第27話サイクロプス



7階層でハイブラックが「ウウウ・・・」とうなった。

俺には、分からないが臭いを嗅ぎつけたようだ。


「ようやく見つけたか・・・サイクロプスを」


頭を上下に振って『みつけたよ』ってしぐさをしやがった。

よっぽど見つけられなかったことに悔しかったらしい。


今はどうどうと歩く姿は勇ましい。


時たま不思議そうにして臭いをかいでいた。

臭いが時たま消える感じらしい。


あ、微かに音が聞こえだす。


歩き進む中さらに音が大きくなる。


そんな森を抜けたら爆音が・・・え!滝。

なんとナイアガラの滝かと思うほどに高さも横幅も半端ない。

下から見上げるから、その迫力は凄かった。


そして滝のミストも凄い。あれって虹か、微かに虹も見える。


その滝から何かが飛び出す・・・何が飛び出した・・・コウモリだ。

その大きさも半端ない。


え!そのコウモリがハーピーの集団に向かって叫ぶ。

叫んでるが音がまったく聞こえないぞ。


ハーピーが狂ったようになって落下するが寸前で1人を捕獲。

そして喰らいやがった。

その大きさはハーピーの2倍も大きい。


それに、あの攻撃は音波攻撃か・・・



これでハイブラックが探知できなかった理由が分かった。

滝がサイクロプスの存在を隠していたに違いない。


滝で臭いを消して存在も消していたのだろう。

お!この水も魔力を感じるぞ。

それで探知できなかったのか・・・


そんな滝の真下まで来た。

ここなら行けそうだな・・・やっぱ中に大きな洞窟があった。

そんな洞窟の上にはコウモリがぶら下がっている。


そのコウモリが叫びだす。

あ!頭が割れるぐらいに痛い。


耳をふさいで地面に転げ回る。

なんてことだ。地面は糞だらけだ。


あ!急に痛くない。


なんとアカと赤スケルトンがコウモリを退治してた。

なのでコウモリは逃げ回って俺の相手もできない。。


アカは、洞窟の上まで飛び跳ねてコウモリを捕獲して溶かす。


赤スケルトンの弓のスキルで何頭も撃ち落としていた。

3連射が凄過ぎだよ。


ちなみにハイブラックは、ドロップした物を集めだす。

俺は滝で汚れた全身を洗うのに必死だ。

なんて臭さだ。



ハイブラックがスキルオーブを持ってきた。

このスキルオーブは、超音波耐性のスキルオーブだ。

迷わず取得。


あ、ハイブラックもスキルオーブを見つけたようだ。

こっちを見る顔が欲しがっている顔だと、なんとなく分かった。


「使っていいぞ」


ハイブラックは、スキルオーブを触りながら目をつぶる。

スキルオーブが淡く光って消えてしまう。


あ!新たなスキルオーブを発見。音魔法・・・


音魔法を習得した。

手元には、超音波耐性のスキルオーブが3つだけ残った。


音魔法のスキルオーブは、レア中のレアだったようだ。


この音魔法、超音波攻撃ができる。

そして任意の場所に、好きな音を出せるらしい。


なので1人の人間だけに話せたり、「こっちよ」と誘い出せるみたいだ。

まあ、集中すれば耳元で爆音を響かせることも可能だ。

きっと鼓膜こまくが破れてしまうかも・・・



あ!本命のサイクロプスがやって来たぞ。

え!あれってサイクロプスか・・・赤い肌に大きさも半端ない。


それでも邪魔なコウモリを全てを狩り尽くしたばかりだ。



それにしても、なんかめっちゃ怒ってるぞ。

あの棍棒を洞窟を叩きまくってる。


「グガグガグーー」


天井が崩れるって・・・バカ野郎。


俺は指先を切って血球を放つ。

1つ目のくせによけやがった。

しかし、考えが甘い。


もっと小さな血球がサイクロプスの口の中に入った。

そして、赤刀で仕留める。



え!斬ったのに再生が速い。

なんで・・・それでも首を切り払う。

え!これでもダメか・・・なら心臓部を突き刺す。やっぱダメだ。

目を突いても、脳天を突き刺しても再生しやがった。


ならばサイクロプスが再生に使うMPが無くなるか、俺の体力が無くなるか勝負だ。

もう斬りまくって、斬る。


もう、こっちも必死だ。

これで『しもべ』モードでなかったら完全に負けてたぞ。

抵抗しないから出来る戦いだ。


やっとMPが尽きた。

それが合図のように消えたぞ。


目の前にあるのは、超自己回復のスキルオーブだ。

これを習得したら人間でなく不老不死の存在になるかも・・・

なので習得は保留だ。

そして赤いスキルオーブして収納。

こんなのオークションに出品できないぞ。



え!ハイブラックが吠えた。

その声は洞窟の奥だ。



なんとサイクロプスの棲家だ。

それにしても何なんだ。この金属が混ざった石球は。

この石球をクッションにして寝てたらしい。

だから丸くなったみたいだ。


その1つを拾って見る。


アカも同じように石を抱きつく。

え!なんか淡く光ってるぞ。


「アカ、なにをした」


なんと魔力を通したみたいだ。

ならば俺も念じる。ピカッと光る。


これって、なんとかのトリトンのオリハルコンの輝きだぞ。

念じるのを止めるとピッタッと輝きも消えたぞ。


それにしても残念なのが不純物の存在だ。

金属を取り出しても武器にするのも大変だぞ。

加工方法も分からん。


あ!たしかアカは、炭素をダイヤモンドにしたよなーー。


「アカ、全て収納だ」


あっという間に全ての石が無くなった。


俺達は、急いで我が家に帰った。




ノートパソコンを使って砂鉄から日本の古式製鉄法で作られる、たたら製鉄の動画を見せる。

それが終わると刀鍛冶が刀を製作する動画も見せた。

その次が刀を研師とぎしが研ぐ工程も見せる。


そして名刀の数々も見せた。



しばらく黙ったままのアカ・・・


なんかアカも分かったようだ。

ググググッと気張って吐き出した。


オリハルコンの刀だ。

え!刀でなく太刀たちだ。

『太刀』とは、刃の長さが80センチを超える大型の刀剣のことだ。

それに対して『刀』は、刃の長さが60センチ以上で刀身の反りが浅いのが特徴だ。


太刀の原型は、平安時代以降に作られていた「湾刀わんとう」と呼ばれる弓形の反りがついた刀剣。

馬に乗って斬るための太刀だった。


それでなんで・・・

そうか!最後に見せた名刀が原因だ。


それより異常なのは、つかつばと刀身が全てがオリハルコンの一体物である事実。



まあ、出来たものは仕方ない。

握ってみる・・・そして振ってみる。


中々いい感じだ。

しっくりしてて軽い。


魔力を通す・・・ピカッと光・・・眩しい・・・

なんて光量だ。


急いで魔力をストップ。

とんでもない物を作ったぞ。



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