第4話晩御飯



今日は、アカが霜降り肉を要求。

昨日買って来たパックのカラをゴミ箱から出してきてペシペシと叩く。


よっぽど美味しかったらしい。

ポーションをドロップしたアカにはかなわないなーー。


「え!一緒に連れて行けって・・・もう、無茶を言いやがって」


背負いバックを腹に抱えて、お出かけだ。

それもアカのおねだりだ。後ろだと前が見えないのが不満らしい。

嫌違うな。肉を選びたいのか?



近所のスーパーに行くまで、アカはニョキッと伸ばして風景を楽しんでいる。

すれ違う人々に見えないように、こっちは必死だ。


ワザと右を向いたり、くるっと一回転までしてしまった。

その行動がアカを喜ばせる羽目に・・・




スーパーの中では、カートの中に肉を放り込む。

最初の1パックを体内に入れて溶かしたのにはビックリだ。

もう、焦ってキョロキョロとまわりを見た。誰も見てなかった。


「カートの中に入れるんだ。後でゆっくり料理して食べような」


それを理解したらしく、セッセとカートの中へ・・・


あ!黒毛和牛300g4980円を入れやがった。

鹿児島黒牛カタローススライス300g6480円も3パック。

【黒毛和牛】ステーキ 赤身200g2980円を4パックも・・・



「え!長ネギはダメか・・・なんで」


もう、体から突き出す2本の突起でクロスしてダメ表示。

テレビを1日中見続けて変な風に学習してしまったもんだよ。


そして深夜には、顔をペシペシして起こされた。

何か問題でも起きたかと気が気でなかったのに、テレビの前で砂嵐を見せられる。

そして、べちょーと体を低くして『寂しい』と表現。


仕方ないからノートパソコンの電源を入れて、You〇ubeを見せると喜ぶ姿にホッコリ。

時計を見ると午前3時か・・・



「焼き豆腐はいいよな・・・え!ダメって」


「糸こんにゃくは、アカみたいにプルンプルンだぞ・・・ダメか」


「玉ねぎは・・・ぎりぎり三角でOK・・・」


「椎茸、しめじ。えのき茸もダメらしい・・・え!きのこコーナーは全てダメなのか」


俺の好きなすき焼き料理が・・・


会計は、5万3253円。

スーパーで5万以上の買い物なんて有り得ない。


あああ、喜ぶアカにはかなわないなーー。






夕食は、チビチビとアカがステーキ肉をパックのまま捕食。

その横で、肉と玉ねぎだけのすき焼きを料理して食べ始める。


あれ!最初はすき焼きなんか興味なかったのに・・・ガンガンと視線を感じだす。


「あ!食べたいのか・・・美味しいぞ」


プイッと捕食を再開。

なんと30秒で3パックを食い尽くす。

そしてノシノシとやって来てテーブルをペシペシと叩く。


「分かってるよ」


皿に熱々のすき焼き肉をのせるとパックッと完食。

そしてプルンと『美味しい』って・・・


そんな、わきあいあいの食事を台無しにする連絡が・・・

スマホには、「お前!金を稼いだみたいだな」


そこでようやく気づく・・・

外には奴の気配が、2階に上がって窓から外を気づかれないように見た。


間違いなく武士だ。

集中すると武士の話し声が聞こえてくる。

レベルアップの身体能力がなせる力のようだ。


「はい、追い込み掛けて、もっとぶんどってみせます・・・はい・・・分かってます」


相手の声は、あの社長だった。

内容は「殺しても金を持って来い」

なんて奴らだ。


あ!いつの間にアカが足元に・・・


「アカ!窓から奴に向かって投げるから・・・奴が着てる服を全て収納して来てくれるか・・・」


グググッと体で丸表示。


アカをガシッと掴んで、窓を開けて投げる。

あ!力が入り過ぎたか・・・1メートルもずれたぞ。


あ!アカが体を変形させて軌道修正。闇金の武士に見事に命中。


服がパッと消えて上半身が裸だ。

スルッと下にさがって、下半身のトランクス姿に・・・そのトランクスも消えた。

またも下にさがって靴も消えてくつしたも消えたぞ。

わずか5秒のはやわざだった。


間が悪いのか・・・男女が通り掛かる。

そして女性が「痴漢よ!痴漢が・・・誰か助けて!」と叫んだ。


それを聞いたご近所さん。

窓がガラガラと開きだした。


ようやく理解した闇金野郎は、脱兎だっとごとく走りだす。

男も警察に通報。


「はい、痴漢です。凶悪な顔した痴漢です・・・・・・はい、場所は美山小学校の近くです・・・逃げた方向は豊田インターの逆方向です・・・はい」


あああ、間違いなく捕まるぞ。

全裸は目立つからな・・・


1階に下りるとアカが帰って来ていた。

そして食事の再開だ。


アカは、ちょっとしたスキ間でも潜り抜けるから、鍵の掛かったドアは意味をなさない。


「アカ、ご苦労さん・・・奴の服を出してくれ」


プイプイと出される服やトランクス。

あ!スマホもあった。解除されたままだぞ。


なになに、動画か・・・え!これって殺しの動画・・・更に探すとやばい証拠が・・・

服をもっと調べると袋が、それも白い粉が・・・8つもあるぞ。

俺が思うに麻薬だ。そして売人に違いない。


ここで自分なりのストーリーを描く。

ポケットの手袋を参考に・・・



あ!パトカーのサイレンだ。


服や下着に靴まで抱えて外にでる。


ガヤガヤと話している警官に「こんな物を玄関近くで見つけました。それにスマホの動画には、殺人をしてる動画がありました」


「それは本当か!見せてくれ・・・本当に殺しの動画だ」


ご近所さんのスマホの数が半端ない。

中にはフラッシュまで・・・


「それに麻薬のような物も・・・」


警官が白い手袋をして袋を受取った。


「県警に連絡しろーーこれは一大事になるぞ」


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