第36話ポーションの効果



山裏ダンジョンの6階層。


「さあ!やるぞ!薬草畑を育ててポーションを作るぞ!」


アカもプニュッと伸びて応援だ。


「アカも頑張ってくれよ」


またも伸びてOKだった。



最初にやるのは、薬草畑専用のオーク狩りだ。


「ブヒー!ブヒー!」と逃げるオークを赤い血のついた針でブスッと刺す。


血魔法も熟練したので刺しただけでもステータスが見れる。


「ああ、ダメだ」


なん頭も狩って良さそうなオークをゲット。


そのオークの名は4号。力が強く動きの機敏な4号。

それに対して5号は、知能が半端ない。


「お前らは、薬草専門だから必死に働けよ」


「ブヒ、ブヒ」


4号は、邪魔な石を引っこ抜く。


「その石は、こっちだ」


「ブヒ、ブヒ、ブー」


頭に良い5号は、俺から座標位置を聞いて魔石トラクターを操作。

トラクターは「ガガガガガ」と大地を耕す。


そんなこんなで広大な土地が出来上がった。


最初は、育つかな~と思った。


「グングン育てよ!」と願いながら種をまく。


種をまいた次の日には、芽がポン、ポン、ポン、ポンと出てた。

可愛らしい芽が・・・あっちもこっちも出てる。


そして花が咲き開いた薬草が種になるまで待つ。

できた種は袋一杯だ。


そして種を又もまいた。



あああ、薬草畑の光景は圧巻だった。

広大な土地を薬草が埋め尽くしている。



「こっちの薬草、収穫したほうが良さそうだぞ・・・」


「ブヒブヒーー」


わかりましたと収穫かごへ・・・


「これでポーションが大量に作れそうだな・・・」


下にいるアカは、『そうだそうだ』と言ってるような・・・

そして出来たてのポーションが一杯の木箱をポンッと出す。


「もう出来たのか・・・」


俺は出来たてのポーションを手で取って眺める。

キラキラと赤い液が光ってた。


「中々な品質だ」


1本の相場1000万だが・・・これも政府のテコ入れで低い価格に押さえ込んだものだ。

本当なら、もっと高く売れるのに・・・

買値から30%も上乗せしてるらしい。だから1300万。

更に消費税が加算して1300万+130万=1430万円・・・もう、政府とギルドはウハウハだよ。


ポーションは事故で下半身麻痺になっても治るなら誰もが欲しい。

交通事故って無くならないから・・・困ったもんだよ。

それに癌の特効薬としても使われるポーション。


治らなければ色々な意味で治療費や生活費が・・・

なら治った方が政府の出費も抑えられる。


保険会社も保険金の支払いより1430万を選ぶのは当たり前だ。

そんな記事を読んだ。




スマホでポーションの注文数を確認。

まだ50本足らないのか・・・「アカ、後50本だ」


プニュ、プニュとOKサイン。

文句を言わないアカには、申し訳ない。




それにしても不思議だ。

『ユニコーン』の高木唱にポーションの大量販売を持ちかけたら呆気なく承諾。

え!って聞き返したよ。


政府が深く係わっている案件だから断るかなって思ってた。


「政府には、こっちから手を回すから大丈夫よ」


そんな風に言われた。

なんか賄賂わいろで政府関係者を騙まし込んだかも・・・

深く考えるのはよそう。




我が家に戻って、何気にテレビを見た。

レッドがテレビを見てたから・・・


「大変な情報は入ってきました。『ユニコーン』が販売しているポーションが、5年前の事故で足を切断した女性の足を再生したと・・・そんな情報です」


「これは、今までない奇跡です。もしかして『ユニコーン』のポーションは、更に進化したポーションに間違いありません」


「それは、医学大の教授の見解で良いのですか・・・」


「私自身も診察したので間違いありません」


え!そんなバカな。

深層心理で欠損がないと認識した人の再生ってあり得ないルールだったのに、マジか・・・

あ!違いがあるならアカが作った事実だけだよ。


もしかしたら、アカは・・・



あ!スナホが鳴り出した。


『ユニコーン』からの注文だ。

え!そんな数を・・・いくらなんでも1万本ってあり得ない。


しかし、徹夜すればなんとか・・・



テレビでは、再生前の切断された足が・・・生生しい写真がアップ。

その写真の隣に再生された足の動画が映し出される。

傷跡も残ってない綺麗な足が動いてた。


あ!ベッドから立上がるシーンだ。

家族で抱き合ってる。感動の場面だ。


「みなさん、感動の映像です。私も・・・なけ・・・ま・・・」


「私も分かりますよ。泣いてもいいです」


レッドは、畳をペシペシと叩いて喜んでいる。

今後、どうなってしまうのだろう。


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