第17話浜名湖ダンジョン支部



あああ、気になってしかたない。


幸子の話だとインドの入札は60億。

それに対して先進国の国々は、60億1円。


え!入札金額を知ってるって事なのか、恐るべし諜報力。

もう盗聴もしてハニートラップでも仕掛けたのか・・・

それにしても先進国の入札って凄いぞ。

横並びの60億1円って、どんだけの協力関係なんだ。


そして、俺のダンジョンカードに192億8円が・・・振り込まれている事実。

言葉でなく実際に見てみたい誘惑に・・・

急に金持ちになった。もう一生働く必要もない。

しかし、今の探索が楽しくて仕方がない。もう生きがいになっている。


人生で1番楽しい。



そして怖い話も聞いた。

幸子の話だと変装して見ればいいって・・・あまりにも素っ気ない言い方。

ギルドを信用するなって・・・


なのでダンジョン支部のロビーにそれはあるハズ。


「アカ、見に行くぞ」


町に行って、そこからタクシーで行き先を告げる。

タクシーを降りて、またタクシーに乗る。

行くのも用心したよ。


やって来たのは、浜名湖ダンジョン。


「アカ、俺を包み込め」


アカはスルスルと俺を包み込む。

トイレのガラス前の俺は、消えて見えなくなった。


この能力は偶然見つけた能力。

庭の石灯篭いしとうろうを包み込む風景を見てた。灯篭の一部が消える現象を見た。

光を反射させてステルスモードになるらしい。


何度も練習させて、これでもかと練習の日々。

試行錯誤しこうさくごして完璧なステルスモードにできるようになった。


いざ出陣だ。

トイレを出て浜名湖ダンジョンギルド支部に入る。

おっと危ない・・・誰も俺をよけない。ああ、当たり前か・・・


あ!あった。

ガラスに包まれたボックスがあった。

その存在に今まで気づかなかった。VIP待遇らしい。

そのガラスドアを開けて入る。


誰も気づいてない。風で開いたと思ったかも・・・

ドアの鍵を掛けると曇りガラスなって見えなくなるから掛けない。


カードを挿入して暗証番号を打ち込む・・・金額が表示されてるが目にはいらない。

ガラス越しに辺りをキョロキョロと警戒してるからだ。

はやる気持ちが早く早く明細書。

出てきた明細書をパッと奪い取る。


もう逃げだすことしか考えられない。心臓もバクバクだ。

誰かに見られてる恐怖に襲われているからだ。

ここの監視カメラも不自然な動きを撮っているハズだ。

キョロキョロ見ながらドアを開けて早足で歩く。



あ!チクッと頭に針のような物が刺す。

なんが起きた!

急いで上を見た!小型ドローンが飛んでる。あの棒状から吹き出したのか・・・

あ~あ、もう睡魔が・・・


これは、どうゆう事だ。

ステルスモードの最大の弱点は、呼吸するための穴が必要。

なのでアカが頭の上に煙突状態にして空気を取り込む穴をつくった。

監視カメラの斜めからの撮影では映らないハズなのに・・・


そうか、ドアが開いた事でドローンを真上まで飛ばしたのか・・・だから頭上から見えた。

あ!もう・・・意識・・・が・・・




目が覚めた。自己回復で麻酔が消えうせたのだろう。

それとアカが勝手に俺を動かしている。

俺が正気になったのを気づきようやく開放。

それで危険がさった訳でない。

今は後ろにゆっくりと後退するしかない。


目の位置に小さく開いた穴から外人が迫っているのが見えた。

数は8人いや10人・・・なんで、ここがばれた。

静岡なら大丈夫と思ったのに、岐阜や長野と三重などあるのに・・・


あ!そうか・・・FBIの犯罪心理分析官プロファイラー

地理的プロファイリングで、俺の行動の特徴を踏まえて金額確認に来ると確信。

そして、来る場所まで的中させるなんて・・・恐ろ過ぎる犯罪心理分析官。

金が振り込まれてから1週間以上も過ぎたのに、辛抱強く待ち続けたに違いない。

よくやるなーーと思う。


それにしてもアメリカ人に、こうも勝手にさせている日本政府はなにをしてるんだ。

俺って犯罪行為を犯したか・・・犯してないよな・・・


俺の暗視が外人の服を透かして拳銃が見えた。

これって赤外線が服を透かして見える原理と同じなのか・・・新たな発見だ。



アメリカは銃社会。

警察官の発砲なんて当たり前で、こいつらの思考回路も同じに違いない。

こっちが乱暴したら平気で殺されるぞ。


ここは逃げるしかない。

背後の強化ガラスにアタックして「ガシャン」とぶち壊す。

後ろを振返ることもなく飛んでた。

本能のなせる力のように・・・


え!飛んでる。

最初から飛んでたら良かった。

まだまだ魔法の使い方が悪すぎる俺だ。

これって風魔法だ。


それにしても眺めがいい。

もう、浜名湖が遠くなってる。

アカのステルスモードで寒さも感じない。

ただ、頭が冷え冷えだ。



もう愛知だ。


駐車場の屋上の降り立つ。

軽自動車に入ってラジオをつけてニュースがないか調べる。


やっぱニュースはない。


軽自動車を収納して、またも飛び立つ・・・あっという間に古民家上空へ。

ゆっくりと降下・・・



縁側からニュースが聞こえ出す。


「浜名湖ダンジョン支部の強化ガラスが突然に壊されました。なんでも外人の不可解な行動が目撃されてます・・・」


「わたし見ましたよ。拳銃を持った外人を」


「ご覧の通り目撃証言です。浜名湖ギルドにコメントを求めてもノーコメントで話しになりません」


「これはテロですね」


「テロですか・・・日本も本格的にテロ活動が・・・」


「それは間違いありません」


「信じていいのですか北原教授!」


「はい、信じてください」


おお、大変な事になったぞ。



アカがステルスモードを解除してピョンと縁側から我が家に入った。


そして強化ガラスが壊される映像が流れる。

皆が見てるテレビ前でアカは、テレビ画面をペシペシと叩く。


『これは俺だ』っと言ってるように・・・


ハイブラックは「ウォーー」と驚きの遠吠え・・・

それに対して赤スケルトンは口をカタカタと鳴らして、レッドはピョンピョンと飛び跳ねる。

え!『しもべ』は、あれで分かるのか・・・あれが会話なのか・・・


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