第23話10億



古民家のリビングにぶちまけた10億円を・・・どうしよ。

なんだか床がミシミシと音がして慌てて収納。


スマホでの検索では・・・


1億円で10キロ

10億円なら100キロ


めちゃ重い。


なのでアカに床裏に潜らせるまえの押入れで練習だ。


「アカ、俺の血を収納してあの押入れにプーて吹きつけるんだ・・・分かった」


指先を切ってアカに垂らす。

ゴクゴクと飲んでるような・・・


「アカ、吹きだせ!均一に・・・」


お!やれば出来るじゃん。


「アカ、床下のこの音がする所に吹きつけるんだぞ」


うんうんと分かったようだ。

ビューと外へ出る。


俺は押入れの下をコンコンと叩き続ける。

お!急に音がしなくなった。


違う場所を叩く。

順調だぞ。すべてが音がしなくなる。


「アカ!戻って来い」


お!戻って来た。

床下に行ったから土まみれになってると思ったが綺麗なままのアカだ。


今度は、俺が押入れ全体を血でコーティングだ。

完成だぞ。


札束を1つ1つ取り出して、押入れに置いてゆく。

下の段に5億、上の段にも5億。


凄い眺めだ。

一気に金持ち気分だ。


銀行に預金なんか出来ない。

目立つからなーー。それにしてもタンス預金でなく押入れ預金なんて・・・

税務署に見つかったら大変なことになるだろう。


試しにスマホで調べる。

確定申告の手引き書によると、各種控除後の課税対象所得が10億円の場合。

所得税は4億5千万円弱。そんなに取られるのかよ。

これは見なかったことする。


ちなみに銀行に預けて金利は、1番高かったので0.1%が2年前。

それがダンジョン好景気で0.7%まで上昇・・・なので年700万円。

中々な暮らしが出来そうだが、すでに10億以上が銀行にあるから「うふふ」とみが・・・


え!そんな。

検索サイトでとんでもない情報が・・・あるぞ。

投資であれば年4%の運用は結構大変だが、1~2%の運用であればリスクを回避して達成することは容易って情報があった。

マジか・・・これが金が金を呼ぶって法則なのか・・・



そんな金をペシペシと叩くアカ。


『俺様に任せろ!』的な表現らしい・・・


まあ、これには訳があった。

俺のアイテムボックスに収納したまま地上へ出るとMPの消費が1時間に1を消費。

これって地上でもダンジョンの能力が使える能力のデメリットらしい。


ダンジョン内なら魔力を少ないが吸収。

それによってアイテムボックスの消費もチャラになってたらしい。


なので我が家に戻ったら全て吐き出す羽目に・・・

違う部屋の押入れには、魔石やスキルオーブがテンコ盛りだ。


それに対してアカは、MPの消費がない。

魔物だからと納得するしかない。




外でハイブラックがなぜか吠えてる。


「なにがあったハイブラック」


「ワン、ワン、ワーン」


俺に裏山に来いって・・・なんとなく分かるのも不思議だ。


アカも全ての『しもべ』も同行。

俺には分からない何かを感じたのか・・・


ちょうど裏山の傾斜にダンジョンの出入り口あった。

まぎれない微妙に空間が揺らいでいた。


なんで新たなダンジョンが出来たんだ。

『しもべ』の存在がダンジョンを誘発させたのかよ。


それか俺の存在かも・・・

3年目以降のダンジョン発見なんて初めてだ。

スマホで調べる・・・やっぱ3年前に現れたダンジョン以外で発見されてない。


例外は1件。

ダンジョン出現から半年に見つかった物もあるが、テナントの空家で管理者が見つけて大変なことになったらしい。


そこも人工の多い都市だった。



それなのに・・・こんな山にダンジョンってあり得ない現象だ。

俺にとって好都合だから通報なんかしない。

折角の隠れ家がばれる・・・



考えても仕方ない。


「入るか・・・アカは剣と盾を出してくれ」


新たに血を塗って強化する。



やっぱダンジョンだった。

お決まりのゴブリンが走って来た。


赤剣でぶった斬る。



5階の蜥蜴とかげ人間を赤剣で斬り捨てた。

なんの手応えない。え!ハルバートがドロップしてるぞ。

最速で討伐したボーナスみたいな感じかな・・・

ハルバートのドロップなんて聞いた事もない。たしか・・・5階攻略に1年も掛かったハズだ。


ハルバートを持って振り回す。なんか振った感じは良いぞ。

またも血を塗りたくった。

赤ハルバートの完成。


なんか力強さを感じる。


「なになに、あ!魔法陣か・・・わかったよ」




6階層・・・壮大な大地に草原が風になびいていた。



俺だけの田や畑が・・・手に入った。

古民家の畑もわずかな土地だ。だからまだ手をつけてない。


「なになに、遊んでいきたいって・・・気がすんだら戻るんだぞ。俺は地上に戻るから・・・」


ハイブラックは駆け出した。

きっとオーク狩りをするのだろう。


「じゃーー地上に帰ろう。種やトラクターを買う必要ができたからな」




中古の4tトラックを買った。

いつまでも店先で収納してたらばれる恐れがあるからだ。




店先には色々あった。

中古もあれば最新もあった。


「魔石トラクターをお求めですか、こちらが最新の魔石トラクターです。スマホで座標位置を登録するだけで勝手に自動運転します。ダンジョンでも使用可能な性能です・・・いかがですか」


俺のスマホも探索者用にグレードアップ。

ダンジョン内の地図作成や位置情報も表示できる万能型。

最新の進歩には驚くよ。だから迷わない。


「買った」


15.251.500円を現金で支払った。

4tトラックに積んでもらって出発だ。





草原で位置情報を登録してスタートボタンを押した。

魔石トラクターが勝手に動き出す。


そんな魔石トラクターの前にアカが飛びだす。

ピタッと止まる魔石トラクター。


「アカ!邪魔するなー」


もう珍しいからって好き勝手に・・・


向こうではオークキングとオーク2号がくわを持って畑仕事をしている。

田や畑で働いたり守ったりする『しもべ』として選んだ。


オークキングの馬力は半端ない。

今も牛が耕す唐犂からすきを引張って耕している。

ダダダダと凄い勢いだ。


耕した畑をオーク2号が鍬でウネを作る。

そのウネにジャガイモの種芋を俺が均等に植えてゆく。

種芋の間に肥料を入れているのが赤スケルトン。

なんやかんやで終了だ。


あれ!芽が出てきたぞ。

早過ぎだよ。


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