第114話予想以上に古い施設と古代遺跡だったようです



 リアは自分の体重が減っているコトに喜び、にへらぁ~っとして思い付く。


 もしかして、攻撃魔法とかで魔力を消費しなくても、使えば体重って減るの?

 ここは物は試しで、この監視施設?らしい場所に魔力を使ってみましょう

 いいのよ、ちょっとずつでも減ってくれればね


 魔力枯渇までやると、ユナやルリにグレンも、心配するからやらないけどね

 それに、培養ポッドの中の変異型のエルフ? も育ててみたいしね

 逃げたいけど、ヒロイン枠に入っちゃっているなら、たぶん逃げられないし


 なら、その時が来たら対決できるぐらいの力を身に付けておかないとね

 そして、何よりも、そういう時に適用される不文律に乗っ取って磨かないとね

 そう、美しいは強いってアレよ


 筋肉は裏切らないと同等以上の、美しいうモノほど強いという不変の法則

 魔物や妖魔、悪魔とか、精霊王なんかも、美しいほどその存在が強いのよ

 それを考えると、確かにルリなんかは最強の一角よねぇ………


 いや、マジで妖艶系の美女だもん

 ユナにしたって、美幼女よ、間違いなく

 グレンはグレンで、人族の中ではかなり強いわよね、イッケメンだしイケボだもの


 その主人である私が、こんな姿はいただけないわ

 だから、私も私自身として、磨かないとね

 外見もそうだけど、魔法とかの力もね


 そんなコトを考えながら、リアはまず手じかにある培養ポッドに向かう。

 そんなリアに、三人は周囲を警戒しながらついて歩く。

 リアが、何やら考えて行動しているのを見て取り、黙ってその行動を見守っているのだ。

 なによりも、今の三人にとって、リアは絶対に失えない主となっていたので、常に警戒を解かないのだ。


 リアは培養ポッドの中に浮かぶ、まだ見た目が幼い翼持ちのエルフを見上げる。


 ふむ……この培養ポッドの液体は羊水のような役割をしているようね

 アニメやマンガなんかに描かれているモノと似たような構造なのかしらね

 取り敢えず、今、この培養ポッドに必要なモノは何かしら?


 そう思っても、第三の瞳は既に閉じているらしく、何もそういう意味では視えなかった。


 ああ…残念だわぁ~……もう閉じちゃっているのね……何も視えないなぁ

 第三の瞳を自分の意思で活用できるようになると便利なのに……はぁ~……

 となると、前世の小説やアニメやマンガの知識で行くしかないわね


 リアは培養ポッドの強化ガラスのようなモノに両手を付けて、少しだけ魔力を流してみる。


 これで、何か反応あるかしら?

 何が内容を表わすパネルのとか、この透明なガラス?に浮かんでくれればなぁ

 この培養ポッドに必要なモノとか判ればいいのに………


 そんなことを考えながら、リアは少しずつ中に浮かぶ翼を持つ幼い変異型エルフの様子を窺う。

 しばらくすると、リアの流す魔力に反応し、本当に培養液を包む円柱のガラス面に色々なモノが浮かぶ。


 え~と……はぁ~……ラノベあるあるは通用しないかぁ~………読めない(涙)

 この世界の文字…アゼリア王国や周辺国の文字は習ったから知っているけど

 残念ながら、知らない文字だわ………って、文字だよね、浮かび上がったコレ


 浮かび上がったモノは、リアの知る文字では無かったので、ガックリと肩を落とす。

 そう、そこに浮かび上がったモノは、ミミズがのたうったような、どこか見た目がかなり崩れたアラビア語のようなモノだったのだ。


 あっ……ルリって長く生きているっぽい言動していたから、もしかして読めるかな?


