第146話その頃のアゼリア王国 呪方陣というモノを初めて観ました
ガウェイ王の護衛騎士によって、大きく空間が開かれたソコに、浄化の巫女(生贄)の継承の為の呪方陣が描かれし魔獣皮紙が広げられる。
その魔獣皮紙は、つぎはぎなどないまっさらな一枚の大きな大きな皮紙だった。
それを見たセシリアは、自分を感知するモノが居ないコトを理解しているので、講堂の中央に広げられた魔獣皮紙に、生贄が座らされる前にと覗き込む。
そうよ、小さかったからあまり覚えていないけど、こういうのに座らせられて、大神官長様が、
もうほとんど覚えていないけど、かなり時間がかかっていた気がする
幸いかなぁ~…今、ここでコレを観るコトが出来ているのは
だって、この先いずれ、こういうモノを解除する必要がある時が来るかもしれないから、今、ここに私が居るんでしょうしね
魔法陣はよく見かけるけど、こういう呪方陣はなかなか観られるモノじゃないもの
当然、危険な呪方陣など、秘匿しておかなければならないモノなんだから………
こんなモノをここで見せて、衆人環視の中で生贄の儀式をするってコトは………
やっぱり、この場に居る全員……ううん…たぶん貴族…それも末端にいたるまで
代々の王と、浄化を強要された生贄からの恩恵を受けたモノ全てに、義務と責任を背負わせる覚悟をしたってコトよね
そうリアが思考し、その広げられた呪方陣を読み取って覚えた頃、やっとフローラを
フローラを抱きかかえるコトがイヤで、どうやら連帯責任だと言って、神官みんなでフローラの一部(ドレスなど)をつまんで運んで来たらしい。
勿論、貴重で替えの利かない魔獣皮紙を傷付けられないように、フローラは靴を脱がされて靴下にされていた。
その上で、全身が縛り上げられた。
縛られたフローラを、魔獣皮紙の呪方陣の中央に、神官達の手によって座らせられる。
ちなみに、フローラが縛られたのは、暴れたセイだったりする。
また、靴下なのは、直接の素足だと、汗や脂といった体液で魔獣皮紙を痛める可能性があるからだ。
この呪方陣を使う時は、専用の真新しい靴下に履きなおしてから、魔獣皮紙の上へと足を付ける決まりとなっていた。
「こんなの知らないっ…どうしてっ…私はエイダンに愛されてぇ…王妃になるはずなのにぃ~……なんでぇ? どうしてぇ? こんな展開なんて、ありえないでしょぉ~……助けてよエイダンさまぁ…ねぇ~……シモンズぅ~……ガブレぇ~……アスティ~……」
媚びを含んだ甘えた声で、堕とした男達の名前を呼んで、自分を助けてと訴えるフローラに、魅了された男達は動こうとするが、すかさず護衛騎士にガウェイ王の前で不敬だと殴り倒されていた。
ソレを眺めながら、セシリアは今更ながらに、エイダン王太子の側近の名前を知るのだった。
へぇ~……私を引き倒して額や膝を打ち付けたのが、シモンズだとは知っていたけど
あっちの2人の名前って、ガブレとアスティっていうのねぇ………
いや、今更、そんなの知っても意味はないけどねぇ~……
私としては、もはやエイダン王太子も、側近にも興味なんて無いしね
だって、私にはグレンが側に居てくれるからねぇ~……って、あれ?
もしかしてぇ……コレって惚気になったりする?
