第68話新たなダンジョンへ



なんとか我が家に帰ってきた。


ハイデンは、テレビを見ながら「ポリ、パリ」とポテトチップスを食べてた。

いい気なものだ。


「ハイデン、なぜ転移石2つを盗んだ!」


『なんとなく懐かしかった。ただそれだけだ』


そんな事のために・・・しれっとする美少女のハイデン。


「俺がフランスでひどい目にあったのも、お前のせいだ」


『我に何を・・・テロとかをやっつけたではないか・・・感謝されても、とやかく言われる筋合いはない。転移石2つでなんだ』


ああ、ハイデンではダメだ。

このムカムカした気持ちをどうにかしたい。

そうだ・・・投稿してやれ。

あんな目に合わされたんだ。


シェリーを呼んで、あれこれ相談。



フランスで起きた出来事を全てぶちまけてやった。

ネットやスマホで時系列にそって書き込んだ。

動画や写真をおりまぜて・・・


数日で3000万以上の閲覧数。

原子力発電所爆発直前の見出しは、大いに炎上したよ。

あれよあれよと翻訳されて各国に飛び火。


フランスのおとなりさんの反応も凄かった。

ドイツ、スイス、イタリア、スペイン、ベルギー、オランダ、イギリスからフランスへ抗議が殺到。

放射能って風で流れてくるからね。

防ぎようがない。



フランスでは、暴動が起きていた。

特に狙われたのは、警察署だ。


警察官の中にテロに情報を流した奴が話題にあがったからだ。

その警察官は、いまだに分かってない。


パトカーがひっくり返す映像は凄かった。

それも10台が無残な姿に・・・1万の国民パワーは凄い。

もう警察官も逃げるしかない。


人が居ない警察署に1人の男が火炎瓶を投げ込む。

カメラに映ってもいいように顔は、布でグルグル巻きにしている。

窓を割って中に・・・一気に燃える炎。


群集の興奮状態は恐ろしい。

男が用意していたバッグから火炎瓶を取る人々。

次々に投げられる火炎瓶。


誰も止める者はいない。



ああ、閉店したスーパーが襲われたぞ。

シャターに体当たりする人々、ついにシャターが壊れた。

めくれた場所から中に入る人々と、商品を抱えて出る人でごった返している。



なんと国務院まで襲われた。

警察も機能してないから大勢の国民5万人が集まった。


国務院って、フランスの行政が、法に従って適正に行われることを保障するのが仕事だ。

なのに原子力発電所のテロ対策で不法行為を見逃したと、国民の怒りをかったようだ。


報道陣に向かって演説する者まで現れた。

それを聞いて熱狂する人々。





『凄いですね・・・1週間も経ったのに勢いは、おさまりませんね』


「そうだな・・・」


なんか、やり過ぎた気がしていきたよ。

そんな落ち込んだ俺に・・・


『なあ・・・転移石をもっと欲しいと思わないか・・・』


「それって・・・」


『我なら、そのダンジョンを探しだせるぞ』


「それって本当か・・・」


『嘘を言ってどうする』


「ヨシ!皆で行こう」


ハイブラックの目がキラリと光って、不動の赤スケルトンも動いた。

皆は、やる気だ。



『ここでドラゴンになっていいか』


「ダメに決まってる」


『ならば空で結界を張って見えない状態にするから飛んでこい』


1人で飛んで行ったぞ。

あ、急に見えなくなった。

あそこで止まり続けているに違いない。


「赤スケルトンは、ハイブラックを抱えて飛べ・・・後は各自で飛べ」


おとなしそうにするハイブラックを抱えて飛ぶ赤スケルトン。

レッドも勢いよく飛んで消えてた。


アカは、俺にまとわりつく。


シェリーも飛ぶとメターの球体も同じように飛んだ。



「ハイデン!どこだ」


『ここだ』


微かに見えるドラゴン。その背中に乗った。


え!俺が最後・・・


『遅いよ』と抱きつくレッド。


『そろそろ行くぞ』


凄い勢いで飛び続けるハイデン。

ああ、結界はいいな。


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