第33話旅4日目



今日で4日目だ。


「え!ここがリトナス国!」


風に揺れる麦の穂が波のようにサササッと波打つ。


「そうだよ・・・田園が広がっていて裕福な土地と温厚で優しい人族だね」


あ!農作業をする人を見つけた。髪の色が緑だ。

日本にも緑に染めた人がいるが・・・珍しい。


そんな緑頭の人は、楽しそうに笑ってるぞ。


そんな人たちが俺らに気付き手を振ってきた。

なんでっと思いながら、ちょっと恥ずかしいが手を振りかえす。


なんかホッコリした気分だ・・・そんな雰囲気をぶち壊したのは、赤スケルトン。

俺と同じように身を乗り出して手を振った。


赤いスケルトンにビックリした人々が慌てて逃げ出す。

中には転げる人まででたよ。


「何を見てるんだよ・・・」と口に出てしまう。


ああ、しょんぼりした赤スケルトンは体育座りでいじける。

そんな赤スケルトンにアカが近づき『どうした』っとなぐさめていた。


なごやかな荷馬車の旅が台無しだ。



それでも俺は田園を眺め続ける。

3時間以上も走り続けているのに田園が途切れることもない。

それ程に広大な田園だった。


「神さん、もうすぐリトナスの城壁が見える頃ですよ」



お!本当だ。

万里の長城より巨大な城壁だ。


「あれは、昔の我らに対しての城壁で、難攻不落と言い伝えが・・・親父からも聞かされたな~親父も親父から聞いたって・・・」


だんだんと近づくと高さ15メートル・・・それも垂直にそびえてるぞ。


「昔は堀もあったそうです」


この高さに堀もあったのか・・・それだけ獣人の身体能力が高かったのだろう。


そんな門に近づく・・・「あれ!門番は・・・」


「もう戦ってないので城壁の上に見張りがいるだけですよ」


言われて見て見張りに気付く。

城壁の上には、堅固なトーチカのようなものが建ってた。

その窓から人が動くのが見える。


魔物が来ないか見てるのだろう。


そんな開かれた大きな門を通る・・・一気に騒音が響く。


20メートルの道幅にずらりと店舗が、それも全て石造りで石と石のすき間もない積み上げだった。

あれなら雨漏りもないのか・・・


「凄いなーー全てが石造りだ!」


「あんがい簡単に造ったようですよ・・・土魔法で」


え!それなら俺も造れるのか・・・



「甘い甘いマンゴーだよ」


赤いマンゴーでなく紫マンゴーが売ってた。

そして甘い香りがただよう。



「買った!買った!お客さん、買いっぷりがいいね。末は社長か、大臣になることうけあうよ!」


なんとバナナの叩き売りだ。

しかも赤いバナナが・・・やっぱ異世界だ。



そんな道を右折して10分後に白い建物が・・・

その門を潜って列に並びだす。


どうやら荷馬車の集団が列をなして混雑ぶりは半端ない。


それでも1時間で俺らの番だ。


え!鏡のようなゲートが・・・

なんのためらいなくゲートに入る。

俺らが乗る荷馬車もつづいて入る。




え!・・・まったく違う景色が広がってた。

後ろを振返ると鏡のケートが・・・



「ここが猫族の国ミーニャです」


え!これって瞬間移動!。


「あれってなに!」と言いながらゲートを指差す。


「驚いた!錬金術師が造った『どこでも行くよ』だよ」


なんだよ、そのネーミングは・・・


そして甲高い声が・・・

人の姿はまったく見ないのに猫族が、あっちにもこっちにも・・・


「ニャーニャー」と聞こえそうだ。


あれは熊か・・・服を着た熊が歩いていた。


え!あれって虎だ・・・

あの猿は猫に対して商売をしてるぞ。



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