第69話このダンジョン違うぞ



空を飛んでるのに、なんで寄り道するかなーー。


『なんだ、この変な物は・・・お前と同じ人間がかたまって乗ってるぞ』


「だから旅客機だって・・・珍しくもない」


『我は珍しいぞ』


「あ!ハイデン、何かしたな!!」


旅客機がガックンと5メートル下にさがった。

あれは、ヤバイぞ。


乗客はシートベルトをしてないから頭や体を天井にぶつけた。

そして床に叩きつけられる。

頭から血を流す者や骨を折る客が続出。


「痛い・・・誰か・・・」


「足の・・・骨が突き出てる」


「助けて!」


「この子、心停止してるぞ!」


「医者は、いないのか!」


機内は、パニックだ。


『ちょっと風を送ったが、なんと情けない』


俺は、回復魔法を発動。

怪我や心停止した人を治す。


「何が起きた・・・」


「奇跡が・・・奇跡が起きたのよ。神様・・・」


ああ、機内では喜びに満ちている。




「ハイデン、速く行くぞ」


『せっかく面白くなったのに・・・』


「我がまま言わずに行ってくれ・・・」


『仕方ない・・・』




しばららく飛び続ける。

ああ、下ではドンパチをやってるよ。

いくら内乱だって・・・




『あれだ、あれが目的のダンジョンだ』


やっぱダンジョンの近くには、人が住んでいた。

とりあえず人目を気にしないで場所へ・・・ここなら大丈夫みたいだ。



『ここはわたしにお任せください』とシェリーが言い放った。


言葉と思えない言霊を発して・・・

あれよあれよと、ゆっくりと膝をついて寝てしまう人々。


『心配無用です・・・スヤスヤと寝てるだけです』


「もしかした、ダンジョンの情報なんか聞きだせるかな・・・」


『おやすい御用です』


ダンジョン入口の番人の頭に手を触れる。


『何を聞きましょうか・・・』


「転移石をドロップする魔物は、それと何処まで攻略出来ているのか・・・その2つだ」


『赤いオークからドロップするらしいです。それと赤いオークが手強いので地下2階も行けてない・・・』


赤いオーク・・・まるで俺が血でコーティングしたような魔物だ。

それ以外では聞いたことも見たこともない。


「どんな風に手強いか聞いてくれないか・・・」


シェリーが触る男が目をパッチリと開けやがった。

これって・・・


『殺さないように頼んだので・・・浅い眠りに・・・』


手を抜きすぎて失敗したってやつか・・・




『この弱い生き物が!!もう1度、寝やがれ!』とハイデンが突如叫とつじょさけぶ。


起きだした人々がバタバタと倒れだした。

これってフランスで怖い声と言われたやつだ。


「みな!急いでダンジョンに入るぞ」


レッドは、ロッケットのように飛んでいった。

アカも同じように・・・


俺は、倒れた人を触って確認。

気絶してるだけだった。


中には、頭を岩に打ちつけて血を流している。

死んだらヤバイ・・・回復魔法を発動。


気絶状態で怪我だけ治す。

あ、あっちにも・・・こっちも・・・


ああ、やっぱ俺が最後にダンジョンに入る。



入った瞬間から異変を感じる。

赤い肌のオークと『しもべ』が戦ってる最中だ。


『なんて硬い肌だ・・・これでどうだ』


ハイデンは、思い切り猫パンチみたに引っかく。

赤いオークが脳天から引き裂かれて「ブ!!」と倒れる。

背後から襲う赤オークに振返りながら猫パンチの裏側で殴る。

ドンッと音がなってオークの頭が吹っ飛ぶ。


シェリーも精霊魔法であっちこっちの天井や床に叩きつける。

まるで操り人形のようだ。

いくら硬い体でも徐々にダメージが・・・頭や腹から血や肉片が飛び散る。


ハイブラックか噛んだ腕を何度も何度も振り回して叩き付ける。

叩きつけられる度に「ブヒ」とかぼそく鳴くオーク。

あまりにも無残な光景だ。


アカは、ガブッと飲み込んでいる。

次の獲物もガブッと・・・


レッドは、レーザーでジュッと小さな穴を開けて、レーザーをゆっくり移動させて切断。

ああ、生きたままの切断だ。


赤スケルトンも矢に魔力を込めだす。

矢の先端に揺らめく魔力が放たれた。

赤オークの心臓部に穴を開けて、また手元に戻る。



そんな赤オークを全滅させるのも早かった。


「赤いオークなんて・・・それにオークが1階に出るなんて」


『主殿・・・また来ました』


ああ、また来たよ。


なんて凶悪そうな顔の赤オークだ。


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