第125話取り敢えず、キンキンに冷えたエールです
大量のサンドウルフの襲撃の後は、何事もなく野営地に適した場所に到着したので、ただいま絶賛宴会中である。
リアは前世のラノベ知識から、生温いエールよりはキンキンに冷えたモノが美味しいらしいというコトで、しっかりと冷やしたモノを用意して出したのだ。
揚げたてのクシ刺しカラアゲを片手に、ルリがエールを幸せ感満載で飲み干す。
「ぷはぁ~……美味いねぇ~……キンキンに冷えたエールが、こんなに美味いとはねぇ~……そこに熱々のカラアゲ…最高だね」
その隣りでは、クシに刺したソーセージを片手に、やはりキンキンに冷えたエールを堪能するグレンが居る。
ちなみに、片手で食べやすいようにと、色々なモノをクシ刺しに出して用意したリアだった。
勿論、今日の襲撃を難なくすり抜けられたコトを感謝して、時空神様にもちゃんと捧げているリアである。
勿論、到着早々に馬車を中心とした、害あるモノを入れない防護結界を大きく広げて、強化したリアである。
魔法を使えば使うほど、余分な脂肪が減っている感がちゃんと有るので、ついつい張り切って使うリアである。
当然、姿見の中に避難させたユナを筆頭に、ナナと子供達も食べたいだけ食べれば良いと、色々なモノを用意されていた。
シャドウハウンド達も、ルリとグレンとリアの共同作業で、サンドウルフの牙(討伐証明)を取り、皮を剥いだモノを山盛りで出されていた。
齧られて悔しかったコトと、栄養を欲しているというコトで、味は二の次でたらふく食べたいシャドウハウンド達は、ただひたすら貪り喰らっていた。
何せ、全頭傷だらけになった後に、リアから治癒魔法を掛けられたコトで、もの凄く腹ペコだったのだ。
治癒魔法を受けると、身食いになるので、栄養の足りてなかったシャドウハウンド達には、かなりツライことだったのだ。
それでも、リアがタップリのご飯をくれるという言葉をくれたので、空きっ腹を抱えながら、ジッと姿見の中でおとなしくしていたシャドウハウンド達だった。
そして今、お約束のたっぷりが出されて、興奮しながらもただひたすらサンドウルフを咀嚼し、呑み込む作業に没頭していた。
シャドウハウンド達がサンドウルフを貪り喰らいだしたのを確認し、リアはナナを呼んでお乳搾りをしたのは、これまた言うまでもない。
ただ、ちょっとサボったので、ほぼ二回分を一度に出したナナだったりする。
やはりお乳が張ったまま動き回ったのは、ちょっとつらかったらしく、お乳搾りが終わった後、小躍りしていたナナだった。
そして、大量のお乳が手に入ったコトで、リアはジャンボモアの卵を使って、大量のプリンを作り上げて、腕輪型アイテムボックスに収納していたりする。
またその卵白と小麦粉を使って、ソーセージを包み込みアメリカンドック風なモノも作り上げていた。
ジャガジャガは、空中フライでトルネードポテトにして、こんがりと揚げてフランクフルト風にしたソーセージの隣りにそえて出していた。
勿論、マヨネーズもどきもちゃんと出していたコトは言うまでもない。
「うぅ~…ん……美味しいわぁ~…我ながら上手く出来たわ……このピザのチーズ…ナナのお乳で作ったんだけどどうかなぁ? 買ったチーズよりフレッシュだけど美味しいと思うんだけど…ン……」
モグモグごっきゅんしてからそう言えば、グレンも何時の間にかピザを片手にニコニコして頷く。
「ああ…このチーズ…美味しいな……そうか、ナナのお乳から作られたモンなのか……濃厚でトロッとして美味い」
そう言いながら、エールをご機嫌で煽る姿に、リアはクラクラする。
はぁ~…本当に、グレンってイッケメンよねぇ~……
その上で、とても優しいし仲間思いだし……
ワイルドにカッコイイかと思えば…可愛いところあるし
