「分かりました。秘密にします」


「それでは握手を・・・」


彼女は、ちょっと怪しむがレッドを見て手を出してきた。

握手をしながら『死の指輪』で心を読む・・・嘘は言ってないようだ。


レッドも心配だったようだな。

左手がレッドを触ってるからレッドの心配がガンガン伝わってくる。


「それでは、忙しいので失礼します」


そうい言って彼女は、販売所へ駆けだす。


「レッド、これでいいか・・・」


『ご主人・・・ありがとう』


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