第3話ポーション
当初の目的の2階層。
あれは5人組の探索者だ。見られるとまずいから離れよう。
ここなら誰も居ないからいいだろう。
スライムのアカは、背負いバッグの中だからばれるハズないが・・・それでも、やましい気分だ。
ああ!探索者が全然いない。ここならいいかな・・・
ちょうどいいコボルトがやって来た。
数は2人。背負いバッグからアカを出して投げる。
見事に命中。
腰にさげた赤刀を抜き放つ。
アカが収納から吐き出した武器から選んだ。
両手には、赤塗りの手甲。
胸には赤い胸当てが装備。
足にも丈夫な赤いブーツが・・・
この赤は、血でコーティングした物だ。
血魔法の新たな使い方だ。
頑丈になって魔法も跳ね返す威力らしい。
試した訳でないので、ホントかな・・・と思いつつ使用。
剣を振り下ろすコボルトに対して刀で防ぐ。
「パッキン」と剣が切れた。
驚愕するコボルト。
そのまま刀を振り下ろす。え!コボルトの上半身がズバッとズレ落ちる。
なんて切れ味なんだ。それに手応えがまったくなかったぞ。
あ!アカがポーションをのせて来た。
本当にポーションなのか!
手に取って、震える指でスマホ操作。
この画面がポーションでこっちがドロップしたやつだ。ガラス瓶の形や中の赤い液も同じだ。
俺は、座り込んで泣いていた。
望みをかけていたがレアドロップのポーション。
「アカ!ありがとう。ありがとうなーー」
そんな俺の姿を見たアカは、キョトンとしている。
2階層で戦い続ける。
すぐに地上へ上がって金に変えて、闇金野郎に振り込みたかった。
しかし、血魔法やアカやポーションまで手に入った。
今日は、ラッキーな日で・・・その日を逃したら幸運が消えそうな気がした。だから戦い続ける。
1時間後、またもアカがポーションをドロップさせたぞ。
「アカは、まるで幸せの女神だ」
体をスリスリして誉める。
石田幸子と大違いだ。
あ!あんな奴の顔を思い出してムカつく。
ブスではないが美人でもない。ああ、頭をブンブン振って忘れることにする。
あ!またもコボルト5人がやって来た。
アカは、起用に床に広がりだす。
あれってアカの得意技だ。
その上にコボルトが・・・「ガバッ」と包み込んで一網打尽にする。
剣も槍も歯が立たない。
一生懸命、中から突いてるがダメで力尽きる。
そしてアカがもとの状態に戻る。
魔石2個とポーションがあった。本当にラッキーな日だ。
あんなにドロップしないポーションが3本も・・・
「そのポーションは、アカが収納してくれ・・・俺が大怪我した時に使ってくれ」
プルン、プルンとOKサイン。
スマホのアラームが鳴りだす。
「もう、そんな時間か」
時間は15時。
昼飯のおにぎりも食べてないのに、ちょっと頑張り過ぎた。
「さあ!帰るか」
プルン、プルンと震えるアカ。
「アカも賛成か・・・あ!しかしアカの存在をどうする」
ギルドに報告すれば、何をされるか分からないぞ。
下手したら実験にされてしまうかも、どうすれば・・・
「アカ!あの防御服とナイフを出せ」
着ているものが違うのも・・・まずいよな。
肩のただれて服に着替えて、着ていた防具をアカは一瞬で消し去る。
不思議な光景だなーーと思いながら「防御服の中で薄くなって入れるか?」
『はいれるよ』っと言ってるように震えた。
そして、スルスルッと入ってきた。
お!これなら大丈夫かな・・・
そして、1階層に急ぐ。
追い駆けるコボルトは無視だ。
いよいよ改札口だ。
もう心臓はバクバクだ。
出口用の改札口の横に移動。
目の前のボックスの前に立って、カードをかざす。
「シュッ」とボックスが開く。
ポーション2本が入った背負いバックをボックスの中に入れる。
「ビーコ、ビーコ」と鳴りながら勝手にボックスが動き出す。
ああ、心配だ。
ダンジョン出口の改札口に探索者のカードをかざす。
するとドアが開くので中に入る。
なんか光るセンサーが体中を行ったり来たり。
「センサーに触らないでください、センサーに触らないでください」と女性の声が・・・
もう心臓が破裂しそうだ。
青の点滅だ。そしてドアが開いた。
なんと
アカの存在が隠せた。
バッグの受け取り場所に急ぐ。
回転する中にバッグがあった。
やっぱりポーション2本も魔石も無くなったバックがあった。
なんか無理やり盗まれた感じだ。
そんな光景を監視カメラと警備員が見てた。
そして更衣室に入る。
アカが防具以外の服を収納していて助かった。
ロッカーの服はダブダブだから・・・
アカは、スルスルとバッグに入る。アカの家と思ってるようだ。
「アカ!おとなしくしろよ」
その服に着替えて鏡にやっと気がつく。
なんとイケメン顔がそこにあった。
細くなったらイケメンだったのか・・・と改めて自分に驚く。
そして受付の番号は・・・444番か・・・良いのか悪いのか・・・
やっと俺の番号が表示。
受付の前に座って冒険者カードを手渡す。
「今回が初めてのようですが・・・ポーション2本は珍しいですね・・・何かコツなんかありますか」
やんわり言ってるがさぐりを入れてる。コツがあっても言う必要もないのだが・・・
「一生懸命、神に祈りました。それだけです」
「そうですか・・・今日の相場は1140万円です。なので2280万円とゴブリン魔石2個とコボルト魔石13個で合計金額が2287万1000円です。不服が無ければ、ここに右人差し指のせてください。そして指定された銀行に振り込まれてますので・・・確認ならあちらのATMで・・・スマホ確認は、こちらの用紙に詳しくアプリのダンロードから色々と説明が・・・なにか気になれば質問をどうぞ」
言われるまま人差し指をのせると光るセンサーが動く。
「入金確認はすぐに出来ますか? 」
その時だ・・・受付の人のポケットが鳴りだす音が「ちょっと失礼します」と言って立上がって後ろにさがった。
しばらくして戻ってきた。
「入金確認は1時間後なら出来ます・・・それと質問してもいいでしょうか」
「何かありましたか? ・・・」
「保安センターから外見が変わってると情報があったので」
「レベルアップすると太った人は、痩せるって聞いてますが・・・」
「あの・・・申し訳ありませんが登録時にサンプルで取ったDNAとDNA鑑定をしてもよろしいでしょうか」
口の中にめん棒を突っ込まれてコシコシ。
「急いでDNA鑑定に・・・」
待ち構えていた男が受取ると急いで走りだす。
2時間も待たされた。
「本人に間違いないと確認ができました。疑って申し訳ありません。上からの命令なので・・・」
なんとなくホッとした。
「またの御来店をお待ちしてます」
受付嬢は、無表情にニコリと笑い返してきた。
え!なんなんだと思いながら去った。
今から銀行に行って無理ぽい。家に帰るか・・・
翌日には、銀行へ行ってた。
闇金の武士と出会った・・・フツフツとわく復讐心を止められないと思ったからだ。
闇金の名刺を取り出して「ここに1100万を振り込んでくれませんか」
驚く銀行員。
振込み用紙にも印鑑を押して金額も1100万。
「探索者なので頼みます」
そしてカードも見せる。
大事な証拠の通帳を受け取る。
ああ、金が無いな・・・30万を引き出すか、ATMの前でキャッシュカードを差込む。
膨らんだ財布を見て、やっと安心だ。
スマホを操作して『二度と来ないでください』と打ち込む。
それでも来たら痛めつけてやる。
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