第11話魔法



今日は落札最終日、きっと地上は盛り上がっているだろなーー。

昨日の段階だと最高額5億5020万円だったから6億は超えてるだろう。

なんか楽しくてしかたない。


1つは日本政府に8番目の落札金額の同額で売ることが決まってる。

日本政府に忖度そんたくした結果らしい。

幸子らしい考えだ。


トータル平均1つを6億円×9=54億円

54億-32億4000万(税金20%、石田幸子40%)=21億6000万円


勝手に計算して微笑む。

しかし、幸子の40%は痛い。

仕方ない身ばれすれば俺が危ない立場に、それだけは避けたい。



お!ハイブラックがドロップ品を右前足で抱えながらやって来たぞ。

ヒョコン、ヒョコンって器用に・・・なんだか、けな気で可愛いぞ。


オイオイ持って来たのはオークの肉か、やっぱオークが嫌いなんだ・・・そろそろ6階層でなく7階へ行くか・・・

もう肉は32もあるぞ。牙にいたっては100本を越えてる。

もう狩り尽くしたかも。


それにオークとブラックウルフ、どちらもスキルオーブのドロップが無い。

キングオークならあったかも・・・しかし中々復活もしないだろう。




ハイブラックの案内で7階層の階段らしいものが・・・

小さな神殿が建てられてた。


え!勝手に扉が開いたぞ。高さ6メートル横幅4メートルが左右に開いた。

出る時も勝手に開いてくれるらしい。



これが攻略組を断念させる7階層なのか・・・


「引き締めて行くぞ!」


アカがコックリとうなずいたような。

レッド、赤スケルトン、ハイブラックを見て、皆で階段を下りる。


情報と同じで森だ。そして木漏こもれ日が風に揺れる神秘な森だ。


「気をつけろよ!魔法をつかうリッチがいるらしぞ」


そんな森にカサカサッと音が走る。


飛び出したのはネズミだ。

赤刀で斬って捨てた。なんて大きさだ・・・大型犬と同じ大きさだ。

知っていてもビックリだ。


噛まれると病気を発症。黒い斑点が現れて全身が黒くなれば死が待ってる。

たちの悪い事に、その病気を治す丸薬をドロップするのはコイツだけ。


え!アカは、平気でネズミを喰らってるぞ。

あの映画の影響なのか、レッドも同じように溶かす。

なん匹喰らったのか分からない。

それでも丸薬2つをゲット。


ハイブラックが吠える。

なんと魔法使いのローブ姿のリッチが現れた。

空中を浮かんでゆらゆら揺れながら接近しやがった。


え!エクスプロー爆発ジョンでアカが吹っ飛ぶ。


なんだよ・・・最初からテンションが高いリッチだ。今度はレッドがエクスプロージョンで吹っ飛ぶ。

ダメージがほとんど無いから心配してない。


俺も盾で防ぎながら吹っ飛ぶ。

そんな俺をアカがキャッチ「助かったぞ、アカ」


なんて威力だ。盾がなかったら危なかったぞ。


赤スケルトンの矢をかわすリッチ。


しかし、ハイブラックが背後から襲って振り回す。

これでもかと振り回しバキッと音がして頭が転げ落ちる。


やっと消えるリッチ。


なんと火魔法中級のスキルオーブをドロップ。

そのスキルオーブを俺は掴む。


一気に魔法の知識が入ってきた。

ファイア・ボール、ファイア・ランス、エクスプロージョン、インフェルノが使えるぞ。

インフェルノは地獄の業火ごうかで苦しんで死ぬまで燃やし続けるらしい。


普通の火魔法は、ファイア・ボールとファイア・ランスの2つなのに・・・これは大発見だ。


リッチのエクスプロージョンが厄介すぎて7階の攻略が進んでないのが納得だ。

このエクスプロージョンの威力は凄過ぎだよ。

盾も血のコーティングが無ければ破壊されて、やばかった。


血のコーティングの上に貼り付けたチタン合金が消し飛んでる。

ここのダンジョンで目立つ赤は禁物。どこで誰が見てる分からないからだ。

なんでも魔物の調査用に超小柄カメラが仕掛けられている。

