第20話企み



『ユニコーン』がまたも大々的に記者会見を開いた。

内容は知らされてない。


「今回もアイテムボックスなのか・・・60億ってとんでもない金額だが・・・いくらなんでも同じスキルオーブだと安くなるな」


「そりゃー安くなるぜ・・・50億、いや40億かも」


「俺の情報筋だと違うらしいぞ」


騒がしい会場にハイヒールの音をコツコツと鳴らす女性。

皆が注目する中、会場に現れた司会者が深くお辞儀をしてから話しだした。


「会場に来ていただきありがとう御座います。今回は、スキルオーブの提供者の関係者に重大な危機が及んだことを発表さてもらいます」


会場がどよめいた。


そのタイミングで大きなスクリーンに映像が流れた。

それは浜名湖ダンジョン支部のロビーでの映像で、司会者はレーザーポインターで外人を指した。


「スキルオーブの関係者が金額を確認するために訪れました・・・この外国人を見てください・・・銃を持ってます。脅迫、あるいは誘拐の恐れが・・・それなのに警察やダンジョンポリスに問い合わせても返答がありません。しかし、独自に調べでCIA職員と判明しました」


スクリーンに顔写真と経歴が映し出された。


「ジョン・ハーバー28歳で秘密工作活動に従事。あいにく特定できたのは彼だけです。こんな理不尽なことが日本に起きてるのを警察、公安、日本政府は黙認してます。それで良いのでしょうか・・・日本は法治国家なのに。彼らのターゲットが、日本人のスキルオーブ提供者の協力者です。彼は何か罪でも犯したでしょうか・・・いいえ何もしてません。なのにCAIに好き勝手にさせていいのでしょうか・・・拳銃を持って撃つ構えです。間違って撃って御免なさいですみませんよ」


「それは本当の話ですか、本当なら許せないぞ」


「そうです・・・私も許せません。どうか、この不正を正してほしいのです。どうか国民の皆さん声をだして抗議しましょう。日本政府の無能を・・・」



スクリーンには、急いで撤退する様子も映し出されていた。


「急いで撤退だ!」


「了解!」


無線会話もリアルタイムに聞こえている。



-  -  -  -  -  -  -  -



連日も話題となって国会は荒れていた。

野党がここぞと攻めた質問を繰り返した。


国会の場で警察庁長官は「まことに預かり知らない事で・・・しかし、責任を取って辞任します」


「それで責任を取った積もりですか、事件の説明が先ですよね」


「後任の者が調査して説明してくれるものと信じてます」


「そんなの茶番だ!それでも警察庁長官か!」


「なので辞任します」


「あんたねーーそれで説明してると言えますか、国民をバカにしてるのかーー国民は怒ってますよ。あの声が聞こえませんか抗議の声が」




国会前では、デモが起きていた。

プラカードには、『死ね税金泥棒!』『へたれ総理!』などなど。


「総理は辞めろ!無能な総理は辞めろ!」


「アメリカの言いなりになるな!」


「税金を上げるのが総理の使命と思うなーー!税金泥棒!クソ野郎!」



そんな光景の前で、ニュースレポーターがカメラの前でメイク中。


「もう、時間がないぞ」


「ちょっと待ってよ」


「早くしろよーー」


「分かったわよ」


そして、GOサインが出る。


「ご覧ください。総理を辞めろと抗議してます。今の内閣支持率は、過去最低の13.2%です。もうダメで次の総理は誰かと永田町の模索もさくがはじまったようです・・・来年の選挙が楽しみです」


「13.2%ですか・・・凄い抗議ですね・・・国民の怒りの声でした」



-  -  -  -  -  -  -  -



日本料亭で桜田総理は、グチっていた。


「なんでワシの時代に・・・それもこれもアメ公が悪いのに、ワシは官僚に従っただけだぞ」


「まあまあ、仕方なかったとあきらめましょう」


「あきらめきれるか・・・金をどれだけばらいたか・・・」


サササと秘書が寄って紙を手渡す。


「なんだ」


「次期総理のリストです」


「どれもこれもどんぐりの背比べだな・・・ワシは知らん。勝手に決めろ」


「かしこまりました」


サササッと引き下がる秘書。

ふすまを開けるのも静かに開けて退出して閉める。


「ああ、ワシは終わりだ」



襖がスーと開いて女が入ってきた。


「誰だ!お前は!ワシを総理と知って入ったのかSPは・・・」


「SPは眠ってもらってるわ・・・総理を辞めない方法を知ってるけど」


桜田は考えた。SPを眠らせてここまで来た人物は、探索者か・・・それに微かに記憶に・・・トップの探索者の顔を思いだす・・・あ!あの女か・・・


ならば実力もありそうだ。


「話を聞いてもいいぞ」


話を聞いて納得する内容で理にかなっていた。

ちょっとの倫理的リスクもあるが、ワシの政治生命にくらべると些細なことだからいいか・・・


「それで返事は・・・どうですか・・・」


「分かった。話を進めてくれワシも強力は惜しまないぞ」


「そう・・・よかったわ」


2人は、酒を飲み交わした。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る