第12話出た先はできたての『ダンジョン』らしい



 小部屋の扉を開けて、踏み出した先は、今まで居た小部屋よりもかなり大きな部屋だった。


 えぇーてぉ……小部屋の扉から出たら、また部屋なの?

 広さてきには、2倍より大きいけど3倍よりは小さいくらいかなぁ?


 さっきの小部屋が8畳よりやや大きいぐらいだったから………

 この部屋は、約20畳くらいかなぁ?………


 部屋の中を確認するように、ぐるっと見回す。


 あらあら………この部屋にも宝箱があるわ……それも、6つも………

 認識阻害とか隠蔽がかかった宝箱は、なさそうね………


 一応というコトで、耳飾り型の鑑定魔道具に魔力を通して確認する。


 宝箱1

 鍵有り

 財宝有り

 罠有り(毒弓矢)

 開錠方法

 宝箱の背後から両手で蓋の左右のへこみを押す

 同時に、魔力を流すと開錠される


 宝箱2 罠有り(睡眠ガス)

 鍵無し

 財宝有り

 

 宝箱3 罠有り(魔物の擬態)

 鍵無し

 財宝無し

 倒すと30%の確率で中級ポーションを落とす

 

 宝箱4 罠無し

 鍵有り

 財宝有り

 開錠方法

 正面中央の突起に魔力を流しながら全開する

 魔力を流すのを止めた瞬間に蓋が閉じる


 宝箱5 罠有り(魔物の擬態)

 鍵無し

 財宝無し

 倒すと20%の確率で中級ポーションを落とす


 宝箱6 罠有り(ファイアーボール)

 鍵有り

 財宝有り

 開錠方法

 宝箱の背後から両手で蓋の左右のへこみを押す

 同時に、魔力を流すと開錠される


 セシリアは、部屋の中にある宝箱の内容を確認し頷く。


 さて、ここで宝箱開けるのもねぇ………っと、そうだ………

 さっきみたいに、アイテムボックスに、宝箱を収納できないかな?


 ネット小説の物語りによっては、その場所から動かせないものあるみたいだけど………

 あっちでは、隠蔽されていた宝箱も、本体ごと収納できたのよねぇ………


 まぁ………ダメだったら、その時考えるってコトでやってみよう

 勿論、魔物が擬態したのは、生きているから入らないでしょうし………


 下手にかかわると、襲ってくる可能性があるからパスね………

 つーことで、宝箱3と宝箱5を抜いて、残りの宝箱は『収納』………


 セシリアは、安全を取って、ちゃんと財宝が入っている宝箱だけを、アイテムボックスに迷わず収納する。

 宝箱は何の抵抗もなく、今回もそのままアイテムボックスに吸い込まれた。


 宝箱を収納したセシリアは、改めて小部屋の中を見回す。


 ふ~ん………こっちは、壁画も無い、まんま削っただけの壁なのねぇ………

 って…今、この部屋に入って来た扉が消えているんですけどぉ………


 背後を振り返ったセシリアは、壁となっているコトに気付き嘆息する。


 ようするに、此処も一方通行なのねぇ………進むしかないってことね………

 となると、あっち側にある扉を開けるしかないってコトね………


 セシリアは、正面にある扉に向かって足を踏みだす。

 勿論、魔物が擬態した宝箱から出来るだけ距離を取ってである。


 距離にして約6メートルぐらいの距離を足早に歩き、セシリアはただひとつだけになった扉に手をかけて開く。

 と、ダダダダッという荒い駆け足の音と同時に、魔物の声らしい音が耳に入る。


 「ちょっとぉー………まじぃー……なんであんなにいるのよぉ~………」


 「知るかぁ~……バウが罠を踏んだからだろぉー………」


 「いっくらゴブリンっでも、あの数はないわっ………」


 「くそっ……って…扉付きの部屋がある……扉が開いたっ……警戒しろっ…」


 「ダメッ追い付かれるよぉぉー………」


 そんな声の中に、セシリアはひょっこりと部屋から出てしまった。

 セシリアが扉から出ると同時に、どうやら冒険者を追い駆けていたらしいゴブリンが急停止して、慌てて逃げて行く。


 まさに、ゴブリンに捕まる寸前だった女冒険者は、窮地を逃れたコトにホッとして崩れ落ちる。


 「カレン……大丈夫か?」


 抜き身の剣を持っている男の冒険者が慌てて、剣を鞘にしまい駆け寄る。


 「えーと……その…済みませんが、此処って何処なんでしょう?」


 目の前の冒険者パーティーらしい4人組に、セシリアは自分でもおまぬけだと思いつつも、声をかけた。


 セシリアの言葉に、ハッとして身構えてから、リーダーらしき男の冒険者が口を開く。


 「あぁ……ここは何処って……できたばかりの『ダンジョン』だろうがぁ………」


 その言葉に、セシリアは嘆息する。


 あははは………どっかのできたての『ダンジョン』に出たわけね………

 じゃなくって………外で…名乗る名前考えて無かったぁ………


 もう、このさいセシリアから一部をとって、リアって名前で良いかなぁ………

 嘘を交えて、それらしいコトを言って、現在地を知らないとねぇ……はぁ~……


 「そのぉ………なんか、変な転移魔法陣を踏んだらしくて………」


 心底困っていますというニュアンスを含ませながら、セシリアはサッと鑑定魔道具に魔力を流して確認する。


 デュバイン(20)

 剣士


 バウ(19)

 盾役


 カレン(20)

 魔法使い


 エルザ(19)

 盗賊


 ………????……えぇーとぉ……これだけぇ?

 宝箱は、鑑定したら詳細が出たのに………


 この人達は、名前と…たぶん、年齢て……ジョブ?だけ?

 う~ん………もしかして、鑑定をした回数によるとか………


 そう言えば、宝箱も最初の頃はろくな情報出なかったような気が………

 魔道具ってそういうモノなのかなぁ?………よくわからないわぁ………


 困っているとう雰囲気が滲みきっているセシリアに、4人は視線を交わしてから、剣を装備する男の冒険者が再び口を開く。

 


 




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る