第55話ドラゴンの森Ⅱ



日が暮れかかってから穴でも掘って固めて寝れる洞窟でも作る積もりだった。

なのに思わない出来事で予定が狂った。

急に周りが暗い夜になるなんて知らなかったよ。


これなら前もって言ってよ。


『主殿、心配無用です。メター、モード5を発動よ』


「シェリー、何を言ってるんだ」


メターがバラバラになってグルグルと回りだす。

そしてカチッン、カチッン、ガシャンと合体。


『簡単で頑丈なハウスです』


赤い正方形の建物が一瞬で出来ていた。

防犯を意識してなのか窓やドアがない。

どうやって入るんだよ。設計ミスか・・・


シェリーが近づくと勝手に入口が開いた。

え!切れ目なんか、なかったのに・・・


『主殿、入りますよ』


呆気にとられながら入る。

ハウスの中も赤なんだ。


『メター、空気を読んで明かりをつけなさい』


あ!急に明るくなってる。

赤だった部屋が薄いピンクに・・・

俺が持ってる魔石電灯で照らしてる部分が赤のままだ。


『主殿、魔石電灯を消してください』


「ああ、すまん・・・」


魔石電灯を消すと同時に、赤が薄いピンクに変わったぞ。

シェリーにしか分からない仕組みらしい。


『アカさん、晩御飯にしましょう』


ガランとした部屋の中央から四角がせり出してきた。

え!これがテーブル・・・


アカも空気を読んだようにテーブルの上に、あったか料理を出す。

カレーのドクドクの匂いが・・・


「今日は、カレーか・・・」


カレーが入った鍋と炊飯器や皿が揃っていた。


胡坐あぐらをかいて座った前に、シェリーがカレーライスをそっと置いた。

あ!アカのカレーライスもあったよ。



「おいおい」


アカはカレーライスを取って一気食いだぞ。

どうしてそんな風に食うかな・・・


俺は、食べる分だけ混ぜてすくって食べる。

ああ、ゴールデ〇カレーの味だ。


「おいおい、またお代わりか・・・」


今度は、俺を真似てスプーンを使って食べてる。

アカは、魔石か魔物しか食べなかったからなーー。

心境の変化ってやつだな。


「味はどうなんだ」


なでなでしてやると『おいしいよ』

おいしいのか・・・そりゃー良かった。



シェリーの方を見るとイチゴにトマトなど食べていた。

そうなんだエルフは菜食主義なんだ。


カレーライスなんか見向きもしない。


「シェリー、これって肉抜きのカレーだよ。なんで食べないの・・・」


『それには、牛肉、鶏肉、豚肉の成分が含まれてます。主殿には分かりませんか・・・わたしには臭います』


「アカ!ルーを出してくれ」


受取った箱の裏には、原材料名に牛脂豚脂混合油脂や牛肉、鶏肉、豚肉がシッカリと明記。

知らなかったよ。


ちなみに俺の嫌いな物は海老だ。

しかし、海老のせんべいなら食べれる。

そして、カッ〇ヌードルの乾燥した海老は取って食べる。




ああ、もう寝るか・・・


『主殿は、あっちの部屋です。わたしは、こっちの部屋で寝ますから・・・アカさん、布団セットをお願いします』


またまたドア2つが開いたぞ。

アカは、2つの布団セットをだす。


シェリーは、布団で抱えてペッドメイキングをしている。

俺の部屋も終わったようで、俺に向かって『クリーン』と唱えだす。


俺の服や体がキタキラ光って汚れが消えてゆくのが分かる。

体中に爽快感そうかいかんが広がるからだ。

シェリーの生活魔法らしい。


めちゃ便利だ。


『先に休ませてもらいます』と言って部屋に・・・


「ああ、お休み・・・」


俺も入ると布団が綺麗にペッドメイキングされてたよ。

なんだかてれるな・・・


「明かりを消して」と言うとパッと消えた。


「つけて・・・」


ちょっと遅れてついた。


アイテムボックスから着替えを出して着替える。

布団に入ってしばらく考える。

疲れていたのだろう・・・知らない間に寝てた。





スマホが鳴ったので起きて「ドアを開け」でドアが開いた。


そして外に出てみる。


「なんだこりゃーー」


外には、見た事もない魔物の死骸が幾つも転がってたよ。


頭が2つの巨人もいた。

大きな角を突き出した大猪も・・・

なんだ!この魔物の顔は!!。

急に気分が悪くなって、そいつの顔にゲロッたよ。

目を見開いた瞬間に、またも目が合った。


今度は、駆け出して見えない所で嗚咽おえつ

ちょっとしか出ないが気分は非情に悪い。

なんてみにくい顔だ。


『メターの自己防衛システムが発動したようです』


いつの間にシェリーがすらっと説明をしてきたよ。


ああ、夜行性の魔物も居てもおかしくない。


これなら素材が取れそうだ。

錬金術の本を取り出して魔物にかざす。


お!ページがめくれて素材の名が光る。

翻訳本とてらし素材部分を切り取る。


2つ頭の巨人は、あそこの『いちもつ』だ。

赤刀で斬る。


なんて大きさだ。


「アカ、収納を頼む」


なんのためらいもなく収納。



醜い顔の奴はパスだ。


この魔物は耳らしい。

こっちは、爪だ。それも紫に染まった1本の爪が素材らしい。

マナが溜まった貴重な素材と書いてある。


それが絶大の効力を発揮するらしいから、慎重にも慎重にぎ取る。

ああ、赤刀では無理だ。

大きなナイフに持ち替えて慎重に切り取った。


思わず「取ったぞ!!」と叫ぶ。



『主殿、なにをやってるのですか・・・』


「え!今までの見てなかった」


『布団の回収を忘れてたので、回収して回収してきました。アカさん、布団をお願いします』


パッと布団が消えてた。


「え!置いたままだとダメなの・・・」


『メターには、収納能力がないので、合体解除に布団が引っかかる可能性もあるので・・・』


メターハウスにも色々な制約があるんだ。



『それでなにを・・・』


「錬金術用の素材の剥ぎ取りをしてるけど・・・」


『おかしいですね・・・アカさんに頼めば簡単に収納してくれますよ』


俺は、アカをガバッと捕まえて「どういう意味だ」


『命令されなかったので、なにか問題でも・・・』


「そこじゃーーないって、剥ぎ取りで苦労してるのに手伝いましょうかと言わなきゃ・・・」


『ごめんです』




それ以降・・・剥ぎ取り作業が進んで怖いほどだ。


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