第76話魔王Ⅲ



『大変です!ジャジーニが放った使い魔たちが攻めてきました!』


『だから、あの時に攻めていれば・・・』


『今更!言っても遅い!』


せっかくの焼肉パーティーがオジャンだ。


地上には、牛程のネズミが埋め尽くされていて、空には吸血コウモリの大群が押し寄せている。



すでに遠距離攻撃魔法を発動する魔族も・・・

無数の魔法陣が展開されて、中心部から青みかった光りが放たれる。


当たった瞬間に20以上を消し飛ぶ大ネズミ。

その光景があっちこっちで起きた。


空には見えない斬撃が放たれていて、無数の大コウモリが落下。



『一歩たりとも前に進ませるな!』



シェリーが俺に近づき『ジャジーニは、使い魔の達人で物凄い魔力の持ち主です・・・それに魔王時代からの生き残りです。なので7貴族内でもトップだと・・・それに6貴族は、2世や3世なのでジャジーニの実力は計り知れないと』


「え!そんなの聞いてないよ・・・」


今更、ここで言われても・・・




『我らを守りたまえ・・・』


なんと魔族が空に結界を張ったぞ。


凝縮ぎょうしゅく!』


え!一気に大コウモリを包み込んで消えた。

まさに圧死だ。



あ!この城の裏側からも魔物の気配が・・・

なんと正体は、グールだ。

人肉でしか栄養源にする事ができない魔物らしい。

たしかミーニャ国で聞いた話だ。


なので複数の隕石を発生させて落とす。

爆発音が響き爆風まで・・・

絶滅を確信。



あ!新たな魔法だ。


黒っぽい魔族が両手を広げだす。

そして叫んだ。


漆黒しっこくより舞い下りろ!』



黒い霧が発生して渦を巻きだす。

その中心に何かが・・・・・・


それは、小さな点だった。

地面近くに高度を下げて黒い球体が出現。


近場の大ネズミが必死に逃げようと・・・あ!吸い込まれた。

大ネズミより小さい球体なのに・・・


その吸い込まれる数が増え続ける。


あの大コウモリも必死に羽ばたくが吸い込まれてゆく。

まるでブラックホールだ。


あんなに大勢いた使い魔が消え失せた。

魔族の中にも凄い奴もいるんだ。



勝利に祝う魔族。


『勝ったぞ!』


『これで我らの時代だ』



そんな声が・・・何故か遠くに聞こえだす。

なんで・・・・・・



あ!一瞬で白い世界が広がっていた。

シーンと静まり返る。



『やっと会えました・・・』


え!誰!

それに何を言ってんだ。


『わたしをお忘れですか・・・・』


「いや、知らないけど・・・」


『なぜ!・・・わたしは孤独だった・・・永遠と思える程に・・・・・・そして、やっと感じた』


ひかり輝いているのが人型だ。

この魔族がトップ貴族のジャジーニなのか・・・

それ程に魔力を感じる。


それに、途切れ途切れに話す事は・・・もしかして、俺って魔王の生まれ変わり。


「俺が魔王の生まれ変わりなのか・・・」


『そうです・・・・・・あなたから魔王の血の魔力が・・・・・だから、あなたを探すために、あなたが生きている世界にダンジョンを作ったのです・・・それなのに、まだ目覚めませんか・・・』


え!ダンジョン発生って俺のため・・・

そんな事のためにダンジョンが・・・・・・信じられない。


『幼かったわたしを育ててくれて・・・それなのに』


え!もしかして魔王が好きなのか・・・あ!魔族って・・・


「それであんたの望みは、なんだ」


『昔の魔王様に会いたい・・・・・・それだけです』



あ!頭が痛い。

走馬灯そうまとうのように過去のことが次々に思い出される。


あ!あの幼かったジャジーニの顔が・・・

しかし、神悠真じんゆうまの人格が・・・・・・



「やっと思い出したぞ!」


『魔王様!』



ジャジーニと話し合ってダンジョンは、残すことに決めたよ。

もうダンジョンなしでは、日本経済は回らない。

それに世界もダンジョンに依存してるからだ。


ここの魔族もジャジーニがこちら側に従うことに賛成らしい。



それにしても・・・異世界でのジャジーニは、俺にベッタリだ。

なので1週間に1度は、この異世界で過ごす羽目に・・・・・・


ああ、俺って・・・どうなるのだろう。


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ダンジョンで血魔法で無双 @katuniro

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