きゃっ…恥ずかしい……じゃないでしょ…私、しっかり観て覚えておかなきゃ
自分で自分の無意識の思考に頬を赤く染めたリアは、ちょっと首をフリフリとして羞恥心を払って、必死で目の前の光景を見詰め続けるのだった。
そこにガウェイ王が、宣言する。
「ソレ(浄化の為の魔道具)を、勝手にその身に纏ったというコトは、ソナタが浄化の巫女(生贄)になると決意したと判断する。エイダンを使って、セシリア公爵令嬢が身に付けていたモノを剥ぎ取り、身に付けた責任は、ソナタにとってもらうコトになる。その覚悟があって身に付けたのだろう。今日、新たなる浄化の巫女(生贄)がここに誕生する。この我が王家の血筋に架せられた義務と責任は、今日この時より、その恩恵を受けたすべてのモノに、平等に分配するものとする。逃げるコトは許さない。上位貴族も下位貴族も関係ない、この契約の地に住まうモノ全てが……国土に漂う穢れと瘴気と災いを、平等に浄化する義務と責任を、私、ガウェイ王が宣言する。大神官長様よ、新たなる浄化の巫女(生贄)に、まずはその義務と責任をとらせよ」
ガウェイ王の宣言に、うやうやしく跪き、その命令を実行するコトを受諾する。
「承知いたしました。では、ここに集う、国土の浄化を行う義務と責任を担う者達へ、新たなる浄化の巫女(生贄)が誕生する瞬間に立ち会う栄誉と共に、その重き使命を背負う約定を全てのモノに
そう宣言した大神官長様は、リアの視線の先で
ちなみに、呪方陣の中央に据えたフローラが、あまりに暴れようとするので、そこに運んだ神官達は容赦なく、浄化棒という名の邪気を払う為の魔道具で打ち据えて抑え込んでいた。
フローラは、叩かれる痛さに泣きながら、ブツブツと呟いていた。
『どうしてよ……悪役令嬢を退場させたのに……』
『これって…どう考えても…おかしいでしょ……私は愛されヒロインなのよ』
っという、前世のウェブ小説顔負けの、お花畑ヒロインのようなセリフをなんの疑問もなく口にしていた。
そんな中、大神官長は、フローラが自分で嬉々として身に付けた、穢れや瘴気や災いを収集する魔道具を、まず最初に起動させる。
「よしっ…収集の魔道具は無事に、新たなる浄化の巫女(生贄)の首筋に吸着し、起動した………次は、浄化の為の魔道具を起動させる。神官達よ、もう浄化棒で抑えなくて良いぞ…呪方陣から全員おりよ」
大神官長からの命令に、いやいやフローラが逃げないように浄化棒で押さえていた神官達は、足早に呪方陣から降りて、それぞれが決まった位置へと行き、片膝をついて浄化棒を真正面に立てるように持ち、大神官長の
呪方陣の四方から
「……うぐっ……うっぎぁぁぁぁぁぁぁ~……いやぁぁぁぁ~……やめてぇ~…苦しい…気持ち悪い……いやぁぁ…外して…息が…出来ないぃぃぃぃ…なんでよぉぉぉぉ~…どうしてぇぇぇ~……私は、みん…なに…あいされる…ひ…ろい…ン……な…にぃぃ……」
のたうちまわることも出来ずに泣き叫ぶフローラに、だが、誰も動くコトは出来なかった。
リアを嬉々として断罪したエイダンの側近達は、フローラの側に居たことで、モロに瘴気などにあてられ、エイダンほどではないが体調不良を起こしていた。
その上で、全員がガウェイ王が連れて来た護衛騎士に殴り倒されて縛り上げられていた。
当のエイダンは、鍛錬をサボりまくったセイで、押し寄せた瘴気や穢れに負けて、立ち上がるコトさえ出来ていなかった。
目の前で、愛する少女が苦しさに泣き喚てい居ても、助けにいくことなどカケラも出来ない状態なのは火を見るよりも明らかな姿だった。
リアは、目の前で観せられているモノを、現実感なくただただアニメなどのワンシーンとして観ているだけだった。
はぁ~……あれって、最初はもの凄くキツイのよねぇ~………
私も最初に魔道具を装備させられ、起動した時…もの凄く苦しかったもの
まだ、ほんの幼女の時に身に付けさせられたのよねぇ……
ただ、私がまだまだ複数の魔道具耐えられない程幼かったから、ガウェイ王が背負っている分のひとつだっだったのよねぇ
じょじょに、ガウェイ王が身に付けていた全てを身代わりとして身に付けたのよね
次に大神官長様の分を、そして最後に王妃様の分を身に付けさせられた
ガウェイ王も大神官長様も、魔道具外した後、いつもいつも大変そうだったけどねぇ
王妃様は、魔道具を外した後、精力的にガウェイ王を手伝うかと思えば、ただただ享楽的に過ごしながら…私をイジメるコトを楽しんでいたわね
そんな姿を見続ければ、当然エイダン王子もそうなるのは当然の帰結
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