第149話アゼリア王国の未来の為に 流石に、飽きてきました



 リアは、ついつい前世の日本での生活を懐かしみつつ、理不尽だと思ったコトなどを思い出していた。


 一番の名作ならぬ迷惑作品と言ったら、アライグマを自然に帰す、アレよねぇ

 そのセイで、何を勘違いしたのか、前世の日本国内で飼育放棄個体のポイ捨てが横行したんだから

 本当に信じられないぐらい、その辺中へんじゅうで猛然と繁殖していたわねぇ


 お陰で、貴重な神社仏閣に棲み付いて、齧ったり引っ掻いたりしたあげくに、糞尿で汚すわ

 そのセイで、国宝級のモノが見る影もないって状態になったりしていたわねぇ

 そうそう……果実園や農園の被害なんかも、もの凄かったのよねぇ


 齧られて売り物にならないどころか、作った努力が全てパーになることがほとんどだったし

 なかには、貴重な在来固有種を食べちゃって、レッドリスト入りしている種も居たし

 あとは、乳牛の乳首を食い千切っちゃって、搾乳できずに泣く泣く処分したって話しもあったわね


 アライグマって三歳になると成体になって、野生に戻っちゃうのよねぇ

 そうすると、もの凄く狂暴化するのに、その辺に放すなんて信じられないわ

 一応、アニメは、本来の生息地へと戻すっていう主旨だったけどねぇ


 何をはき違えたのやら……アライグマを、勝手に日本の国土に放すなんて………

 天敵が一切居ないような場所に、危険動物を放すなんて、馬鹿のするコトよねぇ

 なのに、規制とかちゃんとしておかないから、後々でもの凄い迷惑と被害を被るのよ


 ほんとぉ~に…外来種って、迷惑極まりないわよねぇ~………

 それこそ、昆虫から人族まで………ほんとぉ~に、迷惑千万よ

 私が覚えている前世の日本じゃ、そりゃ~もう…手に負えないような犯罪が増えていたものねぇ


 たぶん不法外人だと思うけど、大事に育てた家畜や果物や野菜などを盗んで、勝手に売り捌いて儲けて居たりしたしね……アライグマも真っ青よ

 高級車なんかも全国あちこちで、盗んで売りさばいていたし


 太陽光発電システム用のケーブから、果てには、マンホールや側溝のフタまで………

 工事現場からは、どうやって運ぶのあの鉄板というモノまで……

 そう言えば、トラクターから大型トラックやショベルカーなんかも盗まれていたわね


 ああ…それでも、そんな治安が不穏な世界になっても、前世の日本が懐かしいわぁ~

 世界を考えたら、それでも日本の治安は高水準だったもの

 女子供が夜間のコンビニに買い物に行っても、大概は危険ないしねぇ


 お巡りさんが見回りしているから、酔っ払いに絡まれるコトもほとんどないしね

 お金さえ有れば、大概のモノはわりと簡単に手に入ったしねぇ……

 私のパソコンやスマホや貯金、その他モロモロはどうなったかしらねぇ~…はぁ~…


 リアが思考を飛ばしている間も、大神官長と神官達によって、次々と浄化をす儀式を流れ作業のように執り行っていた。

 勿論、ガウェイ王は、セシリアを攫って生贄とした現ハイドランジア女公爵とその夫と娘達及び親族の全てを捕らえて来るコトを命じていた。


 当然、公爵家の中でも一番力のあるハイドランジア公爵家なので、既に浄化の魔道具をした公爵や侯爵に、私兵を連れて行ってでも捕らえて来るコトを命じていた。

 勿論、捕らえて来れなければ、身に付ける浄化の魔道具が増えるという、脅しのオマケ付きで。

 そう、ハイドランジア一族が担う分を、連れて来れなかった者達にすと。


 そんな中、沈痛な面持ちの護衛騎士が講堂へと入って来る者が居た。

 講堂の中には、既に浄化の魔道具をせられ、浄化の為の詠唱がそこかしこで響いていたが、護衛騎士がガウェイ王と大神官長の前で跪き、報告の為の声を上げた瞬間に、ピタッと静かになっていた。


 そんなシーンとなった静寂が降り立ったなかで、ガウェイ王と大神官長に向かって、セシリア公爵令嬢が見付かるコトは無いだろうと言うコトと、そうなった経緯を告げる声が響いた。


 セシリアを助けに行かせたはずの護衛騎士達からの報告に、ガウェイ王と大神官長と神官達は、三国に戦争を何時吹っ掛けられてもおかしくない状況に、完全に陥った事実に呆然とするしかなかった。


 ああ…やっと、私が砂漠で囮にされたコトが報告されたのねぇ………

 これで、私を探すコトはしなくなるよねぇ…たぶん……探さないよね…

 ってか、探さなくて良いから


 それより、どうせなら、私の父親の国も口にして欲しかったなぁ

 ……じゃなくて、何時までコレを観てなきゃいけないんでしょうか? 時空神様?


 リアが、目の前のコトを観せている時空神様へと意識を向けた。

 その瞬間、フッとリアの意識が遠のいた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る