第67話検査



俺が日本の偉い方々と飛行場に着いた時に、警察官たちに取囲まれた。


「なんだね君達は、捜査協力は終わったハズだぞ。わたしは外交官だ。外交特権で守られてるハズ」


「いえ・・・あなたには用はない。ジンさんに用があります」


いきなり2人に両脇を掴まれた。


「おい!何するんだ・・・おい!見てないで助けろ」


「これは何の罪を犯したと!」


アンドレが申し訳なさそうな顔で「転移石を持ってないか緊急検査をするためです。おとなしく従ってください」


ああ、あのおっさんは外交官だったのか・・・

なのに何の役にたたない。

口をアワアワさせてるだけだ。



病院へ行って裸にされたよ。

ペラペラの服に着替えされてMRI全身検査を・・・


ハイデンから聞いて知ってるが、直径4センチの石を飲み込んだらな窒息してるよ。

麻薬の運び屋でもビニール袋を飲み込むって聞いたことがあるが、石は論外だ。


それで転移石盗難事件から開放されるならと寝たよ。

時間で20分。


やっと開放かと思ったが違ってた。


「体の血管や心臓が異常に濃いような・・・なので血を抜き取って検査をします」


たしかMRI全身検査は、高周波の強い磁場を人間に照射。

人体の水素原子に共鳴現象を起こさせ、共鳴した原子から電波を受信コイルで受取る。

その信号データを三次元画像にして、輪切りして断面が見られる装置だ。


そんな装置に血の異常なんて・・・何を言ってんだ。


俺は、あわてながら三次元画像を見せてくれと駆け寄る。

俺を止めようとするが知ったこちゃない。

なんと心臓は真っ黒で血管も毛細血管も黒くハッキリ見える。

誰が見ても異常だ。


これってヤバイ状況だぞ。

明らかに血魔法の影響だ。理由は分からないがこのままだとダメだ。

このまま血液検査されたら何が出るか分かったもんじゃない。

下手したら実験体にされる恐れもある。


「嫌!絶対に拒否だ!転移石が写ってないのに何が問題なんだ!人権侵害で訴えてやる。それに捜査協力してテロを捕まえたのも俺の協力が大きいよね。そんな協力者をこんな扱いをするなんて信じられない。俺は抗議する!」


そんなやり取りの最中に外交官たちがやって来た。


「そちらに4人の日本人が拘束されていると聞きました。その情報は大使館にも伝わってない。我々は、いき過ぎた警察に抗議します。このままでは外交問題にしますよ」


政府に言われたのか・・・もっと早く対応しろよ。


アンドレは、どこかに連絡している。

そして結論が出たようだ。


「4人の日本人は、拘束などしてません。事情聴取をしただけで、よければその方と一緒に連れて帰ってもかまいません。パスポートもないので」


待つ事1時間。

4人の若者が連れて来られた。


「大丈夫だったか君達」


「はい、ひどい目に合いました・・・もうロシアは懲り懲りです」



何とかチャーター便で帰れた。

えらい目にあったよ。


旅客機の中では、転移石の話で持ち切りだ。


「それで転移する瞬間を体験したと・・・」


「はい、一瞬で違う場所にいました」


「嘘は言ってないね」


「嘘じゃーーありません」


「わたしも体験しました」


「わたしは、ロシア語が分かるので密かに聞いた話では、中国のダンジョンからドロップしたと・・・」


「それが真実なら凄いな・・・ダンジョンの名は」


「名は言ってません」


「そうか・・・残念だ」


「それでロシアから1回で転移したのかい」


「いえ・・・5回です」


「5回か・・・ロシアとフランスの距離は」


補佐官がスマホで調べる。


「えーーと、直線距離でおよそ6221キロです」


「ならば1回で1244、2キロぐらいか・・・最大限界距離もそれぐらいかもしれんな」


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