第61話通信基地局
昼間の空をハイデンに乗って飛び続ける。
ハイデンによる結界で寒さも風圧も感じないまま気楽な飛行でよかった。
太平洋横断なんて無理だと思ったが嘘のようだよ。
しかし、疑問が残る。
「本当に、ばれないのか・・・」
『我が結界をなんだと思っている。ドラゴン2000年の魔法ぞ・・・誰も見えぬし誰も分からん』
それなら良いんだ。
アメリカの空を飛んでるからレーダーに引っ掛からないか心配しただけだよ。
後ろではシェリーが、アカを抱えて落ちないようにしている。
『アカさん、ダメです。珍しい空だからって飛跳ねるのは厳禁ですよ』
アカは、油断もスキもなく飛跳ねる。
1回は、ハイデンから落ちて探す羽目に・・・
俺は、スマホのアプリで現地点を確認。
地図では、アメリカの第49番目のアラスカ州に来ていた。
アラスカは、全米50州の中では最大の土地だとは知らなかったよ。
それもアメリカ領土の約1/7を占めらしい。
『あの山にしましょう』
『どの山だ・・・あっちこっちに山だらけだ』
『あのちょっと突出した山よ・・・私の思考が読めないの』
『エルフの分際で生意気に』
『何よ・・・この中では、あなたは新参者なのよ』
「もう、よさないか・・・ハイデンも言われた場所におりろ」
その山には、誰一人いない世界で自然の宝庫だった。
『アカさん、例の物をお願いします』
『わかったよ』
急に現れた球体は、空中に浮いた状態だった。
「これが通信基地局になるのか・・・2人してよく作ったな・・・」
『ほめて、ほめて』
「ああ偉いぞ」
『ここは第1基地局です。今でもネットは、電波や回線の通信手段です・・・けれど「Li-Fi」も進んでるようです』
「「Li-Fi」ってなに・・・」
『LEDの光を使った超高速通信ですよ』
「光・・・光ケーブルの事かな・・・」
『全然違います』
あ、全否定。
まあ、目の前の球体のことを聞こう。
「じゃーこれも「Li-Fi」・・・」
『いえ違います。マナを使った通信です。なので時間のタイムラグが発生しません』
「・・・・・・」
『主殿がアカさんと念じて話をしてますが同じ原理です』
マジか・・・どんなに離れていても通信の遅れがないって・・・
『アカさん、次を・・・』
ポンッと出た4つの球体。
最初の球体よりめちゃ小さい。
それが球体を囲むように4ヶ所に移動して止まる。
シェリーが『マウマイカカ・・・タタナヤ』
あの球体と4つも一瞬に消えた。
『通信基地局を結界で守りました。いかなる兵器でも破壊できないでしょう』
「これが倉庫か・・・」
『アメリカは、金さえ出せば使用可能な身分証明書も作れます』
「え!作ったの」
『作りましたよ・・・』
見せてくれた身分証明書には、シェリーの顔が印刷されてた。
「これって偽物か・・・」
『あっちこっちにハッキングして改ざんして作ったので、本物であって偽物です』
マジか・・・
そして、ここにも第2基地局が設置。
今では、まったく見えない状態だ。
そして上手く隠しているが配線が・・・
『これは仕方ないです。私たちの技術に追いついてないので』
嫌々、初めて見た時・・・驚いてたよね。
そんな事を言っていいの・・・
『アカさん、やってください』
え!シャッターに鉄板をはりつけてレーザーで溶接までしてるよ。
『あの窓も・・・』
「倉庫をそんなに勝手な事をしていいの」
『はい、大丈夫です。この倉庫は私の物ですから』
え!買ったの・・・買うだけの金は持ってるか・・・
「これを使ってネットに繋がるのは分かったよ。なんで、そんな手間をかけるんだ」
『企業の不正を暴き、株取引きで儲けるためです・・・それに正体がばれない工夫ですよ』
通信基地局を2つも作ったから、ばれても一瞬で戻る機能がついてるらしい。
ばれたら俺が困る。
まさかシェリーがパソコンとネットに、これ程のめり込むとは・・・
米国証券取引委員会に頼まれて、ようやく居場所を特定。
「ここに間違いないのか・・・」
「間違いありません」
「それにしてもホテルとは・・・」
ドア越しに「FBIだ!ドアを開けろ!」
なんの反応もない。
「やれ!」
カードキーでドアを開けて突入。
「GO!GO!GO!」
ボビーは、銃を構えたままトイレのドアを開く。
「クリアー」
「こっちも誰も居ません!」
「直前まで話してたハズだ。なんで誰もいない」
「フロントの話だと1年も宿泊料金を払ってると・・・顔はなぜか覚えてないと」
「カメラは!」
「なぜか映ってません。すべてのカメラに映ってないと報告が」
「Xっという人物は、何者なんでしょ」
「知らん・・・欧州でも暴れまくってるらしい・・・」
アメリカでは、多額の寄付が匿名でされた事が話題になっていた。
ノートパソコンを見ながら話しかける。
「シェリー、あの寄付ってシェリーがしたのか・・・」
『はい、しました・・・なにか問題でも・・・』
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