第116話もしかして管理キー手に入れちゃった?
あははは………いや、そういうコトなのね
本当に、ナナってとんでもないモノを拾って来たわねぇ………
いや、野生だからこそ、世界の意思みたいなモノを受諾しているのかもしれないわね
ようするに、この腕輪は、この管理室らしき空間の管理キーみたいなモノなのね
でもって、私が登録されちゃったってコトなのね
嗚呼………もしかして、あちこちに私が魔力を流し入れたからかなぁ………
そうなると、いずれはヒロイン対決みたいなコトが待っているかも………
出来るなら、前世持ちの『私は愛されヒロインなの』だから何しても許される
みたいなモノとは、流石に争いたくないわねぇ………
言葉の通じない、自分基準の人とは、絶対に関わり合いになりたくないわ
それでも、この管理室や古代遺跡の権利? が、私に降って来たなら諦めるしかないのよねえ……はぁ~……
権利には、義務も責任も付随するモノだものねぇ……はぁ~…マジで…頭が痛いわ
ちょっと頭痛がするわというポーズを無意識にとってしまった後、リアは首を振る。
「大丈夫よ、ルリ、グレン……ちょっと、困ったコトにはなったけどね」
重い溜め息を吐いたリアに、ルリとグレンが心配そうな表情になる。
「困ったコトって何だい? もしかして、その腕輪に魔力でも吸われているのかい? 一応、そういうのは、視えないけど………」
勝手に嵌まった腕輪を確認するように視ながら言うルリの言葉に、肩を竦めてリアは答える。
「うん……別に魔力を吸われているとかは無いよ………って言うか、なんでか、私が、ここの管理人登録されちゃったみたいなの………それで、コレ(腕輪)がそのキーみたいなのよねぇ……どうも、あちこちに魔力を流し入れたコトで、私が管理室の監視モニターを管理する、管理人って勘違いでもされたのかなぁ?」
リアの言葉に、流石のルリやグレンも頭痛を覚えたらしく、二人ともにコメカミをクリクリする。
が、ユナはそういうことを気にした様子は無く、瞳をきらきらさせて興奮したように言う。
「すっごぉ~い…ここの奥の部屋とか洞窟奥の古代遺跡のマスターになったのぉ……それじゃぁ~…何時でも、ここに遊びに来れるんだぁ~………」
培養ポッドのガラス面に浮かんだ、たぶんに神代文字と思われるモノを必死に覚えようとしていたユナは、もの凄く嬉しそうにキャッキャッと喜ぶ。
リアはちょっと困ったような表情を浮かべつつも、楽しそうなユナの頭を撫でて頷く。
「そうね……せっかく、あそこまで創造されているモノ(変異型エルフ)達を完成させてあげたいものねぇ………たとえ、人の手で作られたモノだったとしても、命にかわりは無いのだから……せめて、生きる喜びを与えてあげたいわ」
そう、存在意義とかを…ね………生れて来た意味をあげたいわ
悪戯に作り出されたモノで消えて行くなんて、可哀想過ぎるもの
この考えが…他者からしたら、傲慢とも取られるコトかもしれないけどね
それに、この洞窟の奥に在る古代遺跡も、どうせならちゃんと調べてみたいもの
乙女ゲームに類似した世界かもしれないけど、せっかく転生したんだから
そして、やっと私としての自由を手に入れたんだもん、楽しまないとね
勿論、私としては、この世界に迷惑になるコトはするつもりはないけどね
ただ、私以外の前世の記憶持ちとかが居て、勘違いさんが居たらどうしようもないんだけどね
だって、ここはけして前世で遊んでいた乙女ゲームの世界ではないのだから
良く似た世界であって、乙女ゲームのように好き勝手が許される世界じゃないもの
ひとりひとりが、自分の意思を持って生きている世界なんだもん
ラノベや乙女ゲームの主人公のつもりになっている、勘違いさんに好きにされていい世界じゃないものね
そう『私は愛されキャラだから、なんでも思い通りになるのが当たり前』なんて思考を持つモノが居ないといいなぁ~……はぁ~……
いや、もう既に私という存在(前世の記憶持ち)が居るんだから…………
そんなモノは居ないって言えないのよねぇ……私って事例が存在するから
できれば、そういうモノ達とは、関わり合いになりたくないなぁ~………
いや、それがもう無理っぽいのは、理解(わか)っているけどね