もう…手放せないわ……ヒロイン対決があったら受けて立つしかないわね
だって、もうグレンを手放すなんて出来ないもの……無理
認めたくないけど、こんな姿だっていうのに、身の程知らずにもグレンに恋してる
たぶん、これが恋……だと思うのよねぇ……
もしかしたら、所有欲とかかもしれないけれど…それでも、手放せない
実を言うと、恋愛感情ってよくわからないのよねぇ……
前世は、お気楽なおひとり様だったしねぇ~……
同僚がキャーキャー言ってた、何様俺様クライアントや本社の御曹司みてもねぇ
うん…ないわって、思ったのよねぇ~……騒ぐ理由がわからなかったのよねぇ
確かに容姿端麗で財力もありで……お買い得物件だったかもだけど
自分の時間を、他人に食いつぶされるのは仕事の時間だけでお腹いっぱいだったし
二次元のキャラにのめり込むのも、実はわからなかったのよねぇ
同僚や妹が『攻略キャラがぁ~………』って騒ぐのも、はいはいで聞き流してたし
なのに、グレンが『……あいつ等も、俺達の家族だろ……』なんて言われてドキっとしたし
とどめに『…リアの大事なモノは…俺も大事だからさ……』なんて言うんだもの
それも、背中向けても耳が赤くなっているからモロわかりで………
王太子妃候補で、愛情どころが情も持てないような相手と障害…もとい生涯…
あんなモノと連れ添って終わるんだなぁって言う無間地獄にいただけにねぇ
グレンの優しさにクラクラだわ…安いと言えばいえ…その言葉で即落ちよ
考えないようにしていたけど、私はグレンと一緒にずっといたい
みんなと家族としてずっと一緒に居る為なら、どんな労力も惜しくないわ
リアはこころの中で改めて決意を硬めつつ、新しいビザを出し、デザートも出し始める。
ちょっと前世を思い出してプリンアラモードなんかを作ったら、面白くなってしまい、有り物の材料で、色々なケーキもどきも数種類作ったリアである。
勿論、ちゃ~んと時空神様に捧げながら、今の平和で穏やかな生活が維持されるコトを祈る。
そして、ちょっと耳鳴りを感じたリアは、時空神様がキンキンに冷えたエールを欲しがっているコトを知覚する。
あらあら……時空神様もキンキンに冷えたエールは美味しいって思ってくれたのね
なら、カラアゲやソーセージも追加で送っておきましょう
あと新作のピザ(ナナのお乳のチーズたっぷり)も送っておきましょうね
そんなコトを考えつつ、ローストビーフもどきを口にポイッと放り込み、ほっこりしつつも腕輪型アイテムボックスに収納したサイコロステーキやハンバーグなども出すリアだった。
時空神様から『それも欲しい』という意思を感知し、リアは苦笑しつつもお皿に乗せ乗せして、捧げる。
グレンも全身をサンドウルフに齧られて、リアの治癒魔法で治っただけに、手が止まらないらしく、一生懸命に肉類を中心に食べている。
ルリはルリで、お腹の子供達が旺盛にエネルギーを欲しがるので、ひたすら食べていた。
そして、ユナはというと、デザートのプリンアラモードにご満悦で静かに食べていた。
ふさふさのキツネ尻尾がご機嫌で揺れているのを見て、リアはふっと思う。
嗚呼…ユーチ〇ーブで、あの方のお狐様見る予定で見はぐったなぁ~………
なんか…キツネうどんが食べたくなったわぁ~…おっきなお揚げが乗った、おうどん
ただ、ちょっと小麦粉に粘りが足りなかった気がするのよねぇ~……
この世界にビニール袋なんて無いから、簡単生うどんがつくれないわぁ
いや、空中で捏ねればイケるかしら?
そうなると、お蕎麦も欲しいわねぇ~…お蕎麦、あるかしら?
などと、思考が飛びまくりのリアだった。
それでも、安全強固な結界が張られているコトで、みんな安心して宴会を楽しむのだった。
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