第74話魔王



ここは、アルバルが棲む地下の城。

7貴族の2番目だったアルバル。

性格は、ずる賢く陰険いんけんで悪意を表に現さないタイプ。


地下の城を攻めるには、地下の迷路をさ迷う羽目になったり。

大勢での攻め寄せるのも難しい。


そんな豪華な部屋で会合がなされていた。


クリスタルダイヤで出来た椅子に深く座ってるのがアルバル。

その体はダイヤの結晶で出来ていて、立てば体長3メートル程もあった。


対してビキニ姿の美少女が、やんわりとした口調でさとすように話し掛ける。

相手のプライドを傷つけない配慮だ。


『どうですいかアルバル様、こちら側の陣営に入られては・・・6貴族となった今では、アルバル様の動向が重要視されますぞ』


『お前も、そう思うか・・・・・・それで我の立場は』


『ジン様に次ぐ立場で御座います。それにジャジーニに意趣返いしゅかえしができます』


『わかった・・・話を進めよう』


バカ者が・・・ジン様が大陸を支配したら約束などクソ食らえだ。

我の口車にのるとは、呆れるバカ者よ。


お前に丁寧語ていねいごを使ってるのも作戦だ。

我が我慢してるのもシェリー様の作戦を達成させるための一歩でしかない。


それにしても、こんな姑息こそくな作戦が成功するなんて思いもしなかった。

我は戦って勝つ事しか考えてなかった。

これなら魔族の数を減らすことなく、次の相手と話し合えるぞ。

次の相手は、数の論理で負けを認めるだろう。



『それでは、魔神の誓いの書にサインを・・・』


『それは御止めになった方がよろしいかと存じます』


『何をいまさら!我を怒らせる積もりか・・・』


『滅相も御座いません。ジン様は、異世界の人で御座います。魔神の誓いも役に立ちません。かえって反感を買う恐れが・・・』


『魔神の誓いも効かぬのか・・・それ程の御方か・・・』


ああ、ちょろいものだ。


『それでは、シルーミル様の所へ参りましょうか・・・』


『そうだな・・・我が説得すれば必ずこちら側につくだろう』


2人して突然に消えた。




-  -  -  -  -  -  -  -




キッチンで酢豚を作っていた。

最後の仕上げに片栗粉を水でといで入れようと・・・

あ!アカが急に抱きつく。


やっぱ、入れ過ぎたぞ。

もう、混ぜるしかない。ああ、やっぱり固まりだらけだ。


「アカのせいだぞ」


なんでとアカは、こっちを見てくる。

なんと可愛らしいしぐさだ。




『やっと来たわ』


シェリーの声に、なんだと思い見る。

黒いカラスがパタパタと飛んできた。


我が家の庭に着地して「カーーァ!」と鳴く。

まるで挨拶してるようだ。


きょろきょろと辺りを見て確認。

そして、ジャンプして縁側から家に入ってくる。


そんなカラスを・・・なぜか見続ける俺って変かな・・・


ヨチヨチと歩いてシェリーの前で深く御辞儀をする。


そんなカラスを見続けるシェリー。

シェリーのあるあるの行動だ。あれで会話してるらしい。



突然に『主殿が魔王になられました!』


「え!何を言っている・・・・・・」


『だからジャジーニ(1番目)をのぞいた貴族がこちら側につきました。そして4貴族に魔王にと推薦すいせんされて魔王になられたのです』


「なられたって・・・どう意味・・・」


『もう、しっかりしてください。魔王になったのです。魔族を従わせる魔王に・・・』


「嫌々、そんなバカな話があるか・・・」


色々聞いて分かった事は・・・

あのビキニ美少女は、たしかシャンリーガが魔族の領地へ行き。

あの手この手で味方にしたらしい。


もう、何を勝手なことを・・・



『ジャジーニへ攻め入るチャンスです』


嫌々、攻めないって・・・


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