第5話宝箱の中身は………
セシリアは乙女ゲームで覚えている知識を元に、隠し通路なども着実に見付けて行く。
うぅ~ん……あの乙女ゲームには無かったと思うんだけどぉ………
そう言えば、妹が後から色々と追加されたりするコトって、普通に有るって………
なんて言うんでしたっけ?バージョンアップ?でしたっけ?
追加ディスク?ファンディスク?そういうモノもあった………かしら?
私の知っている知識よりも、色々と増えている気がするんですけど………
もらえるモノが増えたのは嬉しいけど………
でも、正規ルートだから、魔物と魔獣も居なくてラッキーですわね
これが非正規ルートで、別の古代遺跡からの魔法陣で転移だったら…………
ゾッとしますわねぇ………ひしめく魔物達の群れなんて………
それも、ここに来る為に使用した古代遺跡の転移魔法陣によっては………
そう、待ち受ける魔物達の種類やレベルがものすごぉ~く違うのよねぇ………
お陰で、何回も全滅して大変だったわねぇ………
女性が多いパーティーだと、ゴブリン系が多くて………
男性が多いパーティーだと、ラミアとかの魅了系持ちが多いし………
転移前のセーブして、装備を固めて、ポーションも持てるだけ持って………
そう言えば、切れた妹が結構課金してたわねぇ………
エリクサーも持てるギリギリまで所持させて………
それで、なんで私に古代遺跡攻略させるかなぁ……って思ったっけなぁ………
課金までして、準備したら自分でやれば良いのに…………って、そう言えば……
妹は臨機応変っていうの苦手だったっけ……名前も思い出せないのに………
ちょっとセンチメンタルになってるわねぇ………無音って結構キツイものねぇ
ちゃっちゃとお宝を回収して、人のいるところに行きたいわ
外に出たら、絶対に裏切らない護衛が欲しいわよねぇ………
思い出した前世の日本人としては、主義に反するんだけど………
ここは、安全を取って、奴隷買うしかないかしらねぇ………
何と言っても、命の安い世界なんだから、自衛しなきゃならないわ
そんなコトを考えながら、入った小部屋の中に鎮座している宝箱を見付けたセシリアは、先ほど見付けたピアス型の鑑定魔道具に魔力を流して確認する。
ふむふむ………罠は無いようね………なら開けても大丈夫よねぇ………
今のところ、罠は一回も当たってないのよねぇ……正規ルートの恩恵かしら?
セシリアは安全を確認し、カパッと宝箱を開ける。
「うわぁ~い…嬉しいぃぃぃぃ~…履物があったぁ~………」
ピアス型魔道具の鑑定を発動したままなので、靴の詳細が現れる。
ピロ~ンッ………ピッピッピッ………という軽い音の後に…………
女性専用の履物
精霊のブーツ
疲労回復(小)
攻撃系魔法全属性レジスト(中)
俊敏値上昇(中)
というモノが現れた。
思わず手に取り、ちょっと躊躇う。
今のこの身体の私の足で入るかしら………
自分の大根もかくやという足を見下ろして思い悩む。
が、絹の靴下だけで行動するには限界があるコトと、この世界が乙女ゲームに類似した異世界というコトで気を取り直す。
いやいや……この絹の靴下だけで動き回るのはキツイわ………
それに、この世界は剣と魔法に魔道具もあるファンタジーな世界なのよ
自動でサイズが変わる機能が備わっているはずよ………たぶん………
取り敢えず、履いてみれば良いのよ………試してみないとだわ
ダメだったら、アイテムボックスにしまっておけば良いわ
そして、痩せてから履けばいいのよ
魔道具によって、身体にかかっていたあらゆる負荷から解放されたんですもの
絶対に、痩せられるはずよ
セシリアは床に座り込み、絹の靴下に包まれた足を軽く手で払って、そっと右足から精霊のブーツに足先を入れる。
と、スルリッと音が聞こえそうなほど簡単に、精霊のブーツはセシリアの右足を包み込む。
うっそぉー………本当に、ツルッと入ったわ
流石、ファンタジー世界の装備ね
右の足が包まれる心地よさに、セシリアは左足の絹の靴下ごと左足を軽く払って精霊のブーツへと足先を入れる。
左足もちゃんと抵抗なく履けたセシリアは、スクッと立ち上がり、軽くトントンとかかとを鳴らす。
その瞬間、フワリッと温かいモノが両足に広がり、疲れで重くなった足が軽くなるのを感じた。
「うわぁー…本当に、疲労回復するんだぁ~………」
装飾品や武器ばかりだったから、本当に嬉しいわぁ~………
でも、こんな装備ってあったかしら?
記憶にない装備に、ちょっと考えるが、考えてもわからないので、直ぐに疑問はポイッとする。
取り敢えず、履物ゲットだわ………って、あら…まだ何か入っているわね
開けた宝箱の中に、モスグリーンに灰色を混ぜてくすませたような色合いの布の塊りが入っているコト気付く。
「何かしら?」
呟いたセシリアは、宝箱の中の布を手に取る。
あらあら…まあまあ…見た目に反して、手触りがとても良いわ
キュプラ?レーヨン?………厚地なのに、この手触り………
セシリアは、モスグリーンに灰色を混ぜてくすませたような色合いの布の塊りを宝箱から出して広げてみる。
それは、フード付きマントだった。
魔道具の鑑定は既に切れているので、何かが視界に出るコトは無かったが、そんなコトに気が回らない程セシリアは喜んだ。
ブーツに続いて、身体を隠せるモノを手に入れた喜びに、いそいそとセシリアは羽織る。
なんせ、それまでのセシリアは、断罪されたパーティー会場で身に付けていた、藤紫色のドレスを身に纏っているだけだったのだ。
それも、寸胴の樽のような身体に、ドレスを着る上で必要だからと、侍女の手によって、スカートが綺麗に広がるように、レースが幾重にも重ねられたパニエまで身に付けさせられていたのだ。
あらゆる穢れや澱みの器とされ、思うように身動き出来ない上に、魔道具によって幾重にも制御をされていたセシリアは、自分の意思や好みの衣装は纏ったコトが無かった。
「嬉しいわぁ~……マ〇コデラックスもかくやな姿で、コレはキツかったのよねぇ……」
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