 それから、ハタッとそのコトに気付き、ルリを振り返る。


 「ルリ、コレって読める?」


 リアに聞かれて、周囲を警戒していたルリが振り返る。


 「うん? どれ………って……う~ん…かなりの古代語……いや神代語とか呼ばれる類いじゃないかねぇ……アタシでも…ようやっと、単語がいくつか判るくらいだよ」


 ルリの言葉に、グレンも興味を示して、リアが指さした部分を見る。


 「あぁ~……俺も読めない文字? 文字だよな……こんな古代語あるんだ……いや神代語ってこういうモンなのか……へぇ~……」


 そんな会話に、ルリが眉をひそめる。


 「たぶんだけど…ここの部分の単語が……世界樹の葉だと思う……こっちが、魔晶石かな? あくまでもたぶんだけどね……どうやら、材料が足りなくて時空停止が掛けられたみたいだね」


 う~…ん………そりゃ~…世界樹は枯れちゃったあげくに穢れているものねぇ

 その上で根っこ呪根(じゅこん)と化して、龍帝陛下を拘束封印していたし

 って、この施設って何時のモノなの? 古いだろうとは思ったけど……


 だいたい、私が龍帝陛下のことを知っているのは、前世の乙女ゲームのお陰だし

 もう、この世界ではその存在すら、どこにも残ってなさそうなのよねぇ

 ここもだけど、奥にある古代遺跡って、もしかして陽の妖精王が殺された頃のモノなのかしら?


 となると、俗に言う先史文明とか言う、忘れ去られた時代のモノだったりするの?

 それだと、ルリが読めないっていうのも判る気がするけど………

 あっ……いや、一応世界樹の葉……あるけどね


 ろくに読めない状態で、これに手を加えるのは不味いわよねぇ

 取り敢えず、魔力を流しても大丈夫か聞いてみようかな?

 それで現状を取り敢えず維持できたら良いなぁ……


 「ねぇルリ、魔力をもう少し流して置いたほうが良いかな?」


 リアの言葉に、ちょっと考えてからルリは答える。


 「成長はしないかもだけど、リアがこの培養ポッドの魔力を溜める部分に、めいっぱい注入するなら、現状維持で軽く十年くらいは持つよ」


 ルリの答えに、リアは小首を傾げて不思議そうに言う。


 「めいっぱい入れて十年くらい持つんだ………って、いままでどうしていたのかな?」


 リアの疑問に、ルリは肩を竦めて言う。


 「たぶんだけどね………この洞窟の奥の古代遺跡と同様、時空が封印されていたんじゃないかねぇ……それで、材料が足りなくなって、取りに出かけて、ここに帰って来れなかったってところじゃないかねぇ………」


 あくまでも推測だよと前置きして、ルリは言葉を続ける。


 「アタシでも読めない単語がいくつもあるけど、たぶん薬草だとか、今は忘れ果てられた、魔草(まそう)や神草(しんそう)とか言われるの植物の葉や種子だろう記述がここにズラッと書かれているからね」


 そのルリの言葉に、リアはちょっと考える。


 ちっちゃな精霊→精霊→妖精→色々な種族に分岐→そのひとつがハイエルフ族

 ラノベにそういうのあった気がするんだけど………もしかして、ソレなのかな?

 人為的に、ハイエルフのような種を作ろうとしたってコト?


 そう言えば、ちっちゃな精霊って、世界樹から生れた光りがだんだん成長して生れるって設定もあったような気が………

 浮遊する命の根源の光りが、だんだんと意思を得て妖精に形成されて行くんだっけ?

 もしかして、それをやろうとして、世界樹の葉が必要だったのかな?

 

 ここで第三の瞳が開いてくれたら、もっと詳しく視れたのかなぁ?

 まぁ視れないのはしょうがないね……取り敢えず、魔力をもう少し流してみよう

 それで現状維持が出来るなら、私の事情がちゃんと済んだらもう一回チャレンジしても良いしね


 リアは自分に頷いて、取り敢えず、まだかろうじて稼働しているらしい全ての培養ポッドに魔力をひたすらに流し続けた。


 リアのせっかく生命を形成しているのだから、出来る限りはしてあげたいという意思に、ルリとグレンは肩を竦める。


 ユナはというと、とにかく培養ポッドのガラス面に浮いた文字らしきモノを、ただひたすらに見つめ続けていたのは確かな事実だった。


 ちなみに、もしかして読める?と聞いたら、読めないと答えたユナだった。

 それでも、リアの役に立ちたいという思いから、必死で文字を読み取ろうとしているユナだった。







 

 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る