だって、乙女ゲームでのイベントとかアイテム…存在していたし
もっとはっきり言っちゃえば、既に私はいくつか手に入れちゃっているしね
称号にも『ヒロイン枠に、大きく踏み入りし者』なんてモンが付いちゃっているしねぇ
嗚呼、もっとちゃんと前世の記憶があって、乙女ゲームの内容を覚えていたら良かったのに
そしたら、回避するコトだって可能性としてあったのよねぇ……はぁ~……
攻略対象やヒロインの顔とか経歴とか、やり込みした人みたいに覚えてたら良かったんだけどねぇ………
乙女ゲームを楽しんでいた会社の同僚や、妹みたいに、誰それが推しなのよぉ…
私に推しなんてキャラは居なかったから、ほとんど記憶に無いのよねぇ
戦闘とかイベントのいくつかを、妹の代わりに攻略しただけだもの
内容を知らないから、妹が見せてくれたモノの断片的な記憶だけだものね
嗚呼、頭が痛いと思いつつ、リアは自分の腕に勝手に嵌まった腕輪を見下ろして嘆息する。
この腕輪が、本当に管理キーみたいなモノだっていうなら、ココを封鎖したいわ
遺跡の中に在るだろう、転移魔法陣とかも全て稼働停止したい
取り敢えず、魔力が入らなくなるまで流し入れて、思考で命令してみましょうかね
リアは、大きく溜息をひとつ吐いた後に、手首に勝手に嵌まった腕輪へと、魔力と共に命令を込めてみる。
『……陣…ノ…稼働…停止命令…受諾シマシタ……コレヨリ…封鎖サレマス……』
というモノが脳裏に流れ、リアは自分で命令をしておきながら驚く。
嘘っ…マジ………本当に、転移魔法陣は稼働停止されたの?
そう思うリアの思考に答えるように、洞窟の奥の方から、ドシンッズシンッという連続音と共に、洞窟に大きな岩壁が出現していた。
ちょうどリア達が居る場所のほんの二メートルほど後ろにも、岩壁が出現し、通路となっていた洞窟を塞ぐ。
「あらあら……本当に、管理キーだったみたいねぇ………ここの封鎖を願いながら魔力を流し入れたら、洞窟が封鎖されたわ」
リアの言葉に、ルリは首を振る。
「これは、きっとリアの天運とかいうヤツかもねぇ……たまにそういうモノが現われるって聞いたコトあるよ………必ずしも、人族に現われるわけじゃないけど……時代の歯車を回すモノっていうのが存在するらしいからね」
ルリの言葉に、リアは、はぁ~っと大きく溜め息を吐いて肩を竦める。
「まぁ…そういう星の下に生れたっていうんならしょうがないかなぁ………これが必要なことだっていうんなら、なるようにしかならないだろうしね……取り敢えず、この洞窟を出ようか………ここを攻略するには、今の私達には無理だろうからね」
リアの言葉に、グレンも頷く。
「ああ、そうだな………俺達がリアの元に集まったのも意味があるかもしれない…な…というか、リアに買い取ってもらえてラッキーだったよ…本気でさ」
グレンの言葉に、ちょっと……いや、かなり、抵抗のあったリアはこころからホッとする。
「そう言ってもらえると嬉しいかな……こんな…デ…ゲフンゲフン……ぽっちゃりの私が主人だと、他国の都市とかに行ったら、絶対に馬鹿にされるだろうから、頑張って痩せる努力するからね……どうやら、魔法を使えば使っただけ痩せられるみたいだしね」
リアの言葉に、グレンが頷く。
「ああ、魔法は魔力の他に生命エネルギーというモノも同時に使用されるって、昔習ったコトがあるな……だから、どんなに魔力量が多くても、身体が弱い華奢な者では大規模な魔法は使えないって………実際、俺の遠縁に容姿端麗で血統も良いし魔力量も多い……けど、魔法が使えない病弱な者が居たぞ」
へぇ~…そういうモノなのねぇ………ラノベとかアニメには無かった設定よねぇ
いや、小説やアニメやゲームなんかは、所詮は空想で作られた世界だからかな?
実際には、そういう制約も存在するのねぇ………
「そうなんだぁ~……あとで、もっと色々と教えてね……私は、自由になるまで、ある意味で籠の鳥……だったから………」
いや、境遇を考えたら、畜舎の豚だったわねぇ………流石に、それは言えないけど
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