第46話移動の扉



リトナス国で飴や砂糖に塩などを、あのおっさんに見せてたら・・・


「あの唐辛子って物はないのか・・・」


「え!前は、いらないって言ってましたよね」


「それが・・・店の下働きのばあさんが、あんたが言ったように不要な野菜で漬け込んだらしいんだ・・・1週間後には美味いって評判になってね・・・私も食べたが・・・不味くはなかった」


なんだよ・・・不味くないって、正直に美味かったと言えよ。


「それで・・・値段は・・・」


「物が安い野菜だから・・・銀貨1枚で」


銀貨1枚なら1万円だ。それなら黒字だからいいかも・・・


結局、大金貨63枚金貨3枚もらって、次回は1ヵ月後で話がついた。

どうも大きな商談が1ヵ月後にあるらしい。




店を出て・・・あの錬金術の店に寄った。

俺しか客は居なかった。


「ああ、あんたか・・・」


「あの高かった剣ってどうやって仕入れたのか聞きたい・・・教えてくれるなら大金貨1枚で・・・どうかな・・・」


「大金貨なら・・・たしか、1年前だが・・・もう歳だから」


「分かったよ。金貨3枚」


テーブルの上には、大金貨1枚に金貨3枚が追加された。


店主の微笑む顔が不気味だ。


俺は、アイテムボックスからヘルメットとノートパソコンを取り出す。

ノートパソコンの電源を入れて、ヘルメットに接続。


「じゃー・・・これをかぶって、取引き相手のことを考えて・・・」


「え!何を・・・これってなんだ・・・あ、なんかが映ってる」


ああ、日本語だから読めない。

それに文句を言いながらヘルメットをかぶるおっさんも、なんだかな・・・


お!思い出したことが動画として映し出される。


「画像が悪いな・・・色がめちゃくちゃで、なんでだ」


『昔の記憶だから・・・色を下げましょう』


シェリーは、カチャカチャと打出した。

動画が白黒になって見えるように・・・相手の顔がはっきりとなりだす。


これじゃ髪の色が分からん。


「相手の髪の色は・・・何色でした」


「銀色で間違いない」


銀色ならランドル国で光魔法、錬金術師の国だ。

俺が聞き知ってる情報では、1番遠い国で宗教国家はヤバイ。


かぶったヘルメットを取ってノートパソコンを見るおっさんの表情は・・・


「なんと・・・あいつだ・・・なんで、この中に入り込んで・・・まさか・・・閉じ込められたのか・・・」


最初のシェリーの反応とまったく同じだ。


「シェリーを思い出すなーー」


『あんなにひどくありません・・・』


あのシェリーが怒ったぞ。

その怒った顔も可愛い。



「あ、他国にパット行ける扉って俺でも通れますか・・・」


「うーーん、移動の扉か・・・紹介者が必要だな・・・それに、頻繁に行くなら1年間有効の手形も必要だな・・・それも大金貨1枚の登録料が、それに通るたびに金貨2枚の手数料が必要だ。言っとくがワシは、紹介できん・・・」


あ!あのおっさんに頼もう。




「また来たのかい・・・」


「移動の扉を使いたい・・・なんでも紹介状がいるって聞いたんだ。何とかならないかな・・・? 」


「片道の紹介なら金貨3枚でも行けるぞ。あっちこっち行くのなら会員登録に大金貨1枚、通行する手数料は、金貨2枚じゃな紹介もできるが・・・中々審査は厳しいぞ。審査期間は、1年」


え!そんなに掛かるのか・・・


「なら・・・片道でお願いできないかな・・・」


「仕方ないな・・・あまり遠くに行くなよ。1年以上もかかる国もあるからな・・・」


「それって何処!」


「ランドル国だよ。この大陸から離れた島国だから、それに海には恐ろしいカリブディス、クラーケン、リヴァイアサンが・・・ああ恐ろしい・・・」


クラーケンは、大ダコなのは分かる。

リヴァイアサンもなんか聞き覚えがあるがカリブディスって何? 。


「カリブディスってなに・・・」


「船をガブッと食ってしまう口の化け物としか・・・正体が知られてないから恐ろしいんじゃーー」


それって魔の三角海域と一緒だな。

行方不明になって原因が分からないってやつだ。

口の化け物ってなんだよ。



「ほれ・・・紹介状だ」


「ありがとう」


サッと店を出て急ぐ。




あああ、長く並んでるよ。

紹介状の受付はどこだ・・・


『あれですよ・・・』


指差す方を見た。


列から離れ過ぎだぞ。

字が読めるシェリーのことだから間違いない。


2人並んでたが・・・先頭の男がトラブってるぞ。


「金貨3枚か・・・ああ、何かいい物でも食べたくなったな・・・銀貨2枚なら食べれるのに・・・」


あの番人、賄賂をよこっせって・・・マジか・・・

金貨3枚と銀貨2枚。なんと世知辛い世の中だ。


やっと気付いた男が銀貨2枚を出した。


「通ってよい」


次の女も金貨3枚と銀貨2枚を手渡した。

紹介状は、チラッと見ただけで「通ってよい」


なんのための番人だ。


俺も仕方なく、紹介状の上に金貨3枚と銀貨2枚を載せて手渡す。


「通ってよい」



やって来たのがドメラン国で別名土の国。

手形ならランドル国まで行けるらしい。

紹介状で行けるのは、貿易国のドメランまで・・・


船に乗って行くらしいが・・・俺は飛んで行からいいや・・・あとは方向だけだ。


それにしても人が多い。

頭の色も様々だ。


そして俺の頭を何度も見やがる。

中には笑う奴も。


「あ!あれが巡礼船か・・・」


白い服を着てる人が乗り込んでいた。

一生に一度、巡礼で行く決まりらしい。

まさに金儲けの仕組みだな・・・


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