1つをハイブラックが見つけたから・・・迂回してこっちに来た。


それなのに・・・



もう何度目だ。

リッチの奴、俺の血球をさけやがる。

『しもべ』には、手をだすなっと言っている。

それなのに逃げやがった。

周りの『しもべ』が逃走を邪魔して逃げ出せないように・・・


俺の血魔法を知ってるようで、そんなに『しもべ』になるのが嫌か。

今度は、死角から血球で仕掛ける。

なんと自分自身にエクスプロージョンを仕掛けて爆風で死亡。

骨の欠片もない。自決を選ぶなんて、それでも魔物かバカ野郎がーー。


それに自決だからかドロップなし。なんて奴だ。



「なんだ地震か!」


この規則正しい振動ってバキバキッと木が倒される音が響きだす。

なんとでかい足が・・・見上げると一つ目の巨人のサイクロプスが睨んでいた。

あ!でかい棍棒を振る上げる。あんなのに当たれば終わりだぞ。


もう破れかぶれだ血球を高速で放つ。棍棒が振り下ろされたタイミングで口の中に命中。


【サイクロプスを『しもべ』としますか yes : no 】


どうする・・・この魔物もレアな魔物で探索者が嫌がる奴だ。

えい!『しもべ』してやる。


サイクロプスLv15


HP1100/1100

MP500/500


自己回復



-  -  -  -


ドロップ


魔石

自己回復スキルオーブ



自己回復のスキルオーブだ。

探索者が欲しがるスキルオーブに間違いない。


ああ、やっぱ悩む。しかし、地上には出せないし1階~5階は無理過ぎる。


赤刀を持ってジャンプしてサイクロプスの膝を蹴って、腕に飛び乗る。

そしてタタタタッと駆け上がって肩で赤刀を振り斬る。

手応え無く頭がずり落ちる。


倒れる前に飛び降りる。


後ろでは、倒れたサイクロプスが凄い音と地面がドンと揺れたぞ。

そして薄っすらと消えていくサイクロプス。


マジに自己回復スキルオーブがドロップ。

急いで駆け寄って血のコーティングだ。


どれだけの値段になるのか・・・にやけながらアイテムボックスの中に収納。



ひらけた空を見上げる。なんて綺麗な青空なんだ。

あの黒いのは、鳥か・・・なんとハーピーだ。


顔と体は人間で手はなく翼が生えている。

足も鳥の足で鋭い鉤爪かぎづめでつかまったら痛そうだ。

そんなハーピーの集団が急降下。


赤スケルトンは、矢を射って次々に射抜く。

レッドも火球を放った。


あ!俺も火魔法があったの思いだす。


ちょっと中二病で恥ずかしいが「ファイア・ボール」と唱える。

本当に火の球が出現して飛んで行ったよ。


中級魔法らしい性能なのか逃げるハーピーを追い駆けて命中。


「ファイア・ボール! ファイア・ボール!」と連呼。



そして戦いは終わった。

地面には大量の魔石と羽と風魔法スキルオーブが3つもあった。

おかしいと思っていた。あの体重の重さで、あの細い翼で飛べるとは思えなかったからだ。


風魔法で飛んでいたなら納得だ。

それにしてもハーピーが出るとは・・・


嫌々、スキルオーブ習得が先だ。

1つを血でコーティングして収納。


「ハイブラック、これを取得するか・・・」


首を振って嫌がった。


「アカは・・・」


いやいやって・・・レッドも赤スケルトンも知らん顔だよ。


仕方ない。もう1つもコーティングして残ったのを習得。

なんとウィンド・カッター、ウィンドキルを使えるようになった。

ウィンドキルは空気を吸取って窒息死させる魔法だ。

それだけでない。


風魔法+火魔法でファイアストームができるようになった。

火炎柱がグルグルと回って広範囲な魔法攻撃をするらしい。

複数の魔法を合わせる複合魔法といってよいのか・・・知らんけど。

 

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