第10話何とか転移魔法陣を見付けないと
自分が立っている背後を確認すれば、うっすらとだが壁が見えた。
ようするに、あの道しるべの灯が消えた時に、足元に流した魔力によって、転移魔法陣を発動させて移動して来たコトをあらわしていた。
あははは………こういうのって、定番的に一方通行なんだよねぇ………
そうなると、必然的に帰る為の転移魔法陣を探さないといけないんだよね
取り敢えずは、ゲームでの定番と言うことで、立体魔法陣を触らないように、距離をとりながら、摺り足で後ろ側へと回る。
さぁーて……どこかに、何か怪しいモノは無いかしら?
灯かりもほとんど消えて来ちゃったから、さっさととんずらしないとね
前世で遊んでいた、RPGゲームとかだったらなぁ………
ボス部屋の後ろに、隠し通路と部屋があるんだけどなぁ………
其処に、宝箱とかあって、ラストトラップとかあったりするけど
外への転移魔法陣とかがあるはずなんだけどなぁ………はぁ~………
身体強化をかけて移動していても、無茶なコトをしたセシリアは疲労感を感じて、無意識の溜め息を吐きながら、ソッと移動する。
振動とかに反応するトラップとか有ったら不味いものねぇ………
ボスキャラを倒して、気が抜けたところにもう一度なんて御免よ
そぉ~っと移動しながら、セシリアは立体魔法陣が今だに輝いている台座をマジマジと観察する。
もう龍帝陛下は居ないのに、この立体魔法陣はまだ生きているのねぇ………
不思議だわぁ………まぁ…だから危険なんだけど………
台座に嵌め込まれた大きな魔石を見て、セシリアはソレが何かを知る。
うわぁぁ~……もしかして、龍帝陛下を拘束封印する為のコレって………
全部、魔物の魔石じゃなくて、精霊の靈石なのぉ……うそでしょぉぉ………
いったいどれだけの精霊達から、靈石を抉り取ったのよっ………
さすがに、使われている靈石は………精霊王のモノは無さそうだけど………
どう観ても…拘束封印に使われているの…上級精霊の靈石じゃないの………
だぁぁぁ………馬鹿なのっ……世界の調和を壊したいのっ……じゃない
こんなコトする元凶にかかわるなんて、ぜぇぇぇぇ~ったいに、御免よ
とにかく、脱出方法を見付けないと………冗談じゃないわ
セシリアは、その危険性を考えながら、ようやく立体魔法陣の真裏へとたどり着いた。
さて、あるとしたら、この辺りかしらねぇ?
壁に描かれている可能性もあるから、丹念にさがさないとねぇ………
とは言え、なんかイヤな予感がするのよねぇ………
周囲を見る為の『ライト』すらヤバそうなのよねぇ………
イヤな予感ほど当たるモノだもの…勘に従うが吉のはず………
でも、もし転移魔法陣を見付けたら、幾つか精霊の靈石を持って行きたいわ
あのままにして置いたら、また、誰かが犠牲になるかもしれないし
それに、勿体無いのよ……ああ、日本人の勿体無い精神が憎い………
双眸に身体強化を強くかけ、セシリアは内心の焦りをねじ伏せて、足元と壁を丹念に調べた。
はぁ~……無いわねぇ……ふぅ~…観て判らないなら、感触で探すしかないわねぇ
手の平には、感覚強化をかけてみれば良いのかしら?
感覚強化って、神経が剥き出しになったような痛み感じたりするのよねぇ………
とはいえ、グズグスしていられないし……選択しなんて無いんだから………
「感覚強化っ」
慣れていない強化魔法なので、セシリアは小さく呟くように言う。
呟きと同時に、壁を撫でていた手の平に感じる刺激が強烈になる。
………っ………うぅ~……なんか………やっぱりキツいわねぇ………
この違和感というか………強い刺激って苦手なのよねぇ………
内心でぼやきながら、セシリアは手の届く範囲の壁を改めてゆっくりと撫でる。
んぅ?………うん?……ここ…かしら……何かあるわ………
スベスベしているけど………これは何をしたら正解なのかしら?
1、単純に、押してみる?
2、このまま、5分くらい押し続ける?
3、魔力を流してみる?
4、やっぱり、5分ぐらい魔力を流し続ける?
考えられる方法って、このぐらいかしら?
取り敢えず、思い付いた順番にやってみますか………
どれもが、ダメだったら他のコトを考える………
ってことで、まずは押すからやってみますか?
セシリアは、壁の中にある何かの感触を頼りに順番にやってみた。
が、そうそう上手く行くはずもなく、何の変化も無かった。
あははは………やっぱり、そんな上手く行かないわよねぇ………
はぁ~…困ったわぁ………どうしたら良いかわからないわぁ………
妹に頼まれてやった乙女ゲームでは、こんな展開なかったはずだし………
だいいちに、龍帝陛下に出合うコトすら無かったんだから………
声を知っていたのは………スマホで………大型アップデート………
あぁ~……アップデートされているから……知らないコトが多いってコトかぁ………
取り敢えず、強く押しながら魔力を流すはやっていないから試そう………
コレでダメだったら、別のコトを考えるしかないわね………
違和感を感じたソコに魔力を流し込みながら、セシリアは改めて身体強化し、グイッと押し込むイメージで、違和感を覚えたソコを強く押した。
途端に、今度は、ズズッという音を微かにたてて、セシリアの両掌を当てた場所が沈み込んだ。
同時に壁に光りが放射状に走り、魔法陣が浮かび上がる。
「はぁ~……やった……たぶん、これで正解……っと……」
魔法陣が浮かび上がった後、そこにはぽっかりとした空間が口を開けていた。
そのままその空間に滑り込もうとして、セシリアはハッとし立ち止まり振り返る。
そうだ………精霊の靈石……出来れば持って行きたい………
それに、ひとつでも外せれば、拘束封印が使えないかも………
見返りの状態で、セシリアは龍帝を拘束封印していた、立体魔法陣を見詰めながら、腕輪型のアイテムボックスを掲げて言い放つ。
「………すべて収納っ………」
で、よかったんだっけ?
やってから、セシリアは脂汗をダラダラと流す。
うっそぉぉぉぉ~………ヤバいっヤバいっ……逃げなきゃ………
セシリアは、自分ができる最大の身体強化をかけ、脱兎のごとく走り出す。
脱出口となるかわからない空間に身を踊りこませ、ただひたすら走る。
セシリアが飛び込むと同時に、開けていた口は閉じられ、元のスベスベとした壁に戻っていた。
そして、セシリアが込めた魔力ゆえか?はたまた、長く拘束封印していた龍帝の身体が、アイテムボックスに入っているセイかはわからないが、そこに存在していた立体魔法陣は綺麗に消えていた。
そう、立体魔法陣に使われていた精霊の靈石は、セシリアが嵌める腕輪型のアイテムボックスにすべて収納されていたのだった。
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